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ワインバーに夫婦で

隠れ家的なワインバー

お酒が飲めない私が、友人の紹介で、とある隠れ家的なワインバーに通うようになった。


先日も、

「今日はハナ金だよ!どこ楽しいとこ連れてってくれるのかな?」

「あんたが連れて行ってくれないなら、ひとりでフラフラ〜っと、どこかに行っちゃうんだからね〜。それからどうなっても知らないからね〜。」

「ああ、あの日、ちゃんと夜時間を空けておくんだった。と、一生後悔することになってもしらないんだからね〜。」


はいはい、分かっております。

かわいい奴め。

そんなに『俺のことが好きなのね』と、

ガッツリ金曜夜の時間を空けた。


小さなお店のオーナー

今年の夏頃にオープンしたというマスターは30代前半の好青年。

飲食店に長く勤め、晴れて独立したとのこと。


それはそれは、大変だろうと思って話を聞くと、本人は至って明るく、

『自分が好きで始めたことだから、何も苦じゃない。お客さんが少ないのは、常連さんがつくまで仕方のないことだと割り切っている。独り者だし、昼間バイトして食い繋げるから大丈夫!』と。

何より、

『自分やお店を売り込む方法は、世の中に溢れている。それを使うかどうかは自分次第。活かせるかどうかも自分次第。』


なんて潔いのだろう。

とても触発された。

素直に、応援したいと思った。

なにせ、今の私自身が置かれている状況は、彼と大差ないのだから。


このお店のイイところ

ワインバーを名乗ってはいるが、恐らく、ガチ勢のワイン通にはちょっと物足りないかもしれない。

だが、圧倒的なコスパにより、いずれ日常的に通える店として認知されると、2件目、3件目のお店として受け入れられ、経営的に面白いのではないかと思った。


で、イチオシはなぜか、和牛のステーキ。

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『サシが入ったランプ』なんて初めて見た。

独自ルートで、一般よりお安く、良い牛肉を仕入れることができるそうだ。



そして、お酒とBarといったら、

『美女!』・・・

(美女が『ばあ!』って出てくるといいのにな)


じゃなくて、『音楽!』


好きなアーティストや曲をリクエストできる。

美味しい肉料理を食べながら、美味しいワインを飲みながら、好きな音楽を聞けるというのは、実はとても幸せなことだと知った。


今日は米津玄師祭り!


寒空に、手繋ぎ歩き、妻が言う

   今日はとことん、米津祭りよ!



マスターが聞いてきた。米津玄師のどこが推しなのかと。

世代的に、40才手前の夫婦がハマるのが意外とのこと。


私は答えた。


『米津玄師様が生み出す、音、言葉、絵、すべてがイイ。理由を聞くなんて、ナンセンスだよ。そして、俺が奥さんのどこが好きなのかを聞くのも、ナンセンスだぜ!』


大笑いで応じてくれるマスター。

接客業を分かっていらっしゃる。伸び代ですね〜〜〜。

そして、またツラツラとアホなこと言い出したと呆れる、奥さん。


米津玄師さんの作品に初めて出会った時の話はこちら↓↓↓


『サンタマリア』について討論

サンタマリアのPVが流れた時に、


「最近サンタマリアが凄くイイ!」と、奥さんが。


「いいよね!カベを乗り越え、最後はふたり、結ばれて一緒に歩んでいくというハッピーエンドがいいね!」


「は?あんた何言ってんの?最後まで結ばれずに、会えずに終わる歌だよね?」


「んん???そうなん???」


「だってほら、米津さん、待ちくたびれて、体とか頭に、木が生えてるよ。」


なんですと!


CDが擦り切れる(死語?)くらい何度も聞いていたが、そういやMVはマトモに見たことなかったかもしれない。



うん!確かに米津さん、木が生えてるよ!


えええ!


ずっとハッピーエンドの歌詞だと思ってたけど、ビックリした。


物事の捉え方は受け取る側の心理に影響する

当たり前のことを言っているかもしれない。


例えば、一枚の絵があったとする。

見る人の性格や、その時の体調とか、心の状態で、評価が変わる時ってありますよね。


『笑ってるけど、どことなく目元が悲しそう』

とか、

『泣いているけど、背景の色的に、きっと心は晴れやかなんだよ。』

とか。

何かを評価する時、その人の心の状態や、心の成長によって、その評価が変わる。


で、サンタマリアの歌詞をおさらいしてみた。


後半の歌詞です。

ここは面会室 仙人掌は未だ咲かない 硝子は崩れない
そんな中で一本の蝋燭が 確かに灯り続ける
あなたを見つめ あなたに見つめられ
信じることを やめられないように
サンタマリア 何も言わないさ
惑うだけの言葉で満たすくらいならば
様々な幸せを砕いて 祈り疲れ
漸くあなたに 会えたのだから
一緒にいこう あの光の方へ
手をつなごう 意味なんか無くたって
サンタマリア 闇を背負いながら
一緒にいこう あの光の方へ


いやー、

『暗い中に、希望があるのがイイね!』と感じていたけど、

奥さんは、

『叶わないからこそ美しい祈りがあると思うの』ですと。


これは面白い!

夫婦で同じ曲を聞いているのに、こんなに解釈が揉めるなんて!


マインドの変化に気付かされて驚く

自分で言うのもおかしいが、長年、『俺って根クラだな』と思っていた。

けれど、最近は身の回りで起こる出来事や物事に対し、


『なにか希望はないだろうか』とか、

『なにか打開策はないか』なんてことを、無意識に探せる、


『前向きな発想ができる自分』になることができたんじゃないかと。


自分自身の心の変化に、ちょっと嬉しくなった。


だからマスターに、

『米津玄師のイイ所は、暗さの中に、人が本来持っている本能的な希望、本源的な希望を感じ、健気に現実の中で藻掻いている人の不器用さが愛しいなと思うんだよ。』

と、伝えてみた。


首を傾げるマスターのリアクションに、『このおっさん、随分こじれたことを言ってるな』と思われたに違いないが、イイものはイイんだから、他人になんと思われようと、知ったことではない。


でも、マスターが米津沼にハマって、夜通し米津玄師さんについて語り合えるようになったら、楽しいだろうなと思った。


なので、お店に行くたびに、しつこく米津玄師をリクエストしようと思う。


帰り道

たまにはちょっと、飲んでみよう

その一杯で、足はフラフラ フラミンゴ


奥さんが手を握りながら言った。


『今日は凄く楽しかった。ありがとう。』


サンタマリアの歌詞では、二人は触れ合うことができなかったみたいだけど、きっと心は永遠に繋がっているということなんだと思う。


そして、身も心も、末永く、触れ合い、繋がれることが、どれほど幸せなのかを噛み締めながら、フラつく足で、家路を辿る。



大して飲んでないから、実はそんなに酔っちゃ、いなかったりして。


寒空の下、二人で手を繋いで歩くこの時間を、少しでも長く過ごせるように。


もうすぐいい夫婦の日がやってくる。


そして、14年目の結婚記念日も。



2019年11月10日

座右の銘は不撓不屈

座右の銘太郎



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