夢見屋鮫太郎

15世紀のチェコはボヘミア王国と呼ばれる国でした。そこで起きた戦争をフス戦争といい、そ…

夢見屋鮫太郎

15世紀のチェコはボヘミア王国と呼ばれる国でした。そこで起きた戦争をフス戦争といい、それを元にした小説を書こうとしています。前世、過去世、スピリチュアルは程よく嗜んでおります。前世の記憶を小説にできたら楽しそうですよね。

最近の記事

終焉のヤン「第七話」

「馬来田 玲奈」私の日本語名は「馬来田 玲奈(まくた れな)」という。 平成20年頃に交通事故に逢ったことを覚えている。 病室に寝かされて、動けないまま天井の模様だけを見ているような生活だったのだけれど、唯一の楽しみは夢を見ることだった。 夢の中では身体が自由に動くし、年齢もちょっと若返っていた。自分で言うのもあれだけど、けっこう美人さん(笑)。 そのうえ、夢を見るたび毎回その姿になって、夢の中の生活を送ることができて楽しかった。 身体を意識的に動かせるって幸せなこと

    • 閑話② 過去世の話

      僕の過去世は15世紀のボヘミア王国貴族、アレシュ・リーズンブルクであるというところまで調べ上げまして、じゃあせっかくだから、オカルトチックを極めてみようと思って「退行催眠」なるものを受けに行きました。 退行催眠とはもともと心理療法として行われているものらしく、催眠で得られるビジョンはその人にとって必要な物が見えるのだそう。 だから過去世が見える人もいるし、未来の姿を見たり、自身の幼少期を見たりすることもあるそうです。 療法師さんは「ガイド」の役割をするため、今後ガイドさんと

      • 閑話

        終焉のヤン、6話にて煮詰まっています(笑) 史実とフィクションをうまいこと融合させるのに、良いつじつま合わせが思い浮かびません。 そこで気分転換に、少々身の上話を書いてみようと思います。 小説の舞台となる15世紀のチェコですが、その存在を知ったのはつい一年前でした。 きっかけは数年前に負った右手の怪我です。 利き手の親指をあわや切断するかの重症を負ってしまい、一応半年ほどで傷は治ったものの、後遺症が長く続き、仕事がほとんどできずに肩身のせまい思いをしていた時期が続いてい

        • 「終焉のヤン」第六話

          「日本人」パビアンコフ邸某所。 座敷牢と言うのが相応しいような、部屋の半分を檻で囲った薄暗い場所にシモンは座らされていた。 と言っても檻の内側には椅子とテーブルが用意してあり、質素な燭台と、温めなおしのパン粥が置かれている。 一方、檻の外側には簡素な椅子がひとつと、見張り役の若い女性がひとり。 その女性は腕を組み、不機嫌そうにしながら椅子にもたれている。時々顔だけをこちらに向け、冷たい眼差しで睨みつけてくる。 その視線の意味をシモンは理解していた。 おそらく自分は、こ

        終焉のヤン「第七話」

          「終焉のヤン」第五話

          「序章開幕」1419年3月25日 夜半。 ボヘミア西部の都市ピルゼン・パビアンコフ邸。 屋敷の奥、人払いをした部屋に居るのは、女主人のアンナと娘のカテジナ、そして、プラハでカテジナの付き人をしていたマグダレナの三人だけである。 そのうち、マグダレナは入口付近で部屋の外に向かって殺気を放ち、立ち聞きを牽制していた。 煌々と焚いた蝋燭に照らされた室内には、パビアンコフの母娘が対峙している。 カテジナは乱れた服を着替え直し、語気を荒くして母親にさきほどの一件の事情を説明してい

          「終焉のヤン」第五話

          「終焉のヤン」第四話

          「放物線」パビアンコフの屋敷を飛び出したカテジナは、ピルゼンを流れるベロウンカ川の橋のたもとにしゃがみ込んでたそがれていた。 川面には対岸の街の明かりが静かに揺れている。 「どこから悩めばいいのかしら。私はカテジナで、戸籍上の私の父さんは私が生まれる前に死んでいて、あの白ヒゲのおじいさんが血縁上のお父さん?ってことになるのね。まあよくも17年間騙してくれていたものだわ。」 さっきの出来事を整理するように、カテジナは独り言をつぶやく。 「あーあ。見ず知らずの父親と対面。

          「終焉のヤン」第四話

          「終焉のヤン」 第三話

          「パビアンコフ」1417年のプラハ。ちょうどシモンの一家がプラハを追われた頃に、入れ替わりでプラハにやって来た人物がいた。 富豪パビアンコフ家の令嬢カテジナである。 当時15歳の彼女は、留学のために故郷のピルゼンを離れ、プラハにある親戚宅へとやって来た。 そこで親戚の世話になりつつ、幾人かの家庭教師を雇って神学やラテン語、数学や社交術などを勉強していた。 本当はプラハ大学に行きたいという願望があったのだが、女性の入学は認められるはずもなく、しかし母親のはからいで、花嫁修

          「終焉のヤン」 第三話

          「終焉のヤン」第二話

          「ボヘミアの商人」決闘状の話をする前に、まずはロキツァニ村でのこれまでの生活を語らなくてはならない。 時は1417年のこと。 プラハの評議員だった父が失脚してプラハを追放され、我がバルボジーナ家はピルゼン郊外にあるこのロキツァニ村に引っ越してきた。 父は評議員の傍ら貿易商も営んでいたのだが、失脚とともにプラハの営業本部と財産の殆どが、フス教団によって没収されてしまった。 だが幸運なことに、ロキツァニ村にあるバルボジーナ商会の支社は難を逃れていた。 僕たち一家はそこをたよっ

          「終焉のヤン」第二話

          「終焉のヤン」 第一話

          「明晰夢」非常にまずい。 明晰夢から覚めることができなくなり、かれこれ2年が経ってしまった。 明晰夢というのは、夢の中でありながら現実世界と同じように自分の意識通りに動けたり、匂いや味などを五感で感じることもできるという、超リアルな夢のことだ。 もともとオカルトや不思議系なものが好きだった僕は、「明晰夢の見方」なる動画をNewTubeで見て試したりしていたのだが、ある日明晰夢を見ることに成功したのをきっかけにちょくちょく夢の世界に入り込み、そこでの生活を楽しむようになっ

          「終焉のヤン」 第一話