閑話② 過去世の話

僕の過去世は15世紀のボヘミア王国貴族、アレシュ・リーズンブルクであるというところまで調べ上げまして、じゃあせっかくだから、オカルトチックを極めてみようと思って「退行催眠」なるものを受けに行きました。

退行催眠とはもともと心理療法として行われているものらしく、催眠で得られるビジョンはその人にとって必要な物が見えるのだそう。
だから過去世が見える人もいるし、未来の姿を見たり、自身の幼少期を見たりすることもあるそうです。
療法師さんは「ガイド」の役割をするため、今後ガイドさんという表記をします。

ガイドさんの声に従って瞑想し、頭に浮かんだ景色などをガイドさんに口で説明します。
目を閉じてリラックスした状態ですが、意識が二つあるような感覚になります。
一つは自分の現世の意識で、ガイドさんと言葉を交わしています。
もう一つの意識は深層世界を向いており、いわゆる過去世とか、現世ではない世界を見たり感じたりしています。

僕はこれまで退行催眠を2回受けましたが、どちらも同じ時代の、同じ人物のビジョンを見ました。
それはアレシュ・リーズンブルクの人生です。

アレシュは戦争が嫌いな人間でした。なるべくなら誰とも戦いたくない。けれど貴族であるため、領地を守るために戦わなければならない時もあるし、逃げるわけには行かない時もあります。

見えたビジョンの中で印象的だったのは、ある大きな戦闘に勝利した時のものでした。
戦った相手は、かつての同胞です。戦いに勝っても、ちっとも嬉しくありませんでしたし、むしろ死んでいった敵に向けて泣いておりました。

史実でも、フス戦争はリパニの戦いという、フス信者による同士討ちで幕を下ろします。
最初の退行催眠では、そのときの景色を見たのだと感じました。
ざっくりと、アレシュの人生の要所をピックアップして見せられたという感じです。

そして二度目の退行催眠は、「自分がなぜ右手を負傷したのか、この怪我には意味があるのか」を知りたいと思って受けました。

一回目とは目的が違うので、見えるビジョンも違うのかなと思いましたが、二回目に見た景色も、やはりボヘミア王国貴族、アレシュ・リーズンブルクの人生でした。

催眠にかかり、初めに見えたのは薄暗い教会の中。外は何やら騒がしく、動乱の最中のようでした。
僕(アレシュ)が教会の扉を開けて外へ出るとすぐに、右側から武器を持った兵士が斬りかかってきました。
アレシュは右の二の腕をざっくり斬られてしまいます。が、襲ってきた兵士はどうやら味方で、間違ってアレシュを傷つけてしまったようです。
やっちまった!という顔で、兵士はひどく動揺しています。アレシュは兵士を思いやり、「私は大丈夫だから、気にせず立ち去りなさい」となだめます。

ちなみに、アレシュが斬られた箇所は指ではないので現世の傷とは違う場所ですが、現世の僕の二の腕には黄疸のような痣があります。アレシュの傷とほぼ同じ場所です。

さて、右腕に重症を負ったアレシュですが命に別状はありませんでした。
ある日、決戦に向けて街の全兵力が遠征に行くことになりますが、アレシュは怪我のため遠征に参加できず、街に残されました。
無防備になった街を守るため、アレシュは近くに迫っていた敵軍に降伏します。(遠征に向かった軍勢は、敵軍を迎え撃つために首都のプラハへ移動したのでした。敵軍はそれを追撃するため、アレシュの街を通過しようとしていました。)

アレシュはこの街の領主でした。
アレシュは降伏の条件として市民の安全を掲げ、敵軍はそれを守りました。それによって、街は戦火を逃れることができました。

史実だと、東ボヘミアのフラデツ・クラーロヴェーが戦闘を放棄して敵軍に投降しています。
そのときの領主はおそらくアレシュでした。

さてこの出来事は、アレシュが腕を負傷したおかげで街を一つ守ることができた、と捉えることもできると思いました。

現世の僕の怪我も、今はまだその意味が見えないけど、ひょっとしたら街を一つ守るぐらいの大きな意味があるのかもしれない、と思うことができて嬉しくなりました。

また、この怪我をしなければ自分の過去世とか、フス戦争なんかにも出会わなかったと思うし、これらのおかげですごく充実しているので、その意味では怪我をしたのも悪くないと、今は思います。


とりあえず、身の上話はこんなところです。
あとはこのボヘミア王国の出来事を、たくさんの人に面白く伝えたいな、というのが今の目標です。

拙い文章でたまに自己嫌悪にもなりますが、頑張りたいと思います。

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