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#3優先順位、ときどき更新

新しい時間の使い方

 新しい健康食習慣をスタートすると、新しい食材やキッチンツールも生活環境に仲間入りします。今まで慣れ親しんだ台所空間にニューフェイスがインストールされると、これから始まる健康食への取り組みに【希望という起動力】が生まれます。
 また、新しい健康食習慣は生活空間の景色だけでなく、【1日のタイムライン】(時間割)も一変させます。24時間の使い方が変わるのです。

実現可能な計画を立てる

 「仕事をしながらだと、新しい健康食習慣を毎日の生活に入れるのは時間的に難しいと考えてしまいます。でも、自分の健康の質をもっと高めたいという強い欲求もあります。どのような心がまえで始めたら良いでしょうか?」
 これは、実際に最近いただいたご相談です。
 このかたのように、今まで送ってきた生活のなかに【新しい習慣】を入れようとすると、すぐに時間が足りなくなって無理が出ます。また、迷いながら行動を始めてしまうと時間のロスが多くなります。
 最初の計画に無理があれば、未達成の予定が宿題のように蓄積して、新しい習慣はいつしか泡のようにはじけて消えてしまうでしょう。

【優先順位】を大胆に柔軟に変える

 「自分の健康の質をもっと高めたい」という強い気持ちが湧いたなら、思い立ったが吉日、そのタイミングは大切にしましょう。そして、大胆に生活の【優先順位】を変えます。新しい健康食習慣を中心にしたライフスタイルを一から設計するのです。
 たとえば、1日の中で「いつ・何に・どれだけの時間を使うか」を【見える化】してわかりやすくします。円グラフのような24時間時計を白紙に描き、優先順位の高いものから順番にグラフを埋めてくのも一案です。円グラフ様式で24時間の管理ができる便利なスマホアプリなどもあります。

まずは【睡眠時間】を確保

 さて、真っ白な24時間時計、最初に何を書き入れますか?
 「健康の質を高める」のがテーマなら、最初に確保するのは睡眠時間です。「なかなか眠れないから睡眠時間をあらかじめ確保するのは無駄」と思わないでください。もし、新しい健康食習慣が功を奏するものなら、上質な眠りはすぐに後から付いてきます。そして、副交感神経系が優位に働く睡眠中は、【身体が自身を修復するピークタイム】。日中に始めた健康食習慣が実際に活きるのは睡眠中です。
この無料でできる最高の健康法のために、最初に睡眠時間を確保しましょう。これで24時間のうち7〜8時間は睡眠に当てられ、残りは16時間となります。

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【優先】は時間をかけることではない

 次に、残り16時間のなかに新しい健康食習慣のための時間を取ります。優先するからといって長い時間を確保する必要はありません。5分、10分の短時間でも、とにかく先に時間を確保するのが秘訣です。それができたら、残った時間に日常のあらゆる行動予定を入れていきます。
 時間の使い方は平日と休日では違うので、それぞれ別の24時間時計を作ります。平日の中でも月に何度かの夜勤があるなど、複数のパターンが必要な方もいらっしゃることでしょう。
 育児や介護に従事している場合は、ご家族の発熱や体調急変、ちょっとした事故やケガ、メンタルケアやスキンシップなどに対応しなければならない事態がよく起こります。16時間のほぼ全てを自分以外のために効率良く使うパターンも想定しましょう。

自分という他人を介護する

 じつは、新しい健康習慣を効果的に実行するのは、【自分という他人を介護する】ようなものです。
 自分以外の誰かのお世話は、自分の時間を捧げることで成立しますが、それと同じく、自分のために自分の時間を捧げるわけです。
 他人のために時間を作ることができる人でも、自分のために時間を作るのは苦手という場合がよくあります。新しい健康習慣を実行に移すときには、【自分という他人をもてなす】気持ちで時間を作ってみましょう。

時間に対する価値観が変わる

 以前の連載でご紹介したゲルソン療法は、やるべきタスクの多い食事療法で、実施する方々は【大胆なタイムライン改革】の必要性に迫られます。そして、必要性に応じて優先順位の更新を繰り返すうちに、以前とは比べものにならないほど自分の時間が大切に思えるようになります。自然に人生全体の時間の使い方が上手になります。
 時間は平等、どの人も1日に与えられているのは24時間という機会(チャンス)です。それを何にどう使うか、新しい健康食習慣を始めるに当たって向き合ってみましょう。
 自分の時間を大切に思えるようになると、他人の時間にも配慮ができるようになります。ともに過ごす時間の貴重さや有難さも一層大きく感じられるようになりますよ。


■参考書籍
『Dr.マックス・ゲルソンのゲルソン療法 細胞から回復する高カリウム低ナトリウム療法 セオリー編』、氏家京子著、2019年発行

ゲルソン療法に関する日本語HP
ゲルソン・クリニックのHP

このコラムを書いた人
氏家京子(うじいえ・きょうこ)

1972年生まれ。
健康雑誌の編集部に6年勤務。米国系統合医療サービス企業に1年勤務。 フリーランスジャーナリストとして独立後、統合医療や自然療法分野の取材を国内外で継続し、医療消費者への教育活動、統合医療に関する翻訳書籍の出版を行う。
1998年から始めたゲルソン療法の取材経験は日本でもっとも豊富で、米国ゲルソン・インスティテュートから日本アンバサダーに任命される。
ゲルソン療法のワークショップを開催するほか、ゲルソン・クリニックへの入院希望者に通訳として同行する業務も行う。
ゲルソン療法の患者教育を担うゲルソン・エデュケーター育成、ゲルソン療法専門医の育成にも携わる。
2019年6月、『Dr.マックス・ゲルソンのゲルソン療法 細胞から回復する高カリウム低ナトリウム療法 セオリー編』を出版。


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