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アニメが音楽を超えた瞬間

僕はイラストを描くことが好きだ。
そして同じくらい音楽が好きだ。

自宅でヘッドホンをつけて聴くのもたのしいし、何よりライブという空間が好きだ。

身体全身で音を浴びる感覚。
映像や照明による非現実な景色。
お客さんの表情、声、伝わる熱。
そしてアーティストから届く感情。

「ああいう風になりたい」
「明日からまたがんばろう」

そう思わせてくれる力が音楽にはあるように思う。

僕は音楽に人生を救われたり、人生を変えられた、という実感があるけれどイラストに人生を救われたことは正直言ってなかった。

だから本当は音楽をやりたかったけれど、自分の中に音楽の才能を見つけられなかったから僕は音楽一本で行くことはやめた。
それよりもイラストの方が世間に必要とされるものが作れるかもしれない、とイラストの方に舵を切った。

とはいえ音楽を辞めることは出来ないから、今でもひっそり自宅で練習したりしているのは秘密。

イラストを描くことは好きだから続けてはいるけれど、心のどこかでイラストは音楽には敵わないと思っていた。
ライブが持っている生身の熱には敵わない。
イラストに人生を変えられたことがなかったから。


その考えを見事にひっくり返されたのが「THE FIRST SLAM DUNK」というアニメーション映画だ。


胸を熱くするストーリー展開、そして音楽がさらに前のめりにさせる。
リアルよりもリアルに描かれたアニメーション。
カットの回し方もレイアウトも素晴らしすぎる。
当時テレビアニメを見ていた方々には違和感があったかもしれないが、声優の皆さんの演技はとても自然で僕にはしっくりときた。

出だしのオープニング映像からひたすらにかっこよくってあの時点でもう惹きつけられていたように思う。

後からインタビュー記事を読み漁り、とんでもない時間と労力がかけられた作品だったことを知る。

モーションキャプチャーで映像を作成することですら容易ではないだろう。
けれど、その映像を井上先生自らその上からかなりのカットを書き直したそう。
エンディング曲を担当した10-FEETとは約2年、声優さんの声を取るのに1年を要しているのには驚いた。

どれだけ情熱を持っていたとしても、ここまで時間と労力を注ぎ込める人はいないと思う。
スタッフ一人一人の努力と、映像と音楽と声優さんの声とありとあらゆるものが一つになって胸ぐらをグッとつかまれたような感覚。

言葉ではうまく言い表せられないけれど、こういうものを創りたいなと思った。
圧倒的に惹きつけてやまない作品。
それがどういうものかはまだ明確ではないけれど、自分ができることを駆使して、圧倒的なものを創りたい。

例えば、本を読んだり映画を見たり、サウナに行ったりして頭の中を空っぽにすることで人間はストレスを解消できるらしい。

僕は圧倒的なもので誰かの頭を一瞬でもいいから空っぽにしたい。

熱いロックンローラーのようなライブみたいに。





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