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【イベントレポート】いま消費者が求める体験価値とは?〜スタートアップと創る顧客の体験デザイン〜

本記事では2021年10月27日に開催した「いま消費者が求める体験価値とは?〜スタートアップと創る顧客の体験デザイン〜」のイベントの内容を振り返りお届けします。コロナにも関わらず、多くの大手企業が顧客の体験デザインに力を入れています。店舗やレストランなどの空間デザインやセンサリーブランディング等の取り組みを含む、顧客の体験デザインを設計することにより、ブランドのアイデンティティや、消費者の行動様式が変わるとされています。本イベントでは、顧客の体験デザインの重要性に加え、大手企業とスタートアップとの協業の可能性についてお話しました。

登壇者一覧
旭化成ホームズ株式会社  
経営企画部長   長縄 浩司氏
株式会社オカムラ
DX推進室長・WORKMILLエバンジェリスト / 株式会社point0 取締役            遅野井 宏氏
コメンテーター一覧
ANOBAKA株式会社
パートナー   萩谷 聡氏
Plug and Play Japan株式会社 
Ventures Analyst   高森遥
スタートアップ登壇者一覧
                                                                                  ・株式会社BeBridge
COO  近藤 敬秀氏
Dreamwaves
CEO  Hugo Furtado氏
株式会社Serendious    
CEO  村上 真一氏
株式会社Scenery Scent
CEO  郡 香苗氏

KEYNOTE SESSION 1 

「コロナ禍における住宅顧客嗜好の動向変化」

旭化成ホームズ株式会社 長縄氏

「住宅市場環境においては様々な変化がおきています。人口が減少している一方で世帯数は増加傾向にあり、つまり独居世帯が増加しています。ミドルシングルや同性カップル、多拠点居住生活の方々など顧客層が変わってきており、それに伴い住まいの価値観も多様化しています。またエシカルな商品やエモ消費など、物の豊かさから心の豊かさの方がより重視されるようになってきています。多様化するニーズへの対応や、住まいとしての豊かさに加えて、心の豊かさを提供していき、今までやってきた建物単位から町・地域単位に広げることにより、社会課題に貢献したいと考えています。例えば『コミュニティ』が持つ価値にも注目しており、ペット共生賃貸、子育て共感賃貸住宅など新たな価値づくりにも取り組んでいます。」

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(資料提供:
・住宅着工予測(野村総合研究所)
野村総合研究所、2040年度の住宅市場を予測 (nri.com)
世帯数予測(厚生労働省)
多拠点生活(国土交通省)
豊かさに関する意識の推移(内閣府 / 「国民生活に関する世論調査」より国土交通省作成) )

STARTUP PITCH 1

株式会社BeBridge
設立年月日   2015年8月31日
代表者          代表取締役 野崎良博
所在地          東京都千代田区
事業内容      XRプラットフォームを活用したソリューションを提供
・REALRISE(リアルライズ):建設・不動産プラットフォーム
理想の空間づくりを1クリックでビジュアル化するVRプラットフォーム。完成前の物件を事前に確認でき、遠隔のお客様へも購買を促進する新たなシミュレーション体験を提供。
・coconey(ココニー):AIを活用したナビ、スポット情報シェアアプリ
散在している情報をプラットフォーム化し、スポットやエリアの価値を向上させるサービス。ARにより直感的に目的地までの道がわかり、迷子時間をなくす新たな移動体験を提供。
・souveni(スーベニ):お土産・手土産ガイドアプリ
オンライン・オフラインで “その土地ならではのお土産・手土産” と出会えるサービス。ARガイド・ナビゲーションに加え、ARによる新たな購買体験を提供。

Q:VR/ARは、今非常に注目され、デバイスも普及している素晴らしい技術ですが、BeBridgeのARの優位性は、どの辺りがポイントですか。

A:弊社のARの強みはARナビは特許を取得している点です。また、現在3Dマップや自動運転に取り組む企業とARナビを使った実証実験を進めており、先端技術との開発や連携を通して差別化を図っています。

Dreamwaves設立年月日   2019年
代表者          CEO Hugo Furtado
所在地          ウィーン、オーストリア
事業内容      Audio ARナビゲーションアプリ『waveOut』を開発
携帯電話の画面を見ずに音声で道を案内するARナビゲーションアプリ。ショッピングモールや駅やスーパーマーケットや博物館など様々な空間で利用可能。

Q:音声関連の技術は色々な情報を提供できるメディアとして今後期待されていおり、ナビゲーションとは特に相性が良いので面白いと思います。GPSと画像認識から位置情報を取っていると思いますが、画像認識は何のデバイスで取っていますか?事業のターゲットは法人向けですか、一般消費者向けですか。

A:B2CもB2Bも展開していきたいと考えています。まずは視覚障害を持つ方々やバイカー、観光客に向けたto Cサービスをリリースしました。to Bのターゲットは博物館など、施設内で我々のアプリを活用いただけるよう展開予定です。また、現在はオーストリアの企業に対して社員向けサービスを展開しています。

KEYNOTE SESSION 2

「なぜ顧客の体験デザインにこだわるのか」

株式会社オカムラ 遅野井氏

「現在、オフィス内装は大きく様変わりしています。例えば外光を取り入れたり、天然植物を配置したり、緑のカーペットを敷いたりして、カラフルな色調や自然素材などがトレンドになっています。働き方改革に関連してよく話題になっているのは「意識を変えること」と「行動を変える」ことですが、どちらの方が先に変えられるものだと認識していますか?人の意識を変えることは非常に難しく、行動を変えることで意識を変えるアプローチが必要だということが長年の研究で明らかになってきました。つまり、行動を変えるような体験を促すデザインを、働き方、オフィスのあり方、家具のあり方に取り入れることが大切です。オカムラでは、「CMF(C-Color(色)、M-Material(素材)、F-Finish(仕上げ)」の3つの要素を意識しながらオフィスの家具をデザインしています。今、五感に訴えるような素材によるオフィス家具が多く取り上げられています。

弊社で顧客のオフィス体験について調査したところ、リラックスできる居心地の良さを求め、色彩や質感・触感の良さに意識を向ける傾向が高まっているという結果が得られました。ポイントは、若い世代ほど質感・触感の良さを取り入れることにより、リラックスや気分転換や緊張感・ストレス軽減などの効果に期待されています。そして、オフィスの受付・ロビーだけではなく、執務エリアやリフレッシュスペース、カフェスペース、ミーティングスペースにこそCMFを取り入れたいという声も多かったです。つまり、コロナ禍の中で働き方が様々な形で見直される中で、より人間らしく五感が刺激されるような空間デザインが多く求められています。」

STARTUP PITCH 2

株式会社Serendious
設立年月日   2016年8月25日
代表者           代表取締役 村上真一
所在地           東京都渋谷区
事業内容       アート関連サービスの企画・開発・運営およびコンサルティング
SERENDIOUS(セレンディアス)は、アーティストと作品発表の場を繋ぐプラットフォームサービス。世界には、アート作品を展示するのにふさわしいのに、空いたままで活用されていない、もったいないスペースがたくさんある。スペースオーナーはオリジナルの一点もののアート作品を無料で飾れ、作品が購入された場合には収入が入る仕組み。アーティストは無料で作品展示、販売スペースを利用で木、同時に、オンラインでも作品を販売可能。

Q:アーティスト側もスペースオーナー側にとっても場所を豊かにできるwin-winで、価値があるサービスだと思っています。アーティストの作品をどのように集めていますか?そして、まだ認知が得られていないアーティストが、リアルな展示空間の提供によって有名になり、将来的な作品価値が上がることが期待できます。そのようなアーティストの育成支援も考えられていますか?

A:創業当初はSNSなどでアーティストに声をかけさせていただきました。今は、アーティストが展示会や我々のサービスを見かけて、我々に展示希望のご連絡も増えていますし、我々のサービスを通し、作品がどんどん売れてきているアーティストもいらっしゃいます。

株式会社Scenery Scent
設立年月日   2019年3月18日
代表者          郡 香苗
所在地          大阪市中央区
事業内容      AIを用いた香りの空間演出
・空間の香り演出:イベント・ステージ、冠婚葬祭、大型商業施設でゲストに強い印象を与える香り演出
・香り演出装置の開発・販売:劇場やホールなどの大空間の隅々まで香りが瞬時に届くOEM機器開発の他、ディスプレイデザイン・4KLEDパネルなどの映像・立体音響・炎・雪・レーザーなどの特殊効果と「香り」を組み合わせたトータルな空間演出プランを提供。
・バーチャルフレグランス:アニメやゲームなどの二次元キャラクター、VTuber、歴史上の偉人など実体がない人物のフレグランスを人工知能が作るサービス。

Q:御社は特有のプロダクトもお持ちながら、香りを作られておりデータも活用されているので、特定の場所でどんな人がどんな香りを好むかデータで最適化することは御社の優位性だと感じています。香りはどのぐらい経つものですか?また、場所に合わせて当たり前のように香りが設置されるような、商業的なインフラとなる上で何が必要ですか?

A:香りによって全く違います。残りやすい香りがあれば消えやすい香りもあります。例えば、イベントで複数の香りを演出したいお客様に関しては、香りの製造をするところからどのような香りに切り替えたら他の香りと混ざらないのか計算しながら演出しています。
やはり五感の中で嗅覚は非常に嗜好性が強い器官だと思います。自分にとって凄く好ましい香りでも、隣にいらっしゃる方にとってはそうではないこともあります。喫煙分煙と同じように空間の中で香りをコントロールできる技術がもう少し発達すれば、香りの好みが異なる場合でも強制的に嗅がずに共存できるようになると思います。

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コロナ禍の中、消費者や働く社員の嗜好の変化を把握し、カスタマイズしていくことは非常に重要であることが分かりました。
大手企業の観点から見た顧客体験デザインの重要性、またそのような取り組みを活発化できる互感に訴えるようなサービスをお持ちのスタートアップ両社にお話いただきました。登壇してくださった皆様、ありがとうございました。

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