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2020年東京オリンピック日記 | 15分で考える音楽以前のこと(25)

2021年7月23日、開会式当日。

まあ、とにかく気が重い。スポーツ好きではないので、こうも世の中やニュースがオリンピック一色になると、置いてけぼりをくらってしまう。しばらく前に申し込んだ月次支援金は、申請内容を確認されてすらいないらしい。少し前に辞めた職場に頼んだ書類はまだ届かない。カクヤスの配達だけは定刻に届く。気温は35度、やってられん。

12時半。バックパックにカメラと機材をしこたま詰めて歩きだすと、頭上をブルーインパルスが通過した。ジェット機の心地よい爆音が、どの駅からも遠い我が町内に響き渡る。思わず、ヨシ、ヨシ!!!!と嬉しくなってしまう。デカくてカッコいいものは楽しい!!!!!爆撃されたことがないので、花火が上がるようにのんきに喜んでいた。

13時半。4連休を楽しむ人たちで賑わう日比谷を、テロに怯えながら撮影現場に向かう。本日の都心ほど破壊行為にむいている日もありますまい。俺が犯人でも、「ここしかない」と思うだろう。国際テロより、ドメスティックテロのほうが恐ろしい。自分もダイレクトにその構造の一部で、被害者で加害者だからだ。置いてけぼりをくらって、やってられんと唱えるいま、ご破算にしてしまいたい気持ちはよくわかる。しかし、どうか俺を殺さんでくれ。まだやることがある。

18時、家に着く。どっと疲れたので、ウイスキーを飲んでリラックスを試みた。20時、隣の部屋では彼女がテレビで開会式を見ている。オリンピアンよ、オリンピックよ、華々しくゆくがいい。俺は寝る。

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