【フリーズドライ研究】
MOGMOGMEAT進捗
お久しぶりです。
最近ありがたいことに、営業のための出張や、獣医師としての診療業務が大変に忙しくnote更新が滞っていました。
ただし、オリジナルブランドペットフードのMOGMOGMEATの計画は順調に進んでおりまして、必要な機材がどんどん集まってきています。
今年中には製品化までこぎつけそうですし、SNS等で既に書いてはいますがブランドロゴも決定し、商標申請中です。商標登録が済んだら晴れてお目見えとなる予定ですが、それももうすぐです。
さて、そのMOGMOGMEATですが、第一弾としてリリースするフードの形態はフリーズドライです!!
色々試作した結果、鹿肉で犬用おやつを作るならフリーズドライが最適と考えました。
その理由を少しずつ説明しましょう。
フリーズドライとは
さて、まずフリーズドライについてです。
この技術は最近出来たものかと思っていたのですが、実は機械の設計自体は1910年に既に出来ていたようです。
その目的は軍事への応用。こういった革新的な技術は得てして軍需によって生み出されます。
その後、食品への応用が始まり、宇宙食や家庭用食品に用いられ、我々も常識的に口にするようになってきて、そして現在はようやく「フリーズドライ食品の製造」までが個人レベルで手の届く範囲に下りてきました
Hunting Villageはこのフリーズドライ機材を個人事業で購入し、自分で獲った鹿肉を加工までして販売する予定です。
この技術のミソになるのは昇華という現象で、実は小学校の理科で学ぶ知識です。
氷は常温に置くと個体→液体→気体と変化しますが、条件を整えると個体から直接気体へと変化します。
条件を整えなくても普通に目にする昇華の例はドライアイスですが、他にも、魚などの冷凍焼け、タンスの中に入れる防虫剤もこの現象が関係しています。
フリーズドライというのは前述の「条件」というのを上手く整えてやることで、食品中の氷を昇華させ、水気を抜き、乾燥させてしまうという技術なのです。
フリーズドライのメリット
フリーズドライ食品は一般的に香りや色、風味が良いと言われています。
さらに栄養素の漏出も少ないままに乾燥できるというメリットもあります。
色に関しては、ブランチングという熱処理をすることによって、あえて酵素を失活させ、良い状態を保つことがあるようですが、フリーズドライのメリットを最大限に享受するには基本的には”加熱しない”というのがミソになりそうです。
温風や天日による乾燥は、熱が加わる過程や長時間の乾燥工程で、どうしても食品内で化学反応(酵素によるものやタンパク質変性など)が起きるので、香りや風味が変わりますが、フリーズドライの場合そのような反応を極力起こさずに乾燥させることが出来るというわけです。
まぁこの辺りは専門家の先生方が詳しく解説して下さっているサイトがたくさんあるのでそちらを読んでみて下さい。
鹿肉のフリーズドライ化
鹿肉をフリーズドライする上でのメリットは他の鹿肉加工方法に比べ風味が圧倒的によく、かつ保存期間も長いという事です。
ジャーキーも良いかと思ったのですが、やはり乾燥の過程で香りが変わってしまい、かつ常温で置いておくとカビが付くこともありました。(この辺りは防腐処理や乾燥具合によって調節可能かと思いますが)
また、温風乾燥だとどうしても硬くなってしまい、おやつとして使用する際の割りにくさや、ご飯に混ぜる際の使い勝手の悪さや、消化の悪さが気になってしまいました。
というわけでフリーズドライ商品を作ることは早い段階で決まっていましたが、問題点がいくつかありまして。。。
一般的に鹿肉等のジビエ肉は加熱が前提です。するとフリーズドライのメリットを最大限に活かすための「加熱しない」という点を犠牲にせざるを得ないのです。
さらに、生の状態でのフリーズドライをしようにも、一度冷凍保存した鹿肉は再度解凍し、フリーズドライ機械の中にセットし、また機械の中で冷凍することになります。この過程で必ず筋肉の細胞膜は壊れ、重要な栄養素が少し漏出してしまいます。
ただし!!!この点をクリアする秘策は実はもう考えてあり、栄養素を残したまま、風味も香りも損なわず、かつ衛生的に問題もないフリーズドライ商品が作れそうなところまで来ています。
Hunting Villageが作るからには、ただ肉を仕入れてフリーズドライするだけでなく、獣医学的なデータをもとに、最良の作品を作っていきたいですね!
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