広大図書館のラノベ全部読む【2021広島大学大学祭展示企画】

皆さん、大学図書館で小説読んでますか?大学図書館は研究目的の利用が主体で、あまり娯楽目的で利用していないかもしれませんが、実は小説もあります。ところで、そんな大学図書館の小説がおいてある棚を眺めていると、いくつか「これライトノベルじゃないの?」と思う作品が入っていることに気が付きます。ということで、今回は大学図書館に入っているライトノベルを全て紹介してみようと思います。

この原稿は私(pn675)の他に2名の方にお世話になりました。学祭1ヶ月前になって急に始めた企画に付き合って頂きありがとうございます。大変助かりました。

注意:本稿は、大学図書館にそぐわない小説を指摘するためではなく、反対に大学図書館に対するハードルを下げ利用を促進したいという意図で書いています。気になった小説があれば気軽に読みに行ってみてください。

そもそもライトノベルって何だろう?

ライトノベルの定義は非常に難しい問題です。インターネット上では「あなたがそうだと思うものがライトノベルです。ただし、他人の同意を得られるとは限りません。」なんて投げっぱなしに言われたりしていますが、もうちょっと分かりやすい定義を探してみると、

「中学生~高校生という主なターゲットにとって読みやすく書かれた娯楽小説」『ライトノベル文学論』(榎本秋,2008)
「マンガ的・アニメ的なイラストが添付された、十代の若者層を主要読者とするエンターテインメント小説」『ライトノベル研究序説』(一柳廣孝/久米依子,2009)
「中学生や高校生といった青年期の読者を対象とし、作中人物をマンガやアニメーションを想起させる「キャラクター」として構築した上で、それに合わせたイラストを添えて刊行される小説群」『ライトノベル・スタディーズ』(一柳廣孝/久米依子,2013)

なんてものが見つかります。

他にも作家、批評家の大塚英志は『キャラクター小説の作り方』(2003)にて「キャラクター小説(=ライトノベル)」の定義として、

①自然主義リアリズムによる小説ではなく、アニメやコミックのような全く別種の原理の上に成立している
②「作者の反映としての私」は存在せず、「キャラクター」という生身ではないものの中に「私」が宿っている

をあげていますし、SF評論家の大森望によるとライトノベルのおおまかな条件は、

①ティーンエイジャーを主なターゲットにしたエンターテインメントであること。
②ただし、大人が子供に向かって書くのではなく、若い作家が同時代感覚を共有する(気分的に同世代の)若い読者に向かって書いていること。
さらに言えば、おたく文化/同人誌文化の強い影響下にあり、会話とキャラクターの比重が高く、カバーや本文にマンガ的なイラストが使われる本が多い。

とのことです(『ライトノベル☆めった斬り!』大森望/三村美衣,2004)。

これらから共通するものを抜き出してみると、
・エンターテインメント(つまり楽しい)小説
・中学生~高校生を主とする十代の若者を対象の読者にしている
・マンガ的・アニメ的なイラストが付いている
・なにやら「キャラクター」が大事
……これって小説の”内容”を実質的には何も説明してないような気がしませんか?
 その原因は、一言で行ってしまうと「ライトノベルは”小説のジャンル”ではない」とことにあります。通常分類されている小説のジャンルは、例えばミステリ、SF、ファンタジー、ホラー、恋愛小説などがありますが、それらをライトノベルは全て含んでいます。ではなにがライトノベルなのでしょうか?楽しければライトノベル?十代が読んでればライトノベル?イラストが付いてればライトノベル?……これらは内容というよりは”読み方”、”売り方”、”書き方”の問題です。つまりライトノベルは”~し方”=”手法”なのです。ではどういう手法なのか。キーワードは「キャラクター」です。……って言うことが『ライトノベル「超」入門』(新城カズマ,2006)や『ゲーム的リアリズムの誕生』(東浩紀,2007)に書いてありますので気になる方は是非どうぞ。

さて、話を広島大学図書館に戻します。上に引用した定義に従うと、世の刊行点数に比べると遥かに少ない大学図書館の蔵書の中でさえ”全て”紹介するのは無理です。しかし題目をかかげた以上は何らかの基準に沿うものを全て紹介したい。そうなった時、出版レーベルを指標にしようと私は考えました。最初に私が見つけたのが"電撃文庫"の『ミミズクと夜の王』(紅玉いづき)だったからというのが大きいですね。

つまりは、本稿では若干安直で循環定義的ですがライトノベルの定義を「ライトノベルレーベルから一度でも出版されたことがある作品、ライトノベル雑誌、少年/青年漫画雑誌、ゲーム雑誌に掲載された作品及び小説投稿サイトに掲載された作品」としてしまおうと思います。"ライトノベルレーベル"が何かという問題は残るものの一番客観的に判定可能なのではないでしょうか。

まとめ
・ライトノベルとは「十代の若者向けのイラスト付きエンタメ小説」だというのが一般的な定義。
・しかし、それにとどまるものではなくライトノベルは”ジャンル”というより”手法”だとも言える。
・本稿ではライトノベルを「ライトノベルレーベルから出版されたことがある作品」と定義する。

今回紹介する作品たち(作者名50音順)

No.01 『小説版 かぐや様は告らせたい』(赤坂アカ/羊山十一郎)
No.02 『魔女の愛し仔』(綾里けいし)
No.03 『Another』(綾辻行人)
No.04 『空の中』(有川浩)
No.05 『海の底』(有川浩)
No.06 『〈図書館戦争〉シリーズ』(有川浩)
No.07 『ダリの繭(〈作家アリス〉シリーズ)』(有栖川有栖)
No.08 『ロシア紅茶の謎(〈作家アリス〉シリーズ)』(有栖川有栖)
No.09 『〈レッドデータガール〉シリーズ』(荻原規子)
No.10 『失はれる物語』(乙一)
No.11 『Goth リストカット事件』(乙一)
No.12 「SEVEN ROOMS」(乙一)
No.13 『〈悪霊〉シリーズ』(小野不由美)
No.14 『〈十二国記〉シリーズ』(小野不由美)
No.15 「水晶の夜、翡翠の朝」(恩田陸)
No.16 『〈ソードアート・オンライン〉シリーズ』(川原礫)
No.17 『かめくん』(北野勇作)
No.18 『ミミズクと夜の王』(紅玉いづき)
No.19 「独裁者の掟」(小林泰三)
No.20 『空が分裂する』(最果タヒ)
No.21 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)
No.22 『GOSICK PINK (〈GOSICK〉シリーズ)』(桜庭一樹)
No.23 『荒野』(桜庭一樹)
No.24 『約束のネバーランド~ノーマンからの手紙~』(白井カイウ/七瀬)
No.25 『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』(白田)
No.26 『君の膵臓をたべたい』(住野よる)
No.27 『まおゆう魔王勇者』(橙乃ままれ)
No.28 『君にさよならを言わない』(七月隆文)
No.29 「テロルの創世」(平山夢明)
No.30 『異世界語入門~転生したけど日本語が通じなかった~』(Fafs F. Sashimi)
No.31 「三時間目のまどか」(古橋秀之)
No.32 『転生したらスプレッドシートだった件』(ミネムラコーヒー)
No.33 『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき)
No.34 『蜂蜜色の瞳(〈おいしいコーヒーのいれ方〉シリーズ)』(村山由佳)
No.35 『トワイライト・テールズ』(山本弘)
No.36 『骸骨を乞う 彩雲国秘抄(〈彩雲国〉シリーズ)』(雪乃紗衣)
No.37 『いまさら翼といわれても(〈古典部〉シリーズ)』(米澤穂信)
No.38 「高校教師/恋人/共犯者(〈1999年のゲーム・キッズ〉シリーズ)」(渡辺浩弐)
No.39 『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』(アンソロジー)
No.40 『ステイホームの密室殺人 1,2』(アンソロジー)

今回紹介しきれなかった作品たち

先ほどの独自定義は忘れてもらって、いわゆるライトノベルのイメージに一つでもあてはまるものを考えると本稿で紹介した作品の他にもまだまだたくさんあります。

例えば、2000年代以前の自費出版系の作品(『リアル鬼ごっこ』(山田悠介)、『心霊探偵八雲』(神永学)など)。文芸社をライトノベルレーベルにしても良かったのですが、明らかに違うものも多くあるので今回はすっぱり落としました。更に大手小説投稿サイトが出てきて作品がブランド化(〈なろう系〉など)する前の個人サイトやインターネット掲示板などに掲載されていた作品(『電車男』など)もここに入れておきます。

例えば、ライトノベル(を書いていると一般にイメージされている)作家が書いた一般小説。『砕け散るところを見せてあげる』(竹宮ゆゆこ)、『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延)、『サマー/タイム/トラベラー』(新城カズマ)などがあります。他にもアンソロジー収録作品のみ所蔵の作家も多く、秋山瑞人、神坂一、野﨑まど、図子慧、今野緒雪などの短篇が読めます。また、冲方丁、桐野夏生、唯川恵、角田光代、山本文緒などはキャリア初期にはライトノベルも書きながら後に一般小説の分野で活躍している作家で、吉川英治文学新人賞や直木賞などの文学賞を受賞した方も多くいます。

例えば、ライト文芸レーベルの作品や、それに近いミステリやSFなどのジャンルに特化した小説レーベルの作品。これまた定義が難しいのですが、前者はメディアワークス文庫(『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延)など)、新潮文庫nex(『いなくなれ、群青』(河野裕)など)、講談社タイガ(『風は青海を渡るのか?』(森博嗣)など)など、後者は講談社BOX(『化物語』(西尾維新)など)、ハヤカワ文庫JA(『虐殺器官』(伊藤計劃)など)、角川ホラー文庫(『ホーンテッド・キャンパス』(櫛木理宇)など)などがあります。

例えば、若年層向け映画、アニメ、漫画などのノベライズ。『小説 君の名は』(新海誠)などがあります。

例えば、ライトノベルに影響を与えた作品。新しくは『時をかける少女』(筒井康隆)、古くは『花物語』(吉屋信子)、『少年探偵団』(江戸川乱歩)などがあります。

例えば、ライトノベル形式の学習書や解説書。『女子大生会計士の事件簿』(山田真哉)、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海)、『数学ガール』(結城浩)、『ライトノベルでわかる○○』などがあります。

これらは、残念ながら今回の展示で紹介しきれませんでしたが、独断と偏見で重要作品を選んで2021年内を目途に紹介記事を書きたいと思っていますので期待していて下さい。余裕あればライトノベル関係の評論についても紹介しようと思っています。

No.01 『小説版 かぐや様は告らせたい』(赤坂アカ/羊山十一郎)

2018年、JUMP j BOOKS(集英社)より刊行

赤坂アカによる漫画『かぐや様は告らせたい』のノベライズ。学園に七不思議があると知った秀知院学園生徒会会計の石上優だが、そんな彼に七不思議とみまがうような怪奇現象が次々と降りかかる。が、その裏には実は生徒会副会長の四宮かぐやと会長の白銀御行の恋の攻防が……。原作の雰囲気を活かしたコメディチィックなやりとりが見もの。(pn675)

No.02 『魔女の愛し仔』(綾里けいし)

2020年、星海社FICTIONSより刊行

「幸福になれなかった物語」を管理する古き魔女に拾われた主人公は、普通の結末とは違うために封印されたバッドエンドの「白雪姫」「人魚姫」などの物語の中に入って何とか結末を変えようとするが……。ダークな雰囲気とメタ的なアイデアが絡み合うファンタジー。(pn675) 。

No.03 『Another』(綾辻行人)

2009年、角川書店より単行本として刊行、2011年、角川文庫より上下巻で刊行
2012年、角川スニーカー文庫より上下巻で刊行、図書館所蔵は単行本版

東京から越してきた主人公が転入した三年三組はどこか奇妙な雰囲気が漂っていた。それに戸惑いながらも幾人かの友人ができ生活にも慣れてきたところで主人公の周りで次々と死者が発生し、忌まわしい「三年三組の呪い」を知ることとなる……。一部凄惨な場面もあるにはあるがそこまで怖くはなく、最後まで読むとやはりミステリ作家のホラー作品だなという印象。持病のせいか終始落ち着いた主人公の語りが、読者が冷静に読む進められる効果を与えている。(pn675)

No.04 『空の中』(有川浩)

2004年、メディアワークスより単行本として刊行
2008年、角川文庫より刊行 、図書館所蔵は単行本版

自衛隊三部作二作目(一作目はデビュー作である『塩の街』(図書館未所蔵))。ある時、謎の航空機事故が四国沖で続けて起こり、その調査に自衛隊が向かうことになる。一方高知の田舎町では海に流れ着いた謎の生物を子供たちが拾い〈フェイク〉と名付けて買うことにするが、その生物は電波を介してコミュニケーションが可能だった。海底で悠久の時を過ごしていた生物と人類が出会ったとき何がおこるのか――。意外にも本格的なファーストコンタクトSFになっている。(pn675)

No.05 『海の底』(有川浩)

2005年、メディアワークスより単行本として刊行
2009年、角川文庫より刊行 、図書館所蔵は単行本版

自衛隊三部作三作目。桜祭りが開催中の米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊所属の潜水艦に突如警報が鳴り響く。慌てて艦上に出ると、海の底からやって来た巨大なザリガニが人を襲っている!手近にいた子供たちを助けるのが精一杯で再び艦に籠城したがこの先どうなるのか――。三部作全てで自衛隊を書きながらテーマがテーマがばらばら(一作目はポストアポカリプス(文明崩壊後)、二作目はファーストコンタクト、三作目は怪獣襲来)でアイデアに感心する。(pn675)

No.06 『〈図書館戦争〉シリーズ』(有川浩)

2006~2008年、メディアワークスより単行本で刊行(本篇4巻+別冊2巻)  
2011年、角川文庫より刊行(本篇4巻+別冊2巻)、図書館所蔵は単行本版

実質的に検閲を合法化する法律(メディア良化法)が制定された近未来を舞台に、図書館の抵抗活動と表現の自由についてを図書隊隊員の笠原郁の視点から描いた作品。重いテーマを書いていながら読みやすい作品に仕上がっており、SF としてもサスペンスとしてもはたまた恋愛小説としても読めてお得である。本を愛する人間としては身につまされる作品だ。(pn675)

図書館戦争
書店で本を守ってくれた図書隊員”王子様”に憧れて入隊した笠原郁。しかし、訓練は想像以上の過酷さで防衛隊もメディア良化委員会の検閲には万能ではなく、彼女は理想と現実の狭間に悩む。

図書館内乱
笠原郁の同僚小牧がメディア良化委員会に連行された。小牧の彼女である視聴覚障害者の女の子の人権を侵害したというのが彼らの言い分だが……?笠原と図書隊は小牧の奪還に動く!

図書館危機
”王子様”の正体を知って激しく動揺する笠原郁だったが。世間の流れはそれを許さない。人気俳優の特集の”出版禁止語”使用騒動や”自由”をテーマにした美術作品の展示など言論と銃弾が飛び交う中で物語は佳境に入る。

図書館革命
図書隊は良化委員会が身柄確保をもくろむ作家の保護に動くが、その途中で笠原郁の上司でバディの堂上篤が銃弾に倒れ重症を負ってしまう。彼女は最後まで任務を遂行できるのか。そして図書館の未来とは?

別冊図書館戦争I
ついに恋人同士となった笠原郁と堂上篤。二人の恋愛模様を描くあまーい別冊1巻。

別冊図書館戦争II
別冊2巻目は笠原と堂上の二人以外の恋愛模様を描く。図書隊の未来と過去に思いをはせるシリーズ最終巻。

No.07 『ダリの繭(〈作家アリス〉シリーズ)』(有栖川有栖)

1993年、角川文庫より刊行、1999年、角川書店より愛蔵版が刊行
2012年、角川ビーンズ文庫より上下巻で刊行 、図書館所蔵は角川文庫版

作家アリスシリーズ2作目(1作目は『46番目の密室』(図書館未所蔵))。芸術家のサルバドール・ダリを信奉する宝石チェーンの社長がフロートカプセル(中に貯めた液体に浮かんで瞑想する装置)の中で殺された事件に推理小説作家の有栖川有栖と臨床犯罪学者の火村英生のコンビが挑む。込み入ったストーリーと幻想的なモチーフに幻惑されるようで面白い。角川ビーンズ文庫からも出版されたようで、有栖川と火村の関係性も読みどころ。 (pn675)

No.08 『ロシア紅茶の謎(〈作家アリス〉シリーズ)』(有栖川有栖)

1994年、講談社ノベルスより刊行、1997年、講談社文庫より刊行
2013年、角川ビーンズ文庫より刊行 、図書館所蔵は講談社文庫版

作家アリスシリーズ3作目である第一短篇集。表題作は、同じ紅茶を飲んだパーティーで被害者だけが死亡した謎に迫る。その他の短篇は、死亡した動物園の飼育員が握っていた暗号「動物園の暗号」、江戸川乱歩のオマージュ「屋根裏の散歩者」、被害者が転落死した密室に見えた人影「赤い稲妻」、ダイイングメッセージに握ったルーン文字が書かれた石「ルーンの導き」。最後の「八角形の罠」は今でいうリアル謎解きゲームのようなイベントの脚本。(pn675)

No.09 『〈レッドデータガール〉シリーズ』(荻原規子)

2008~2012年、カドカワ銀のさじシリーズ(角川書店の児童書レーベル)より刊行(全6巻) 
2010~2014年、角川文庫より刊行、2011~2014年、角川スニーカー文庫より刊行(それぞれ全6巻)
図書館所蔵はカドカワ銀のさじシリーズ版
番外編の『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』があるが図書館未所蔵

主人公である泉水子が、生まれてからずっと伸ばし続けていた前髪を切ったことから始まる青春ファンタジーです。泉水子も知らなかった事実とは、そして、代々“姫神”を降ろす泉水子の家系として彼女はそれらとどう向き合っていくのか。泉水子と、相棒深雪の成長物語です。舞台は日本、山伏、陰陽師、さらには海外まで巻き込んだ、まさに百花繚乱の学校で渦巻く、それぞれの目的とは。 (翠)

RDG レッドデータガール はじめてのお使い
初めて、生まれ育った紀伊から修学旅行で上京します。無事修学旅行は終えられるのでしょうか。

RDG2 レッドデータガール はじめてのお化粧
上京して寮生活をはじめ、同室になった忍者の家系の宗田たちと共に生活が始まります。しかし、度重なるトラブルの中、彼女たちは無事に新生活を始められるのでしょうか。

RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた
学園祭に向けて動く執行部で、合宿に行くことになりますが、合宿前から数々の問題に直面します。

RDG4 レッドデータガール 世界遺産の少女
いよいよ学園祭のテーマが決まりますが、姫神が泉水子に降りてきてしまいます。直面した周囲の反応も見どころです。

RDG5 レッドデータガール 学園の一番長い日
学校の、そして泉水子にとっても大イベントの学園祭がいよいよ開催となりますが、もちろん何事もなく終わるはずもなく、、、。

RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと
泉水子の運命は、世界の行方はどうなるのか、そして、クリスマスが近づく中、泉水子と深雪の関係はどうなるのか。最後までドキドキが止まりません。

No.10 『失はれる物語』(乙一)

2000~2002年に角川スニーカー文庫より刊行された『失踪HOLIDAY』『君にしか聞こえない CALLING YOU』『さみしさの周波数』を再編集して、2003年、角川書店より単行本で刊行、2006年角川文庫より刊行、図書館所蔵は文庫版

珍しくライトノベルから一般単行本に再編集されたリリカルで叙情的な短篇集。内容は、想像上の携帯電話に着信がある「Calling You」、交通事故により右腕の触感以外を失った私とピアニストの妻「失はれる物語」、傷を移動できる能力をもつ少年「傷」、泥棒との手だけのコミュニケーション「手を握る泥棒の物語」、引っ越しした一人暮らしの家で起きる不思議なできごと「しあわせは子猫のかたち」、書き下ろしの「マリアの指」「ウソカノ」とおまけの「ボクの賢いパンツくん」。(pn675)

No.11 『Goth リストカット事件』(乙一)

収録作の「暗黒系 Goth」「リストカット事件 Wristcut」が雑誌『ザ・スニーカー』に掲載
2002年、角川書店より単行本で刊行、2005年、角川文庫より二分冊で刊行 、図書館所蔵は単行本版

人間の暗黒面に魅かれる主人公と同級生が遭遇する猟奇的な事件の数々。なるべく犯人側の感情描写を無くして書かれており、モンスター・ホラーを読んでいるような印象を受ける。
収録作は、連続殺人事件の犯人のものと思われる手帳を拾う「暗黒系 Goth 」、手首だけが持ち去られる事件の犯人に主人公が気付く「リストカット事件 Wristcut 」の他に書き下ろしの「犬 Dog」「記憶 Twins」「土 Grave」「声 Voice」。第3回本格ミステリ大賞受賞。(pn675)

No.12 「SEVEN ROOMS」(乙一)

2002年、『ミステリ・アンソロジーⅡ 殺人鬼の放課後』(角川スニーカー文庫)に掲載 
2003年、集英社より単行本で刊行された『ZOO』に収録 、図書館所蔵は単行本版『ZOO』

突然誘拐されて何もない部屋に閉じ込められた姉弟。体の小さい弟が細い水路を辿っていくと、全部で七つの部屋につながっており、一番端の部屋の人は毎日バラバラの死体が流れてくると怯えていた――。
この作品が掲載された角川スニーカー文庫のアンソロジーには「暗黒系 Goth 」を書こうとしていたが、良く書けたのでそちらはシリーズ化したとのこと。(pn675)

No.13 『〈悪霊〉シリーズ』(小野不由美)

1989~1992年、講談社X文庫ティーンズハートより刊行(全7巻、8冊) 
2010~2011年、新装版が幽ブックス(メディア・ファクトリー)より単行本で刊行(全7巻)
2020~2021年、角川文庫より刊行(全7巻)、図書館所蔵は単行本版

普通の女子高生谷山麻衣と「渋谷サイキック・リサーチ」の所長を務める謎の青年ナルたちが不思議な怪奇現象が起こる場所に調査におもむく。主人公の性格や会話文の文体などに当時の少女小説の面影を感じるものの、歴史や民俗学の深い知識に裏付けられた再出版も納得の本格的なホラーミステリ。(pn675)

ゴーストハント1 旧校舎怪談
主人公谷山麻衣が通う高校には壊すと祟られるという旧校舎があった。ある日そこを覗いた麻衣は謎めいた渋谷一也(通称:ナル)に出会い、心霊現象調査の手伝うことになる。

ゴーストハント2 人形の檻
前回の事件のあとナルが所長を勤める「渋谷サイキック・リサーチ」のバイトとして雇われることになった麻衣。今回は引っ越してから謎の音がするという屋敷に向かう。

ゴーストハント3 乙女ノ祈リ
ナルと麻衣たちが今回は調査に向かうのは次々と謎の怪異が起こる高校。そこで謎の超能力少女に出会うが、果たして関係はあるのか……。

ゴーストハント4 死霊遊戯
今回はナルと麻衣たちが調査するのは連日事件が報道されている高校。現地にいくとおびただしい数の怪談と、「オリキリさま」と呼ばれる占いが蔓延していた……。

ゴーストハント5 鮮血の迷宮
奇妙な屋敷の謎を調査すべく向かったナルと麻衣たち。そこで待ち受けていたのは何十年にもわたって増改築された迷路のような建物だった。その奥に眠るものとは……。

ゴーストハント6 海からくるもの
代替わりの度に大量の死者が出るという老舗の料亭の調査に能登半島へと向かったナルと麻衣たち。しかし、そこでナルが悪霊に憑依されてしまう。彼抜きで麻衣たちは除霊をすることができるのか……。

ゴーストハント7 扉を開けて
能登からの帰り道、道に迷ってしまったナルと麻衣たち一行はあるキャンプ場に泊まることになるが、近くのダム湖を見たナルの様子がおかしい。「渋谷サイキック・リサーチ」の噂を聞き付けた町長の依頼で近くの廃校舎を調査する中、ナルの本当の出自がついに明らかになる……。

No.14 『〈十二国記〉シリーズ』(小野不由美)

1991年、『魔性の子』が新潮文庫より刊行
1992~2001年、十二国記シリーズとして全7巻、11冊が講談社X文庫ホワイトハートより刊行
2000~2001年、十二国記シリーズとして全7巻、9冊が講談社文庫より刊行(再刊)
2012~現在、完全版として『魔性の子』も含めた全10巻、15冊が新潮文庫より刊行中
図書館所蔵分は講談社文庫版、新潮文庫版

12の国に別れ、それぞれの神獣の麒麟が王を選び共に国を治める異界〈十二国〉を舞台にしたファンタジーシリーズ。本シリーズ最大の特徴は各巻が必ずしも時系列順に繋がってないことで、時空間を大胆に移動するスケールの大きさが底知れず高揚する。作風も様々でホラーだったり、教養小説(成長譚)だったり、冒険小説だったり、かと思えば短篇では密室ミステリがあったり、リアルな死刑廃止の是非に関する議論が行われていたり、バラエティーに富んでいる。
シリーズの冊数が多くて読み始めるハードルが高いかもしれないが、とりあえず『魔性の子』と『月の影 影の海』上下巻を読めば世界観はつかめるはず。健闘を祈る。(pn675)

魔性の子
十二国記Episode0。教育実習生として母校に帰ってきた広瀬は高里という奇妙な生徒が気にかかる。彼のいじめた者には奇妙な事故が起こり、「祟られる」と恐れられていた……。

月の影 影の海 上下
十二国記Episode1。日本で暮らす女子高生である陽子の下に不審な男が現れる。彼は陽子を異界へと連れられていくが途中ではぐれ、彼女は一人で過酷な異界を彷徨うこととなる。果たして彼女を待ち受ける運命とは――。

風の海 迷宮の岸
十二国記Episode2。戴国の麒麟は蝕で蓬莱(日本)へ流され人(高里)として育った。十になった頃帰還するものの未だこの世界に慣れない中、戴の王を選ぶこととなる。

東の海神 西の滄海
十二国記Episode3。時は遡り『月の影 影の海』の約500年前。即位したばかりの雁国王尚隆と麒麟六太は共に蓬莱へ流された胎果だった。先王によって荒廃した国を順調に立て直す中、謀反によって六太が拉致されてしまう。

風の万里 黎明の空 上下
十二国記Episode4。慶国の王に就きながら民の信頼を得ることができず苦悩する陽子は、市井に降りてこの国の風習を学ぶことにした。時を同じくして、慶に女王が即位したと知った、先の芳国王の娘である祥瓊と約100年前に流されて苦難の中にある鈴は陽子に一目会おうと慶へと旅立つ。

丕緒の鳥
十二国記Episode5。慶国の即位の礼で行われる儀式に使われる陶製の鳥を作る技術者が主人公の表題作や、国体が傾きつつある柳国で死刑再開の是非を議論する「落照の獄」などファンタジーとしては一風変わった短篇集。

図南の翼
十二国記Episode6。恭国の王が倒れて27年。王の不在により荒廃する国を憂う少女珠晶は、遂に自分が王になるべく蓬山へ向かうことを決意する。

華胥の幽夢
十二国記Episode7。主に『風の海 迷宮の岸』や『風の万里 黎明の空』の長篇の前後談を納める。シリーズ中では異色のミステリの才国の王父が殺害された事件を巡る「華胥」など。

黄昏の岸 暁の天
十二国記Episode8。即位して半年。順調に国を再興する戴国王驍宗と麒麟高里だったが、属州でおきた謀反を鎮圧に赴いた驍宗が戻らず、麒麟も行方不明になってしまう。再び荒れ始めた国を嘆く将軍李斎は命がけで慶国を訪れ援助を求めるが……。

白銀の墟 玄の月 1~4
十二国記Episode9。前巻『黄昏の岸 暁の天』で蓬莱から救出することに成功した麒麟高里と将軍李斎は戴国へと戻り、国王驍宗の行方の捜索を開始する。しかし戴には偽王阿選が立ち、李斎たちは逆賊として追われていた。ただ、偽王阿選は玉座に着いたものの政を治めず民は混乱しており、麒麟は阿選にその真意を問うため李斎と分かれ王宮へ至るが、のらりくらりと交わされ謁見が出来ない。一方李斎は驍宗が襲われたという山を目指すが一行に驍宗の消息はつかめない。

No.15 「水晶の夜、翡翠の朝」(恩田陸)

2002年、『ミステリ・アンソロジーⅡ 殺人鬼の放課後』(角川スニーカー文庫)に掲載 
2007年、新潮社より単行本で刊行された『朝日のようにさわやかに』に収録
図書館所蔵は単行本版『朝日のようにさわやかに』

著者の『麦の海に沈む果実』(図書館未所蔵)シリーズの番外編。ある全寮制の学校で学ぶヨハンは、「笑いカワセミ」と呼ばれる奇妙なゲームが流行っていることを知る。そんな矢先、学校内で次々と不審な傷害事件が起こり、被害者は「笑いカワセミ」の声を聞いたと口をそろえて言った――。
(pn675)

No.16 『〈ソードアート・オンライン〉シリーズ』(川原礫)

〈ソードアートオンライン〉(SAO) は2009年~現在までに電撃文庫にて既刊26巻刊行
〈ソードアートオンライン プログレッシブ〉(SAOP)は2009年~現在までに電撃文庫にて既刊8巻刊行
図書館所蔵分はSAOが2巻、SAOPが6巻

最新作のVRMMORPG(仮想現実大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)〈ソードアート・オンライン〉に参加したキリト。しかし、そのゲームは開発者によってデスゲームに変えられていた――。ゲーム内で死亡したり、ゲームを無理にログアウトしようとすると現実世界でも死亡してしまうという。解決策はゲームをクリアするしかないというが……。迫力満点な冒険を楽しむことができる単純に面白いシリーズ。
〈ソードアートオンライン プログレッシブ〉はSAOの舞台アインクラッドの攻略を1層づつ改めて語る新シリーズ。(pn675)

ソードアート・オンライン1 アインクラッド 
SAOシリーズすべての始まり。デスゲーム開始からクリアまでを序盤~中盤を一気に飛ばす手法で最後まで書かれており、シリーズ自体は多くあるがこの1巻だけで完結しているように読むことができる。

ソードアート・オンライン2 アインクラッド
デスゲーム開始からクリアまでの間に出会った女の子たちとの交流を描く。

ソードアート・オンライン プログレッシブ1
第1層と第2層のボス攻略戦を描く。キリトの二つ名の由来となった出来事や、システムを利用した詐欺の話など。デスゲームの攻略を進める動きが出てきたものの、情報の齟齬などから攻略組にキリトを含むβテストプレイヤー(同じゲームの試作版遊んだプレイヤー)が嫌われてしまう。

ソードアート・オンライン プログレッシブ2
第3層の攻略を描く。3層のテーマは大森林。そこでキリトとアスナは今後層をまたいで実施されるエルフの抗争を巡る大型クエストを受注するが、βテストの時とは違う展開にキリトとアスナは戸惑う。更には謎のPK(プレーヤーを殺すことを目的として遊ぶプレイヤー)に遭遇し、攻略を進める2大ギルドの不和を起こそうとする意図に気付く。

ソードアート・オンライン プログレッシブ3
第4層の攻略を描く。4層のテーマは水路。プレイヤーたちはβテスト時にはなかった地形や水上戦闘に苦闘する。自らの舟が作成できるクエストなどを楽しむなか、キリトとアスナは大型クエストをこなす途中でボス戦に関わる秘密を入手する。


ソードアート・オンライン プログレッシブ4
第5層の攻略を描く。5層のテーマは遺跡。アスナはそこで出てくる死霊系のモンスターに苦闘するなか、大晦日に2大ギルドの年越しパーティーが開かれることになる。しかし、一方のギルドがレアドロップを巡ってボス討伐を抜け駆けするという情報を耳にしたキリトはギルドの均衡を崩さない為に更なる抜け駆けを決意する。

ソードアート・オンライン プログレッシブ5
ソードアート・オンライン プログレッシブ6

上下巻構成で第6層の攻略を描く。6層のテーマはパズルで、街中には先代の領主の呪いによりパズルがあふれている。前巻で取得したレアアイテムの取り扱いに悩むキリトだったが、クエストに関わるNPCの自然すぎる挙動に違和感を抱き、設計者の意図を超えたAIの意思のようなものが働いているのではないかと考える。

No.17 『かめくん』(北野勇作)

2001年、徳間Dual文庫より刊行、2012年、河出文庫より刊行
図書館所蔵は河出文庫版

かめくんはレプリカメ。クラゲ荘に住むことになった。なぜかというと、務めていた会社が吸収合併して独身寮を出ないといけなくなったからだ。新しい仕事は倉庫作業。図書館が好き。かめくんの生活から垣間見えるものとは……。
北野勇作の作品は一見どれも読みやすい。平易な言葉でお話しするように書かれているからだ。しかし、それに騙されてはいけない。気づけば著者に取り込まれている。抜け出すのは容易ではない。
第22回日本SF大賞受賞。(pn675)

No.18 『ミミズクと夜の王』(紅玉いづき)

2007年、電撃文庫(アスキー・メディアワークス)より刊行

奴隷として使われてきた少女が脱走した先の森で魔物の王と出会う寓話的なファンタジー。心に傷を負った少女を癒す昏い森がなぜか心地よい。
第13回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作。続篇に『毒吐姫と星の石』『鳥籠巫女と聖剣の騎士』(どちらも図書館未所蔵)があり。(pn675)

No.19 「独裁者の掟」(小林泰三)

2001年、『NOVEL21 少女の空間』(徳間Dual文庫)に掲載
2002年、早川書房より単行本で刊行された『海を見る人』に収録、2005年、ハヤカワ文庫JAより文庫版刊行 、図書館所蔵はハヤカワ文庫版『海を見る人』

量子ブラックホール・エンジンの燃料不足にあえぐ2つの世代間宇宙船は、それぞれ第一帝国と民主連邦に別れ資源を争っていた。帝国の総統〈緋の独裁者〉は苛烈な手腕で連邦を攻撃しようとしている。一方、帝国の大使として連邦にきた父親に連れられてきた少女は、連邦の街に抜け出しある男の子と出会う。ブラックホールの原理なんかわかんないよという方もいるかも知れませんが、別に読み飛ばしても問題はないんです。少女の悲しみと総統の決意が感じられるなら。(pn675)

No.20 『空が分裂する』(最果タヒ)

2009~2011年にかけて『別冊少年マガジン』(講談社)にて連載 
2012年、講談社より単行本で刊行の『空が分裂する』に第一部として掲載、2015年、新潮文庫nexより文庫版が刊行、図書館所蔵は新潮文庫nex版『空が分裂する』

詩集ですが、国語の教科書に出てくるようなものではなく、小説の一部のような文章で、初めて詩集に挑戦する人も読みやすい形式だと思います。この本を手に取った瞬間、鮮やかな表紙にそして、ページを開くと見開きの挿絵に引き込まれます。そして、本の前半の第一部では、挿絵を背景に文字が並んでいます。言葉と絵の双方の力を使って、日常の鬱屈とした感情を言葉にして吐き出して解放するように、世界と心の奥に入っていくような気分になれる本です。(翠)

No.21 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹)

2004年、富士見ミステリー文庫(富士見書房)より刊行、2007年、富士見書房より単行本で刊行
2009年、角川文庫より刊行、図書館所蔵は富士見書房単行本版

家庭の事情から現実主義を心に決めた「あたし(山田なぎさ)」の学校に、人魚を名乗る不思議な転校生「海野藻屑」がやって来る。奇妙な交流の中で「あたし」は人魚に隠された秘密を知ることになるが…。
暗く、救われない物語を「あたし」の瑞々しい文章が縁取ることによって、どこにでもあるようで、どこにでもないような魅力を感じることが出来る。青春小説の怪作。
(猪頭一郎)

No.22 『GOSICK PINK (〈GOSICK〉シリーズ)』(桜庭一樹)

2003~2007年にかけてGOSICKシリーズが富士見ミステリー文庫(富士見書房)より刊行、後に角川文庫、角川ビーンズ文庫でも刊行、『 Gosick pink 』は2015年、角川書店より単行本で刊行

前巻までにて二度と離れぬ誓いを立ててアメリカに渡った久城一弥とヴィクトリカ。一弥の姉を頼って泊めてもらったものの、このままではいけないと仕事と家を探しに出る。しかし、ヴィクトリカが迷子になってしまい、一弥は人探しの記事を出しに行った新聞社で採用試験に巻き込まれてしまう。
〈GOSICK〉シリーズはこの作品のみ所蔵。(pn675)

No.23 『荒野』(桜庭一樹)

2005~2006年にかけて『荒野の恋』としてファミ通文庫(エンターブレイン)より2巻刊行
2008年にその2巻に書き下ろしを加えた3部構成で文藝春秋より単行本で刊行
2011年に文春文庫より刊行、図書館所蔵は単行本版

自由奔放な小説家の父親と家政婦と3人暮らしの主人公荒野。中学校の入学式に向かう途中の電車で制服が引っかかったのをある男の子に助けてもらいますが、彼はなぜか少しよそよそしい。そんなある日、家に帰るとその男の子と母親が訪れて、なんと父親と再婚するという――。全体的には爽やかな青春小説なのですが、主人公が男女の関係を目の当たりにして否応なしに成長していく姿に一抹のほろ苦さを覚えます。(pn675)

No.24 『約束のネバーランド~ノーマンからの手紙~』(白井カイウ/七瀬)

2018年、JUMP j BOOKS(集英社)より刊行

ノーマンやエマなど孤児たちが平和に暮らすグレイス=フィールドハウス。しかし、実際は外の"鬼"たちに食糧を供給する「人間飼育場」だった。それを知ったノーマンやエマたちは脱獄計画を練るが……。そんなマンガ『約束のネバーランド』本編では書かれなかった、ノーマンたちが"真実"を知るまでの、グレイス=フィールドハウスでの束の間の幸せな日々のエピソードを収める。(pn675)

No.25 『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』(白田)

2018年、小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載、同年、ポプラ社より単行本で刊行

1968年に起きた府中三億円事件の犯人を名乗る人物の手記という体裁の小説。大学生であった主人公は、普段高校の同級生Sと大学での同級生橋本と過ごしていた。しかしSと橋本が付き合うことになってしまう。そんな中、主人公は討論会で見かけた三神という女性に魅力を覚え、彼女が会長を務める「経済理論研究会」に加入するが、そこで活動資金の調達方法として現金輸送車を襲うという冗談を耳にする――。
犯人の手記やミステリとしてではなく、青春小説として読んだ方が面白いと思われる。(pn675)

No.26 『君の膵臓をたべたい』(住野よる)

小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載
2015年、双葉社より単行本で刊行、2017年、双葉文庫より刊行、図書館所蔵は双葉社単行本版

クラスの隅にいる地味な主人公は、病院でクラスの人気者の女の子と出会う。彼女の日記を見て余命が幾ばくもないという秘密を知った主人公は、彼女と二人で食べ放題へ行ったり、旅行へ行ったりして少しずつ交流を深めていきますが……。他人に興味がなく皮肉っぽい主人公が知り合った女の子を通して他人に少しずつ心を開いていく様子が微笑ましいです。相手を想う意味が込められたタイトルも素敵です。(pn675)

No.27 『まおゆう魔王勇者』(橙乃ままれ)

2010~2012年、エンターブレインより刊行(本編5巻+外伝3巻)、図書館所蔵は本編第1~4巻のみ

2chの掲示板の投稿を元に脚本形式で書かれた珍しい作品。魔王と勇者のが世界を改革する物語。元は掲示板投稿作品と言うだけあって、通常の小説には似合わないネットスラングや経済学、社会学、農学などのマニアックなオタク的知識なども多く出てきてハイコンテクスト(作者と読者の間に多くの共通認識=お約束が要求されるということ)になってはいるが、意外とそれらが興味のきっかけになるかもしれない。内政チート(現代の知識をファンタジー世界へ持ち込んで改革すること)が好きな方は是非。(pn675)

第1巻 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
人間と魔族が長い戦争を続けている世界。魔王を討伐するために旅立った勇者だったが、いよいよ魔王と対峙するときがきた。しかし、魔王はなぜか武力を行使せずこの国の窮状の分析をはじめた。それに勇者は混乱するが……。

第2巻 忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀
勇者と魔王が始めた農業改革によって飢えをしのげる民が出てきたもの、国同士なパワーバランスが崩れ政治的に不安定な状態へと突入する。農奴の解放を宣言し飛躍的に国力を増す南部諸王国を快く思わない中央諸国は連合軍を侵攻させるが……。

第3巻 聖鍵(せいけん)遠征軍
停戦維持を望む魔王だが、それを望まない好戦的な蒼魔族の刺客により重症を負ってしまう。そんな中、聖王国は魔界侵攻をたくらみ聖鍵遠征軍を派遣するが……。

第4巻 この手でできること
魔王を害した蒼魔族だったが、魔王のもとから流出した聖鍵遠征軍の銃の威力により全滅してしまう。そのまま勢いに乗り魔界に侵攻した聖鍵遠征軍だったが、ここに来て各人の思惑の違いから戦略が定まらず混乱し始めた。

第5巻 あの丘の向こうに(図書館未所蔵)
ついに魔族の聖地である開門都市を包囲した聖鍵遠征軍。その中の魔王は何を思うのか。魔王と勇者が夢見た「あの丘のむこう」へ行くことは出来るのか?

No.28 『君にさよならを言わない』(七月隆文)

2003年、電撃文庫より『Astral』として刊行、2015年、現在の題に改題し宝島社文庫より刊行
図書館所蔵は宝島社文庫版

事故をきっかけに視えるようになった主人公が少女の幽霊たちの願いを叶える連作短編集。幽霊の少女や、お兄ちゃん(主人公)にツンデレの妹など、2000年代に流行した雰囲気(ツンデレや萌え系)が感じられる優しいファンタジーになっている。(pn675)

No.29 「テロルの創世」(平山夢明)

2001年、『NOVEL21 少年の時間』(徳間Dual文庫)に掲載
2011年、角川文庫より刊行されたアンソロジー『不思議の扉 午後の教室』に収録

十歳になり、自らは誰かの”影”であることを知らされた巳影たち。そんな中、とある事件が起こり、巳影の好きな女の子が心神喪失状態になってしまう。巳影は彼女の”光”に会いに行くためこの街を飛び出ることを決意する――。
著者の普段の作風からは意外で感動的な近未来SF。スプラッタはちょっと……という方でも多分だいじょうぶです。(pn675)

No.30 『異世界語入門~転生したけど日本語が通じなかった~』(Fafs F. Sashimi)

2017年より小説投稿サイトの「小説家になろう」及び「カクヨム」に掲載
2018年、角川書店のL-エンタメ小説より単行本で刊行

いつの間にか言葉の通じない異世界に転生していた主人公は、助けてもらった女の子に教わりながら現地の言葉を学習していくことになる……という異世界転生ファンタジーの構成を借りた若干メタフィクション気味の言語学の解説書+著者独自の架空言語の習得指南書。通読はしたが、その世界の言語(リパライン語)が読めた(理解した)わけではないので本当の意味で読めたとは言えないのが残念だ。(pn675)

No.31 「三時間目のまどか」(古橋秀之)

2005年、『ある日、爆弾がおちてきて』(電撃文庫)に掲載
2011年、角川文庫より刊行されたアンソロジー『不思議の扉 午後の教室』に収録

ボーイ・ミーツ・ガール×時間SFの傑作。ある日の三時間め、ぼーっと教室の窓をながめていた主人公は、ガラス窓に女の子が映っているのを発見します。十一時のちょっと前の短い時間だけ映る彼女と何とか身振りや手話で会話し、女の子の名前や電話番号を聞くことに成功しますが……。
この作品が収録されている短篇集『ある日、爆弾がおちてきて』は他にも名作ぞろいでおすすめです。(pn675)

No.32 『転生したらスプレッドシートだった件』(ミネムラコーヒー)

2018年より小説投稿サイトの「カクヨム」に掲載、2020年、技術評論社より刊行

転スラならぬ転スプ。スプレッドシートのworkerに転生した元社畜の主人公たちがモンスター=関数と戦いながら使い方を紹介するITラノベ。この小説?を読んだあと書籍管理ツールをGoogle Spreadsheetで作ってみましたが結構役に立ちます。ある程度Excelが使えるなら……というかエンタメとして読むのも教習本にするのもあなた次第。私はエンタメ:教習本=4.5:5.5ぐらいの感じで読みました。(pn675)

No.33 『ブレイブ・ストーリー』(宮部みゆき)

2003年、角川書店より単行本上下巻で刊行
2006年、角川文庫より全3巻で刊行、同年、角川スニーカー文庫より全4巻で刊行
図書館所蔵は単行本版

ちょっと理屈っぽい小学生の主人公はどんどんこじれていく両親の離婚話に運命を変えたいと願い、先に進んでいた同級生のミツルを追って、 5つの宝玉を集めて運命の塔に住まう女神のもとへ向かえばどんな願いもひとつ叶えてもらうことができる〈幻界〉へと旅立つ。
作品の構造はよくある異世界往還ものだが、全体の1/4を使って現実の主人公を取り巻く状況が丁寧に書かれており、ファンタジーパートもクオリティが高く流石の出来。異なる立場の正義の対立に悩む主人公の成長に感動する。(pn675)

No.34 『蜂蜜色の瞳(〈おいしいコーヒーのいれ方〉シリーズ)』(村山由佳)

1994~2020年、JUMP j BOOKS(集英社)より刊行、1999~2020年、集英社文庫より刊行
『蜂蜜色の瞳』2007年、JUMP j BOOKSより刊行

主人公の和泉勝利は、いとこの花村かれんとつき合っているが、彼女が教師を辞めて転職したことから遠距離恋愛となっている。彼女に何もしてやれてないと思っている勝利だったが、更に自分の事が好きらしい大学の友人である星野のかれんを挑発するような言動に頭を悩ませる。ある時、かれんは勝利二人で会うために休みを取ることになったが……。
〈おいしいコーヒーのいれ方〉シリーズはこの作品のみ所蔵。(pn675)

No.35 『トワイライト・テールズ』(山本弘)

2010~2011年にかけて『ザ・スニーカー』にて連載
2011年、角川書店より単行本で刊行、2015年、角川文庫より刊行、図書館所蔵は単行本版

怪獣の出現が自然災害として扱われる世界を描く著者のシリーズ『MM9』と同一世界観の短篇集。
収録作は、出現した怪獣を追ってきた少年の想い「生と死のはざまで」、祖父が見たという怪獣を探す少年と避暑にきた耳が聞こえない少女の交流を描いた「夏と少女と怪獣と」、孤独な少女と他の星から死に場所を求めてやって来た神の交流「怪獣神様」と書き下ろしの「怪獣無法地帯」。(pn675)

No.36 『骸骨を乞う 彩雲国秘抄(〈彩雲国〉シリーズ)』(雪乃紗衣)

2003~2011年にかけて彩雲国シリーズが角川ビーンズ文庫より刊行、後に角川文庫でも刊行
『骸骨を乞う 彩雲国秘抄』は2012年、角川書店より単行本で刊行、後に上下巻で角川ビーンズ文庫、角川文庫より刊行、図書館所蔵は単行本版

名家の生まれながら貧乏な暮らしをしてきた紅秀麗と彩雲国国王の紫劉輝を中心に架空の国〈彩雲国〉の歴史を描く〈彩雲国〉シリーズ。紅秀麗は国王紫劉輝の教育係として後宮に入ったことをきっかけにして「官吏になりたい」という夢を追い求め波乱万丈の人生を送ることになる――。現在のところシリーズの最終巻である本作は彩雲国の官僚鄭悠舜、旺季、凌晏樹や紅秀麗の晩年の話などが収録されている。
〈彩雲国〉シリーズはこの作品のみ所蔵。(pn675)

No.37 『いまさら翼といわれても(〈古典部〉シリーズ)』(米澤穂信)

2001~2002年、〈古典部〉シリーズの最初の二作(『氷菓』『愚者のエンドロール』)が角川スニーカー文庫にて刊行、以降の巻は角川書店より単行本で刊行の後、角川文庫より刊行
『いまさら翼といわれても』は20016年、角川書店より単行本で刊行、2019年、角川文庫より刊行
図書館所蔵は単行本版

省エネ気質の折木奉太郎と好奇心旺盛の千反田えるを中心とする古典部シリーズの第6作。表題作は、合唱祭に参加するはずだった千反田えるが行方不明になった事件を描く。その他に、「箱の中の欠落」「鏡には映らない」「連峰は晴れているか」「わたしたちの伝説の一冊」「長い休日」が収録。
〈古典部〉シリーズはこの作品のみ所蔵。(pn675)

No.38 「高校教師/恋人/共犯者(〈1999年のゲーム・キッズ〉シリーズ)」(渡辺浩弐)

1993~1995年にかけて『ファミコン通信』にて連載の後、ファミ通ブックスより単行本で出版
後に幻冬舎文庫より出版
2004年、シリーズから代表して3作が『ロボット・オペラ』に収録

〈1999年のゲーム・キッズ〉シリーズより著者のライフワークになっている近未来SFショートショート3篇。いずれも鋭く現代社会を批評してみせる。
内容は、どんな機械でもカンニングできない究極のテスト問題「高校教師」、机の上のミニチュアアイドルロボット「恋人」、パワードスーツによるいじめの復讐「共犯者」。(pn675)

No.39 『岸辺露伴は叫ばない 短編小説集』(アンソロジー)

2018年、JUMP j BOOKS(集英社)より刊行

『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する人気漫画家である岸辺露伴が遭遇する怪奇現象の数々。ジョジョは読んでなくても、単発のSFやホラーとして面白い。もちろん読んでいればにやりとできるだろう。(pn675)

「くしゃがら」(北國ばらっど)
知り合いの漫画家に見せてもらった出版物使用禁止用語リスト。その中にあった意味も分からなければ辞書にも載っていない「くしゃがら」という言葉。その漫画家は常に「くしゃがら」にとりつかれ、徐々に変質していく……。

「Blackstar.」(吉上亮)
奇妙にねじれたペンを取り出し岸辺露伴は言った。「都市伝説〈スパゲッティ・マン〉の唯一の生還者になった」と。いつの間にか写真に映り、次第に存在感を増す謎の男。彼に気付いた者は例外なく行方不明になるという――。

「血栞塗」(宮本深礼)
図書館に稀覯本「河豚食への誘い」を探しに来た岸辺露伴。彼はそこで「見つけると不幸になるといわれる真っ赤な栞」の噂を司書から聞く。その後ふと目をやった~の棚に「河豚食への誘い」はあり、中を開くとそこには真っ赤な栞が――。

「検閲方程式」(維羽裕介)
資料を探しに来た大学図書館で出会った図書館の職員。彼は数学が専門で別次元に干渉するための方程式を解こうとしているという。彼のノートを盗み見た岸辺露伴は突然機械的な警告音声を発しはじめた彼に驚愕する――。

「オカミサマ」(北國ばらっど)
自身の税理士から聞いた支払いをチャラにしてくれるという宛名書き〈オカミサマ〉。立ち寄った書店でその裏技が使えたことに満足した岸辺露伴だったが、夜中に自身の身体の異変に気付く。

No.40 『ステイホームの密室殺人 1,2』(アンソロジー)

2020年8~9月、星海社FICTIONSより刊行

「夜明けが遠すぎる」(織守きょうや)
1に収録。オレオレ詐欺の掛け子(電話をかける担当)などをしていた俺。しかし、ある時電話の相手にオレオレ詐欺だとばれてしまい逆に恐喝されるようになってしまう。コロナ禍で仕事がなくなりまた金の無心に来た相手のことを、出会い系サイト関係で知り合った知り合いに愚痴ると、彼は「殺しますよ」と言った――。

「すべて別れを終えた人」(北山猛邦)
1に収録。クラスメイトが住んでいたアパートの火事跡からバラバラ死体が発見された。その人物は新型コロナウイルスの感染を恐れて都会から帰省していたのだが、なぜ殺されたのか。帰省時期と感染拡大が重なってしまったため誹謗中傷が激しかったようだが関係はあるのか――。

「Stay sweet, sweet home」(斜線堂有紀)
1に収録。ロリータファッションを愛する私は今日も友達とオンラインで会う。楽しく会話している途中相手の家に停電が起き、復帰すると父親が死んでいた。私はリモートでその不可解な状況の推理を始める――。

「ゴミ箱診療科のミステリーカルテ 不要不急の殺人」(津田彷徨)
1に収録。老人ホームの入所者の一人が急死した。彼女は新型コロナウイルスの感染が疑われPCR検査が行われていたがまだ結果は出ておらず、症状からも感染は考えにくい。果たして彼女の本当の死因はなんなのだろうか?研修医がその謎に迫る。

「世界最大の密室」(渡辺浩弐)
1に収録。誰もいない街角に一人の男が倒れている。その死は自宅からの飛び降り自殺として処理されたが、彼の家は内側から施錠されており周辺にも鍵はない。どのようにして部屋を脱出できたのか?言い換えれば"部屋の外"という密室でどのように殺されたのか?

「ステイホーム殺人事件」(乙一)
2に収録。新型コロナウイルスに感染して自宅療養中の友人が殺された。私は別の友人とその事件について推理を始める。部屋は密室状態になっており、彼らは友人の母親が怪しいとにらむが……。

「潔癖の密室」(佐藤友哉)
2に収録。世界的パンデミックの十年後、館に引きこもった潔癖症の家族の大黒柱が不審な死を遂げる。その家族は同じ館にいるにも関わらず互いに会おうはせず、オンライン会議でコミュニケーションをとっており、そんな会議中に何者かによって刺されたのだった。探偵の私はその謎にせまるが――。

「すていほぉ~む殺人事件」(柴田勝家)
2に収録。メイド喫茶オタクのボク。昨日の推しメイドのLIVE配信の荒しを突き止めようと、アニメイトの裏で張り込みという“不要不急の極み”を行っていると謎の美女が現れた。同僚のメイドだという彼女だが、突然聞こえてきたサイレンに導かれると、そこは推しメイドが勤めるメイド喫茶で、中で店長が殺されているという――。

「題名のない朗読会(抄)」(法月綸太郎)
2に収録。疫学調査官の私はある児童文学作家の朗読会に参加する。彼は以前に実施した朗読会が自粛警察に目を付けられて炎上し、今回の朗読会も脅迫状が届いている。感染防止対策が正当に行われているか調査するのとともに、過剰な誹謗中傷を抑えるのも疫学調査官の役目。この朗読会でなにが起きるのか――。

「迷惑な殺人者」(日向夏)
2に収録。ステイホームの期間中、ふと窓をみると人がバルコニーに落ちてきた。その人物は自殺か他殺か。テナントで新型コロナウイルスの陽性者が出たビルで起きた事件の真相は果たして……。

「末恐ろしい子供」(渡辺浩弐)
2に収録。遠隔見守りサービスで動画が残っていたにも関わらず、証拠を残さずに殺された我が子。その裏には何とも恐るべき真相があった――。

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