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「人助けの本質」をなぜかクビにならない外資系窓際族から学んだ話

今回は、何故かクビにならない外資の窓際族から真の人助けとは何かを学んだ話です。

これは以前の職場での話です。サムライは腹切り、外資はクビ切りと言われるように(多分言われてないです笑)、大体仕事が出来ない人は容赦なくクビ切りにあいます(これはホント)。もちろん業種によっても多少差はありますが私の業界は面白いほど簡単にクビが飛びます。

そんな中、よく仕事でご一緒するおじさまがいましたがその方、ここだけの話、お世辞にも仕事が出来るとは言えない方でした。ただ、そのおじさま10年近くその会社に勤められている数少ない生き残りな訳です。

そうすると自然と次のような考えに至ります。「私の見えていない所で実は周囲から評価されているのでは」と。ただ、聞けども聞けどもまぁ悪い評判しか出てこない訳です。当然と言えば当然です。何故ならその方、仕事時間中はだいたい寝ているかネットサーフィンをしているかの2拓です。しかも、定時前にいなくなる。

普段は温和な私も流石に頭に来て上司に相談しました。その時、「なぜ彼はクビにしないのか?」と聞くと、「我々は完璧な人材を揃えられるわけではない。その中でどうやるのかを考えるんだよ。」と言われました。全く納得はしなかったですが彼の人事権を握っている上司がそう言うのですから、仕方なく引き下がりました。

それからしばらく経ったある日、当時携わっていたプロジェクト関連でとてつもなく面倒くさい案件が発生しました。詳細は省きますが、どっちに転んでも炎上するし、担当したら顧客のサンドバッグになる事請負な案件です。外資あるあるですが、この手の案件を仮に神がかり的に上手く回しても売り上げが増えるわけではないので本社から評価されにくいです。

そして、それを皆理解しているので積極的に引き受けるような事はしません。ドライに聞こえるかもしれまんが、皆お金稼ぎに来てるのであってボランティアしたい訳じゃないんです。なのでこの案件を聞くやいなや皆自分が既に抱えている案件が大変なんだという顔をします。そして、「any volunteer?」っと上司が立候補を募るも皆沈黙を続ける訳です。

すると、「俺やりますよ」と例のおじさまの声が。声の方を振り向くと平然とした表情でまるで自分の出番が来たと言わんばかりに堂々と手を挙げているおじさまがいました。私は「助かった〜」と胸を撫で下ろすと共におじさまに感謝の感情を抱いている自分に気づきました。そして、はっとさせられました。これがこの人の役割なのだと気づいたからです。そして、上司は、この事を分かっていて彼をキープしているのだとも。

確かに売り上げには繋がらないかもしれませんが、チームのモチベーションを保つ事には間違いなく繋がっています。言ってしまえば上司含めチーム全員を助けているのです。しかも皆が困っている時に。人助けは、本当に困っている人を助ける瞬間に凄い価値があるのだとはっと気づかされた瞬間でした。

「当たり前でしょ」と思われますか?でも、仕事だとついつい「転ばぬ先の杖」で物事考えていませんか?つまり、将来困らないよう先読みしてませんか?
もちろん先読みして将来困らないように行動する事も人助けだと思います。ただ、少し逆説的ですが困る前の人を助ける事より既に困っている人を助ける事の方がより本質的な人助けではないでしょうか。
仕事で「転ばぬ先の杖」ばかりで物事を考えるからこそ真の人助けを見失っていた自分に気づかされる一件でした。

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