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現代社会に住みつく「口裂け女」達

皆さんは口裂け女の伝説をご存知でしょうか?
これは40年前に社会問題にまで発展したデマですが、この話を紐解くと実は形を変え、より深刻な形で現代社会を生きる私たちを惑わしているのではないか?という話です。

口元を完全に隠すほどのマスクをした若い女性が、学校帰りの子供に 「私、綺麗?」と訊ねてくる。「きれい」と答えると、「……これでも……?」と言いながらマスクを外す。するとその口は耳元まで大きく裂けていた、というものです。そして「きれいじゃない」と答えると包丁で襲われると。

今聞くとB級ホラーのシナリオのように感じるでしょうが、これ1979年に社会問題にまで発展した都市伝説だというから驚きです。

そして、事の発端は意外にも我が子を愛するお母さん達だったようです。当時塾通いが金持ちにしかできない時代背景の中、経済的事情から塾に通いたい子どもを諦めさせるしかなかった母親達が捻り出した嘘がこの「口裂け女」だったそうです。「塾通いは危ないんだよ」と。

そしてその噂を地元紙や週刊誌が面白がって取り上げ1979年の年明けから全国に広がっていったそうです。
まだまだ繊細な小中学生にこの話は強烈だったようで結果的にパトカーの出動や集団下校など実際に社会的影響を及ぼすまでのインパクトを与え社会問題になりました。

ただ、この噂、夏になると途端に終息したそうです。主な原因は当時唯一噂を拡散する場だった学校が夏休みに入り、噂が拡散する場が無くなってしまった事だそうです。

では、現代社会ではどうでしょうか?SNSの登場で噂は瞬時に世界に拡散され、何よりも夏休みのような終わりがない状態です。この理屈からすると現代社会では口裂け女のような噂が終わるきっかけが無い事になります。もちろん口裂け女のようなあからさまなデマは叩かれすぐに鎮火するでしょうが、例えば価値観のような正解がないものなどは私たちの社会の根深いところまで入り込み一人一人の心を侵食しているのではないでしょうか?

例えば最近だとコスパやタイパなど効率至上主義という価値観は若者の間で流行っていると思います。これは言い方を変えれば若者が自身の評価をパソコンやスマホと同じ性能で評価しようとしているように感じてしまいます。もちろん、そういう価値観が流行る背景には口裂け女の母親の優しさのように理由が隠れていると思います。例えば今までの大人達が「世界をより良くしよう」という思いで気付き上げた資本主義という宗教、そして成功者を崇め奉ってきた歴史といったところでしょう。

今私達に必要なのは1979年のかつての夏休みなのではないでしょうか?情報や情報と接続されっぱなしの人間達から一旦距離を取り、心にまで入ってきている口裂け女を冷静に見つけ出しつまみ出す事なのではないでしょうか?

まぁこういう呼びかけをSNSでする私もその口裂け女の一人かもしれませんがね…

というアメリカのB級ホラー的な終わり方でこの記事を締めようと思います。笑
最後まで読んでいただきありがとうございます。

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