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【エッセイ】株式という物語


「虚構、すなわち架空の事物について語る(この)能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。」

「虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、集団でそうできるようになった。」

『サピエンス全史』

虚構、「物語」を語り、その「物語」をみんなと共有できる能力が他の動物には無いホモ・サピエンス独自の能力だと『サピエンス全史』の中でユヴァル・ノア・ハラリが語っています。

何故ならリンゴが欲しい人と靴を欲しい人がいて、それぞれの価値が一緒であれば交換できますね。

交換した人はお互い自分が持っていない物を得ることができてお互いWIN-WINの取り引きができました。

しかし物々交換では例えば牛一頭と籠いっぱいのリンゴを交換するのは大変な労力です。

そこで人類は簡単に持ち運びが出来る価値の代替物、お金と言う物語を人類は発明しました。

リンゴ一個はタカラガイ1個、牛一頭はタカラガイ100個だとみんながその価値を信じる事によって、持ち運びと交換も簡単なお金は世界中に広がりました。

それによって人間が暮らしやすい温帯の気候帯が横に広がるユーラシア大陸では特に物や人の交流も盛んになり文明が発達したのでした。

そして余談ですが、その他の地域もユーラシア大陸から移住者が入植してきて、文明が暴力と搾取と一緒に入ってくるのです。

タカラガイは金や銀の金属に変わり硬貨や紙幣が生まれ、現代では電子マネーが使われつつあります、

更に現代社会を発展させたのが株式市場という物語です。

しかし僕にとっては不気味な物語でもあるのです。

会社やプロジェクトと言うリンゴや靴のように物質ではない、現実には存在しない人々の頭の中だけにある物語にタカラガイ(お金)を投資するわけですね。

投資しても靴やリンゴを得る訳ではなく、その会社やプロジェクトが成功したらお金が減ったり増えたりします。
お金という数字は抽象的なもので、リンゴを食べてお腹が満たされたり、靴がないから裸足であるいて足から血が出てしまったという人間の感覚で直接感じるものではありません。

しかし、そのお金に振り回されて一喜一憂するのが僕達の人生です。

身体的な感覚から離れた数字と言う抽象的な物語が一人歩きするのが、何だか不気味にだと思うのです。

何だか幽霊やお化けみたいです。
地に足がついていませんw

しかし、成功するか失敗するか分からないプロジェクトに対して個人の財産を全て注ぎ込むのはかなりリスクが高いから敬遠しますが、複数の資産家がお金を出しあうならそのリスクは分散されます。そして失敗しても損害が少額で済むし、成功すれば投資に応じた報酬を得る事が出来ます。

株式は、17世紀に入ってから本格的に活用されるようになりました。1602年にオランダに設立された東インド会社は小口の資金を集めて大きな投資を可能にする株式という便利なシステムに目をつけ、船の建造から航路の開拓、商品の輸送と多額の資金を必要とする東方貿易に大いに活用するようになり、やがてヨーロッパ各地に広まりました。


人類(主にヨーロッパ住んでいた人々)は株式市場ができてから大きく発展していく事になります。人の想像の物語が大きく飛躍していった時代でした。

これから、人類はどんな物語を語り継いでいくのでしょうか?
宇宙に飛び立つ夢?それともそれは僕達が語っている物語は21世紀が最終章になるのでしょうか?




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