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【第2回インタビュー】誠心誠意。ID24(3年): 阿部優也。

こんにちは。Humans of ICUFCです。
今回はICUFC初の2部リーグへの挑戦を引っ張るキャプテン、ID24の阿部優也にインタビューを行いました。

人物紹介

阿部優也(あべゆうや)。
ID24、人類学メジャー。
中・高と東北の強豪・東北学院高校で活躍したのち、ICUFCへ。
農家である実家を飛び出し、三鷹の森で勉学・部活動ともに全力を注ぎ込む。

競技面では複数ポジションをこなせる器用さゆえ1年次から出場機会を得ると、2年次は不動のボランチとして君臨。圧倒的な存在感で2部昇格に大きく貢献する。
3年目となる今年度は、部長兼ゲームキャプテンに就任。史上初めての2部という舞台に挑む中心人物として、ピッチ内外でチームに落ち着きと闘争心をもたらす。

文武両道を体現する我らが主将、今回のインタビューではそんな彼の普段見せない一面と、ICUFCというチームへの想いに迫る。

時折見せる笑顔の素敵さ。

インタビュー

1人の時間が好きな幼少期〜サッカーとの出会い、文武両道への道

  • まずは、優也の普段見せない一面を探りたいです。幼少期、中学、高校での話を聞かせてもらえる?

阿部:まず、2001年の8月22日の13時30分に生まれました。
小さい頃からおとなしい性格で、飛行機に乗っても全く泣かずに他の乗客に褒められるくらいだった。幼稚園〜小学校は友達とサッカーとかもしてたけど、本読んだりレゴブロックで遊んだり、1人の時間が好きだったと思う。

小学4年生の時に初めて親に連れられて地元のサッカーチームに行ったかな。その後もう一回友達と行って、そこで入部した。実は天才肌タイプで、1年間でリフティング1000回とかできるようになったんだよね。

幼き頃のキャプテン

で、小学6年生の時に親に少し強引に「東北学院に行け」って言われて、入学した。
入ってなんとなくずっとサッカーしてた、なんとなくって言っても今思えばめちゃくちゃやってたけど。宮城県では相当強い学校で、県大会はずっと連覇してた。中学2年からスタメンで出させてもらってたかな。

中学2年の時には全国大会に出て、ベスト8で静岡学園に負けた。めちゃくちゃ悔しくて、めちゃくちゃ泣いて。でもここが自分の人生の分岐点だと今は思ってる。史上最弱の代って言われてたけど、史上最高の成績を残せた。頑張れば報われるとか、チームでの団結の重要性とか、この成功体験があったからこそ、今ICUFCでその延長線上で活動できていると思う。

  • それはただ単に練習時間とか量を増やして努力したから達成できたの?

阿部:んー、っていうよりは、その頃から考えてサッカーをしてたのが大きいかな。自分のできないこととか強みを意識して自主練してた。
でも正直自分のことで一杯一杯で、あまりチームのことは考えられていなかった。自分が上手くなればチームは勝てるだろうみたいな考え方をしてたから、結果的に良い結果は残せたけど、今とその時ではだいぶ違ってるかな。

  • なるほど。高校では?

阿部:高校では実はサッカーのやる気がなくなっちゃって、不貞腐れてた。すぐネガティブになるプレイヤーだったと思う。自分や、監督に対しても。

その時に唯一頑張れたのが勉強だった。なんか勉強の方が楽しいじゃんって思ってた。
でも正直、あの頃には一生戻りたくない。定期テストの勉強とか頑張りすぎて蕁麻疹とかがすごくて死にそうになってた。
でもなんだかんだサッカーも頑張ってて、高校2年では宮城県で優勝して、東北で3位とかだった。でも結構怪我に悩まされる高校サッカー人生だった。腰椎分離症がひどくて半分くらいしかサッカーできてなかったんじゃないかな。

で、ICUに行くって決めたのが高2の夏ごろ。
推薦だったから、定期テストの勉強を本当に頑張ってた。ここで悩んだのが、高校3年の夏の大会(インターハイ)が終わってから引退するかどうか。受験組は引退して勉強に専念することが多かったけど、自分はどうしてもサッカーを捨てることができそうになくて、色々な人と話したんだよね。

その時に一番印象に残っているのが、学年主任の言葉かな。
「やりきったって思えることが一つでもあったほうがいいんじゃない?」って言われて、これが結構響いた。
結局サッカーは続けて、秋くらいからトップチームのスタメンになれて、頑張って良かったって心から思えた。

高校サッカー引退、現在の自己の形成が始まる

  • 高校サッカーを引退してからは?

阿部:引退してから大学に入るまでがめちゃくちゃ楽しくて。読書とかひとり旅に目覚めた。ロードバイクで東北一周とかもしたかな。
コーヒーもその時に好きになった。実は最初にコーヒーに目覚めたのは中2なんだけど。職業体験で中古車清掃をする機会があって、労働の後に死ぬほど疲れてる時にその会社の人がBOSSの微糖を買ってくれて。それが美味しすぎたのが最初。
高校サッカー引退後にはベローチェ(カフェ)に入り浸ったり、道具を揃えて自分で淹れるのにハマったり。今住んでる欅寮(注釈①)にはコーヒー文化があって、タマケイさん注釈②、ID20のICUFC OB、佐々木奎太さん)の弟子の人に色々教えてもらったり。

  • 欅のコーヒー文化は異色だよね(笑)その他にはある?

阿部:やっぱり食べ物が好き。いっぱい、美味しく食べることが(笑)
高校時代は、実家が農家だからトマトをパッと取ってきて、パスタ作るみたいなこともしてた。「野菜ってうめえな」とか「料理楽しいな」とか思ってた。
やっぱり高校卒業〜ICUFCに入るまで(9月)の半年間がいろんな趣味が増えた時かな。

(ID24の)1年生の時はちょうどコロナが始まったから自由な時間が割とあって、結構その時期がデカかったのかな。自分のやりたいことって何だろうとか、自分はどういう人間なんだろうとか。

  • その中でも理想像とか、尊敬する人みたいなのはある?

阿部:身の回りに尊敬できる人がたくさんいる。
寛太くん(前任監督、泊寛太さん)、たけ(前任キャプテン、ID23、中村仁勇)、ひろきさん(前々任キャプテン、ID22、内藤大貴)とか。寮にも身近に尊敬できる人が沢山いて。
正直、元々は他人に興味がなかったんだよね。他人の良いところとかをあまり見ようとしてなかったと思う。でも人に興味がなかったのが、大学入ってから人をしっかり見るようになった

『どういう人になりたいか』だと、冒険的な人になりたいと思ってる。これはキャプテンになる時に自分ってどういう人間になりたいんだろうってかなり考えた。
冒険的な人って、行動力があるとか、自分の趣味を大切にするとか、心が広いとか、抽象的ではあるし、自分の中でもぼんやりなんだけど。冒険的な人になりたいっていうのははっきりとしてる。
結局、それに似た要素を持っている人が自分にとって尊敬できる人なのかな。

穏やかに、かつ力強く語る阿部

キャプテン就任後の内面の変化と、「リーダー」への想い

  • 次はサッカー面の話をしたい。キャプテンになる前と後では、チームを見る視点、自分の内面はどう変化した?

阿部:結構あるんだけど…(笑)まずは少しキャプテンになるって決めた時の話をしたい。
単純に、キャプテンをやりきった1年後と、キャプテンにならないでサッカーを続けた1年後、どっちが良いかと天秤にかけたんだよね。自分ってどっちになりたいんだろうって。
そうすると、キャプテンになった時の負担や辛さはもうどうでも良いやって思えてきて。実際に大変だったし、今も大変だけど。
そう決意して、自分の内面は大きく変化したと思う。

まずは、チームの一員として目標を達成するために今できることを考えるようになった
去年、寛太くんから練習の進行を任せられた時に、練習中率先してボールを場所に運ぶ人とか、ゴールを率先して運ぶ人とか、雰囲気を作るためにめちゃめちゃ声出す人とかの存在に気づけた。単純にすげえな、とかありがたいなと思って。
この気づきがあってから、自分もチームの為に何が出来るんだろうと考えるようになれた。

次に、感情が豊かになった。
去年、初めて嬉し泣きをしたんだよね。本当に2部に行きたいって思ってたし、自分は中心の1人っていうのも分かってたからプレッシャーもあったし。
そう考えると、最終節の1週間前とかからはずっと泣いてた。ID22,23の先輩と一緒にサッカーできる機会ってもうないんだって思ってた。寛太くんも最後だったし。
多分その時(キャプテンになるって決めた時)くらいから感情が豊かになった。嬉しいとかムカつくとか、感情の幅が広がった。

自分の都合をあまり気にしなくなったのも大きい。チームを優先するから、自分がこれをしたい、恥ずかしいからできないというのを捨てるのが簡単になった。俺は皆の前で発言することとか、日本文化的なことを凄く気にする人だったから、それが無くなったのはかなり大きな変化だと思う。

最後に、皆が何を考えてるのかを考えるようになった。仲良い人だけじゃなくて、先輩後輩問わず、ICUFCにかける想いだとか不安だとか、今あの人は何を考えてるんだろうなっていうのを考えるようになったかな。

  • 全部、キャプテンとして全体を見なければいけなくなった事が大きいのかな。その全体を見るというのはリーダーの一つの役割だと思うけど、優也の考える「リーダー」ってどんな感じなの?

阿部プライド、羞恥心、私利私欲を簡単に投げ捨てられる人じゃないかな。
あとは、サッカーだと結局、勝つことが目的だから、勝利に対する執着心をピッチの中で出せる人が良いリーダーだと思う。
やっぱり、前の監督やキャプテンが自分にとっての良いリーダーだから、そこから学んだことを参考にしてるし、自分の考えに大きく影響しているのではないかと思ってる。

「今は正直、大変」なチーム。それは高い目標を目指しているからこそ

  • 今のチームは、優也から見て率直にどう思う?チームの色、良さ、改善点、今のチームに対して優也が抱く感情とか。

阿部率直に言うと、自分も含め、大変だと思ってる
あまり良い結果が出てないのもそうだけど、弱いなりに2部で勝てる存在になるため、良い振る舞いを一人ひとりがしているかと言われたら、絶対そうではない。
ただ、そう振る舞えるようになるには時間も必要だから、幹部を始め、気づき始めてどんどんやるようにはなってきてるのかな。リーグ戦が始まってからは特に。

当たり前だけど良い面もあって、皆真面目なんだよね(笑)
確かに頭が硬いと感じる部分も無くは無いけど、新しいことを始めようと思えば始められるだけの行動力、それとちゃんとした考え方も持ってる。
例えば、新しくフィジカル部門の立ち上げを達郎(ID23、坂本達郎)とゆうすけ(ID24、三間郁典)が主導してくれていて。
そういう事を真面目に考えた時にみんなが乗っかれる、それをやろうと思えるところが単純にすごいなって思う。
自分達の今のチームのこともそうだけど、フィジカル部含めICUFCの今後のことも考えて行動できているところも凄く良いところだと思う。

とにかく、去年と圧倒的に違うところは戦う環境だと思ってる。2部になって負けが続いているけど(4試合消化時点、1勝3敗の状況でのインタビュー)、負けても次勝とうと本気で思っているところも凄い。DFラインでミーティングを開いたり、他にも工夫しているところが何個もある。

  • そもそも監督が変わって慣れないことも多いと思うけど、フィジカル部立ち上げ、新歓をパワーアップさせたりと、もがき続けているのが今年は本当に凄いよね。
    そんな中で、最後の質問なんだけど、優也は今後どのようなチームを作っていきたい?

阿部とにかく、ワクワクしたい。
高い目標を持っているからこそ、達成に向かってワクワクできる。正直ICUFCって小さい存在というか、舐められるというか。貧弱なチームって俺も思ってたし、入ってからもちょっと感じてた。
でもそんなチームが強い相手に立ち向かって、一生懸命戦って、勝っていく。それを見たらICUFCを応援してくれている人もそうだし、全く知らない人も一緒にワクワクできると思う。

そう考えたのも、キャプテンになってから応援してくれる人の多さを知ったのが大きい。
だから自分達もそうだし、そういう人たち(応援してくれる人たち)も一緒にワクワクできるチームになりたいなって思う
そのためには、自分達が楽しむことが一番だと思うから、負けてても勝ってても、チームで楽しむ事を忘れずにやっていきたいなと思う。

  • ワクワク、本当にしたいね。最後に言い残したことはある?

阿部本当に皆、ありがとう。

  • ありがとうございました。

ワクワクを創り出すため、今日も闘う。

注釈

欅寮:ICUに存在する寮の一つ。多くは木の名前が付けられており、他にも樅(モミ)寮、樫(カシ)寮などがある。文中にもあるが、欅寮には謎のコーヒー文化があり、時には屋外でコーヒーを淹れるイベントも開催されているようだ。

タマケイさん:上記欅寮に住んでいたID20のICUFC OB。コーヒーをこよなく愛し、玉奎珈琲(タマケイコーヒー)の屋号で出店したり、最近ではCommonというカフェを仲間と開いたり。リスペクトすべき先輩である。

出演:阿部優也
インタビュー・文:袴田知優(ID24)、近藤央(ID22)
インタビュー日時:2022年5月21日

さいごに

第2回は前回に引き続きID24から、キャプテンである阿部のインタビューをお送りしました。
この記事が、彼の思想がチーム中に浸透する一助になれば幸いです。

次回インタビュー記事は2週間以内に公開予定です。
今回も最後までご覧くださり、ありがとうございました!今後もどうぞお楽しみに!!


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【第1回インタビュー】 天真爛漫。ID24(3年): 堀内萌衣。

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