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眠れない夜。例えば、

 例えば、久々に友人と連絡を取った日の夜。

 目を瞑っていると、その人との思い出が頭の中をふとよぎる。今何してるんだろうかとか、明日電車の中でもし出会えたら何を話そうとか、妄想が次々と膨らんでいく。ともすれば、さっきあれを聞いておけばよかったなと後悔する。ベッドの中で眠れずゴロゴロしていると、文面だけでは満足できず無性に声が聞きたくなる。スマホを開いて、LINEやらインスタやらで電話をかける寸前までいくけれど、そこで終わってしまう。後1タップする勇気が出ないまま、友人との過去のトークを見返したりしてスマホを閉じる。そんな情けない夜もある。

 例えば、試験が終わった日の夜。

 体も頭もずっしりと重いのに意識だけ冴え渡っている。普段はぼんやりとした頭の映像がいつになく鮮明に映ってしまう。自己採点なんてたいそうなことは言わないが、その日の自分の調子について少し反省して、自分のことが許せなくなる。目を開けて壁を蹴ったり頬を叩いたりすることだってある。周りの出来が気になりすぎてしまうこともしょっちゅうだ。付き合いが長くなると、友人が取れそうな問題も大体分かる。勝手に1日を振り返って、勝手に人のことを想像して、勝手に一喜一憂する夜もある。

 例えば、noteを投稿した日の夜。

 ベッドの中で自分の書いた文章について振り返る。あの件をもっと膨らまして書けばよかったなとか、こういう表現を使いたかったなとか書き足りない思いに囚われる。そして、次にどんなテーマを文章にしようか色々と思い悩む。一つ投稿されたエッセイの裏は、形にはならなかったテーマが溢れかえっている。ふと今なら書けるかなと色々構成を練るが、やっぱり無理だと諦めることを延々と繰り返しているものだってある。整理しておきたい自分の過去について想像を働かせる、なんとなく楽しい夜もある。

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