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#6 ブラック勤めのオンナの逆襲 〜猛暑日の攻防戦 後編〜

前回の続き。

「お前が冷房つけたいだけだろーが」

そう言われて、腹が決まった。

そうか、そうくるか。言っても無駄なら、態度で示そう。
声を荒ぶることもせず、ただ心の底に確固たる思いを隠した。

泣いてすがっても知らんがな。

そして、一人出勤日の日に、ソレを決行した。

いつものように早朝に出勤。今日も暑くなる気配。いいぞイイゾ!
もっと暑くなれ。気温が30℃くらい超えてくれないと説得力がない。

【ソレ】は身体をはった大勝負。
でも、勝算はあった。わたしがいなけりゃ会社が回らない。製造レーンも、営業の処理も終わらない。爺や社長の細かなフォローも、パートさんたちは勿論できない。

だから、一人出勤日を狙った。

みんなに迷惑も掛からない。私一人が、遅れた分をちょっと、ちょこっとスピード上げて仕事を終わらせれば済むことだ。

知ってるかい?

オンナはね、
我慢して、
我慢して、
我慢が限界に達した時は、本気の行動に出るんだよ。

そうして顔にはおくびにも出さず、その時はやってきた。

外の気温、30℃
室温 32℃

(よっし、キタ。さて、行動に移すか・・・)

少しの吐き気と、軽い頭痛。これ以上ここにいたら立ち上がれなくなる。
そんな重症一歩手前の、軽い熱中症。

車のキーと免許書入りの財布と、携帯電話を握りしめて車に乗り込む。
もちろん、かばんは会社に置いておく。

カバンまでないと、爺やが大騒ぎする。

「カバンがない!音野はどこ行った」

隣街で仕事中の、先輩上司に電話をかけまくる姿が浮かぶ。

そうして、誰にも、何も言わずに自宅に戻った。

物音がしない、気配がしないことに気づいた爺や。
1時間くらいだろうか?爺や社長からの着信。

「おい!お前、今どこにいるんだ!」

「あー、すみません。熱中症で倒れそうだったので、自宅で『冷房きかせて』休んでます。今日の仕事は必ず終わらせますんで。もう少ししたら戻りますね」

ガチャッ。

電話を切った。

さらに1時間後。会社に戻って仕事再開。
身体も回復した分、仕事もはかどる。
いつもの1,5~2倍速。

(こうでなくっちゃ!)

オロオロと話かけてくる爺や社長。

「お前が倒れたらおれがこまるかならぁ~」
「暑いとな、倒れちゃうもんな」

エアコンのリモコンを握りしめて朝礼でそう言った。

心の中で、ガッツポーズ!

そう、じつは、私はこれを狙っていたのだ。

誰にも迷惑をかけず、仕事もその日の分はきっちり終わらせる。そして爺やに分からせる。異常な暑さは、熱中症は危険だということ。

それからは、室温が28℃になったらエアコンをつけていい決まりとなった。パートさんも、先輩上司も、皆喜んでいた。

身体をはった甲斐がありましたね。

前回のお話 ↓ ↓ ↓



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