四聖諦 ①
アチャン・チャー
●この法話は、1977年、イギリスのカンブリア州にある、マンジュシュリー協会で語られたものです。
今日はこの協会の会長に招かれ、皆さんにお話をすることになりました。どうかご清聴いただければ幸いです。言葉の壁がありますので、通訳を通して皆さんにお話をすることになります。そのため、話を理解するには少々集中力が必要かもしれませんが、どうかご容赦いただければと思います。
この場所での滞在は、とても快適でした。この協会の会長も、会員の皆さんも、真のダンマを実践している人々にふさわしく、皆とても親切で、友好的です。施設もとても充実していますね。ダンマを修行する場所を作るため、皆さんがおこなった献身を、心より賞賛いたします。
私ももう、長いこと瞑想を指導してきましたが、苦労の連続でした。現在、私の僧院であるワット・パー・ポンには約40の分院がありますが、最近になっても、教えを乞うてやって来る人々の中には、指導をするのが困難な人がいます。*1 瞑想のやり方を知らないのに、正しく学ぼうとしない人々がいるのです。また、瞑想方法を知っていても、まったく実践しない人もいます。そういう人々には、私もお手上げです。おそらく、彼らは無知なのでしょう。けれども、私がそのことを彼らに指摘しても、彼らはそのアドバイスに耳を傾けようとはしません。こうした人々に、これ以上何かできることがあるでしょうか? 瞑想実践をする人の心は、常に疑念に満たされています。彼らは皆、涅槃に達したいと口にします。しかし、涅槃への道を歩もうとは、決してしません。まったく不可解な話です。彼らに瞑想をするように言っても、やらないか、やってもすぐに居眠りをしています。そのくせ、私が教えたこともないような瞑想方法を実践したりもしています。以前、ここの僧院長に会ったとき、生徒さんたちの瞑想実践の具合はどうですか、と尋ねました。私のところと同じようなものだと、彼は答えました。瞑想指導者の苦労は、万国共通なようです。
【注】
*1 1992年現在、ワット・パー・ポンの分院は、大小合わせて約100程度ある。
(続く)
アチャン・チャー『Living Dhamma』より
"Living Dhamma", by Venerable Ajahn Chah, translated from the Thai by The Sangha, Wat Pah Nanachat. Access to Insight (BCBS Edition), 30 November 2013, http://www.accesstoinsight.org/lib/thai/chah/living.html .