【実話怪談】赤坂の喫茶店②
バイト同士で、何かを見たとか音がしたなどと話していると、急に社員の男性が会話に入ってきて、
「ここは霊道だよ」
と言うのです。
彼曰く、青山霊園から続く霊道が、お店の中をまっすぐ通っているとのこと。
彼の登場で、もはや店の怪奇現象より彼が何者なのかという雰囲気になっており、話題は彼を中心としたものに変わっていきました。
彼はしっかりと見えるタイプの人だそうで、店内にも時々いると。
色々と話していましたが、細かいことは忘れてしまいました。しかし、覚えているのは、見える人のお決まりのセリフ。
「どこにでもいるけど、目を合わせたらいけない。一瞬で目の前に移動してくるから怖いんだよ。」
目を合わせたらいけないことを何度もいっていました。
さらに、彼はオーラや守護霊も見えるそうで、オーラは具合の悪い人の場合、その部位が黒っぽく見えるなど色について説明してくれました。死が近い人は一目でわかるそうです。
その後、バイト仲間の過去を言い当て、そして言い当てられた子が感極まり泣き出すという、なんだか不思議な場と化していき、ちょうどTV番組『オーラの泉』が流行っていた時期でもあり、胡散臭いなぁと思いながら聞いていると、急に彼は私の背後を一瞥して
「お前には男の人付いてるな。あれ、でもその後ろにもう一人、背の高い男の人が待っているぞ。」
と目を細めて言うのを聞いたとき、なぜだか分かりませんがゾクゾクっとしました。
その後、お店は半年も持たずに潰れ、本店も後を追う様に閉店しました。
赤坂5丁目のビル、地下1階のお店でした。