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スズメのピー

最近スズメが街で減っているとよく耳にするが最近住んでいるマンションの日当たりが良い側のベランダにスズメが雛を産んで育てているのを目にした。

我が家では昔スズメを飼っていた事がある。

弟が巣から落ちた雛を拾ってきてそのまま死ぬまでおよそ7年くらいである。

ちょうど私は小学校に入学したあたりだったので中1あたりまで一緒に育ったと思う。

弟は昔からよく生き物を拾ってきたり、縁日で亀や金魚を持ち帰っては飼育をする癖があった。

スズメのピーもそのうちの1匹である。
今は鳥獣保護法とかでおそらく駄目なのであろうがスズメとインコの違いもよくわかっていないウチの両親はもう弟が生き物を拾って飼うのを半ば放置しておりそのおかげで我が家というか私と弟の共同部屋は拾ってきたペットで一時溢れかえっていた。

これは大人になってから聞いた話なのだが弟が飼っていたそのうちの一匹であるトカゲだかイモリだかをまだ小学校低学年であった私にエアガンで的にされ撃ち殺されたと言うのである。
窓際には白骨化したトカゲだかイモリの遺体がいつまでも置いてあり、その頭蓋には小さいBB弾くらいの穴が空いていたらしい。
それ以来私の事をサイコパスだと思っていると告白されたのである。

確かに私は過去弟に歯ブラシを口に咥えさせてよくエアガンの的にしていたことはあったがまさか弟の飼っている生き物まで的にするほど倫理観はイカれていない。

私には全く持って身に覚えもそんな非道をした記憶も全く無かったのでおそらくらたまたま玉が当たって死んでしまったのか悪い夢と勘違いしているのであろう。

もしこれが事実だとして今私と弟の体重差は25kg近くあり身長はほぼ同じなのであの時の復讐と言われて腕をへし折られてもまぁ文句は言えないし勝てないとは思っている。

少し話は逸れたが、そんな中スクスク育ったスズメのピーは手乗りで肩から口越しに舌から餌をもらいにくるくらいには懐いていた。
基本家で放し飼いだったのでそこかしこにウンチをするのだが雀のうんちなんてサイズ的にたかがしれているしそんなに臭くないのでうんちを見つけた人がティッシュでさっと拭く感じで基本放置で育って行った。(餌と水はあげてた)
窓やベランダは特に警戒せずに開けていたが寿命を全うするまで一度も逃げ出す事は無かった。

ある日学校から帰ると弟が何かを両手の手のひらに乗せて号泣していた事があった。

手の中をよく見てみるとピーの尻尾であった。
ピーと遊んでいるうちに尻尾が引っこ抜けてしまったのだと泣きながら説明する。

ピーは幸い生きていたが当時何も分からない私と弟はもう二度と生えて来ないものだと思い込み二人して号泣。


親が帰っきて獣医に連れて行くとただ尾っぽの羽根が抜けただけでまた生えてくると言われてホッと息を撫で下ろしたのを未だ鮮明に覚えている。

それから数年してまた学校から帰ると弟が今度はピーを両手に抱えて号泣していた。
今度は本当に死んでいた。
弟の手の腕ぐったりとしたピーを手の上に渡されるとすめたく固くなったピーが私に死を体感させた。
ひいおばあちゃんの葬式で遺体に触れた時は何も思わず涙も出なかったし私はもう中学校一年くらいにはなっていたのであまりカッコ悪いところは見せたくなかったがどんなに泣いても泣いても涙は止まらなかった。

両親が帰ってきた後2人でマンションの名前が書いてある石碑の前にひっそりと埋めた。
今はもう引っ越してしまいそこをわざわざ訪れる事はもうないけど、今でもスズメを見るとピーの事をふと思い出すのだ。

終わり

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