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疲れていることに気が付かない人

「自分が疲れているかどうか」を客観的に判断できない人が大勢いる。
フラフラなのに家に帰らない。ウトウトしてるのに眠らない。パフォーマンス落ちてるのに休まない。休みの日なのに休まない。
こういう人達はたぶん心(精神)に余裕がない。仕事や生活に余裕がなくなり、心がタイトになりすぎると、目の前のことしかこなせなくなる。

心の余裕がないと、物事を一歩引いて考えられなくなる。
今の時点より少し先のこと、少し後ろのことをイメージできなくなり、隣の人の気持ち、離れた他人の思考や心の動きを推察できなくなり、物事の移り変わりを客観的に捉えにくくなり、SNSで見ず知らずの人に暴言を吐いたり、気が付くと何もしないのに年月だけ重ねた疲れた中年になったりする。

人間は疲れるけどコンピュータは疲れない。

パソコンやインターネットの技術により、アナログ作業がデジタルにどんどん置き換わっている。人間は疲れるけどコンピュータは疲れない。人間は作業の合間に少しの余裕が必要だけど、コンピュータはそんなもの要らない。コンピュータは人間の作業の補助をするものだったはずだが、現時点では逆に人間が機械作業に合わせて振り回されているように感じる。
その結果ミクロ志向というか、細かいところに意識を集中し、それをキープしつつパフォーマンスを発揮できる人(しかもそれらをより短時間にこなせる、機械に近い性能の人)が優れていると考えられがちだ。でもそういう仕事を繰り返すあまり、最終的に目の前のものしか見えず、机に張り付いて目を見開き機械のように固まる生活になっている人が増えている。
そういう人が体調不良や病気になっている。

素早く精密に、精細にピントを合わせることは仕事をこなすうえで大事だけど、それだけでは近眼的な生き方になる。そういう人は意識の範囲がめちゃくちゃ狭くて鋭いから、近くにしかピントが合わない。目の前以外の離れた部分の認識がボヤけてしまい、体調不良が自覚できず、倒れるまで休まなかったりする。
最接近させている意識を少し広げ、全体的に対象をみてから自分と比べると、逆に自分の体の事がわかったりする。

意識のピントを遠くに合わせる

意識の範囲は自分の努力で拡げる事ができる。まずはゆっくり呼吸して、首を前後に動かす。自分の手と足がどの辺に付いてるか再認識する。
手は指から手首に繋がり、前腕と肘を経由して上腕、肩、脇で背中と胸に繋がっている。足も同じように、ひとつひとつのパーツが全部繋がることで体を構成してる。それを脳が統括してる。その繋がりを地図のように、ネット回線のようにイメージしてたどる。こうやって体のパーツをイメージすることで、意識の範囲は「目の前だけ」から「身体全体」に拡がる。
やってみてほしい。さっきまでと比べて、自分の輪郭が少しはっきりしたような気がするかもしれない。

意識の範囲を体全体に広げることができたら、次は部屋に意識を広げてみると面白い。ここから先は寝っ転がってやる方がうまくいく。
自分の体が部屋のどの辺にあるのか。平面図で描いてみる。中央か、端っこか。部屋にはどんな家具があるか、家具と自分の位置関係を簡素な2Dマップみたいにイメージする。できたらそれを三次元3Dマップにしてみる。
3Dマップはニュース番組で事故再現映像に使われるようなシンプルなものがいい。イメージしやすくないといけない。

部屋と自分の位置を統一してイメージできたら、今度は隣の部屋、廊下、階段、建物全体と順に範囲を広げてイメージしてみる。あくまでシンプルにざっくりとでいい。
建物全体の次は町内、市内、県内、日本国内と、どんどん広げていく。自分の家はどのあたりにあるのか、地図上でイメージしてみる。

いきなり日本地図まで広げるのはたぶん無理だ。建物全体くらいがいいだろう。ある程度イメージが広がったら、ふたたび自分の体全体のイメージまで縮小する。ドラえもんの秘密道具で大きいものが小さくなるみたいに、シームレスに縮小させるのがいい。自分の視点の延長線上に今住んでいる建物があり、家や部屋や空間の認識を狭くしていき、最終的に自分の体があり、目の前の机の上に繋がっているという感覚を理解する。そうすることで、景色を眺めるように自分の体を客観的に認識できるようになっていく。

この練習を寝床でやると、わりと早く眠くなる人もいると思う。
それはとても上手くいっているサイン。
客観的に自分を認識し、意識のピントを目の前から離すと、自然と力が抜けてリラックスできるようになる。
寝る直前までガリガリと机の前に這いつくばって集中していて、寝床に入ってもうまく眠れない経験をした人は多いと思う。そういう状態から素早く脱出してアタマを切り替えるのに、意識のピントを広げるのはとても有効だ。

客観的に認識すると、気が付くものが増える

自分の体を客観的に認識すると、どういう利点があるかというと、体調不良に早く気が付くようになる。今までは熱が出たり、頭が痛くなったり、体に苦痛が出ないと「調子悪いぞ」と気が付かなかったものが、その手前で「いつもと違うぞ」「変な感じがするぞ」と事前に察知し、早めに休息を取ることができるようになる。
体というのは一度本格的に壊れてしまうと、なかなか元通りには治らない。
だから壊れる手前で異変に気が付き、休息を取って回復させることがとても大切になる。早めの休息を取れば、回復にかかる期間も少なくなるし、結果的に長く効率よく働き続けることができる。
そのためにも、自分の意識と体を客観的に認識し、目の前だけじゃなく周囲も見渡せるようにしておくことをおススメする。

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