『パラサイト』 午後ローを予習する。

 さて八月最初の午後のロードショーは『パラサイト』。一九九八年の作品。なんか最近まぎらわしいタイトルの映画が一躍有名になりましたが、そちらとは違います。こちらはロバート・ロドリゲス監督の青春SFホラー。個人的に絶対見て欲しいSF映画のひとつ。まじで。
 青春映画の傑作『ブレックファスト・クラブ』とSF小説の名著『盗まれた街』を見事に融合させた、これひとつで主要な栄養素がひととおり摂取できる完全栄養食映画となっております。脚本は『スクリーム』『ラストサマー』のケヴィン・ウィリアムソン。好き。
 タイトルに関してですが、原題は『The Faculty』で意味としては能力、才能といったものと、学校の先生や教授陣といったものがあり、主人公ら若い才能と、寄生生物に侵略される学校職員らとを指すダブルミーニングになっていると思われる。たぶん。邦題に関しては、一九九七年に邦画『パラサイト・イブ』が公開されパラサイト=寄生生物というイメージが一般に認知されていたことから、つけられたものではないだろうか。
 出演は、本作の後に『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで大ブレイクするイライジャ・ウッド。『ブラックホークダウン』『パールハーバー』のジョシュ・ハートネット。『ワイルドスピード』シリーズでおなじみジョーダナ・ブリュースター。『ゾディアック』『アルゴ』など数多くの名作でバイプレーヤーとして活躍するクレア・デュバル。他にもアーティストのアッシャーが出演するなど、当時は話題になっていた。
 まさに新時代のブラット・パックと言っても過言ではない若手陣、それに対する教師たちも、かなり強烈な面々が揃っている。
 『ターミネーター2』のロバート・パトリックを筆頭に、ロバート・ロドリゲス作品に欠かせないサルマ・ハエック。二〇〇〇年からの『X−MEN』シリーズでジーン・グレイ役を演じていたファムケ・ヤンセン。『ハスラー』や七九年版『キャリー』などで超有名な大御所パイパー・ローリーと、すごくないですか? と声が出てしまうほどだ。あ、すっごいこれ。
 当時ロバート・ロドリゲス監督は『エル・マリアッチ』でにわかに注目を集め『デスペラード』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』で大ブレイクを果たしていた。その次の作品がこれだったのである。正直言ってあまり期待はしていなかった。あまりにも過去作とのテイストが違いすぎて、困惑していた部分もある。しかし蓋を開けて見れば、というやつである。はっきり言ってロドリゲス監督の柔軟な才能に驚かされた。その後も『スパイキッズ』などファミリー向けの映画を撮るかと思いきや『マチェーテ』のようなグラインドハウスリスペクトの映画も撮るなど、活動の幅は広い。好き。
 そんなわけで、僕にとっての『パラサイト』は常に本作なのである。
 

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