見出し画像

羽後燦樹のブックレビュー『戦略の要諦』

☆☆☆ 一読の価値あり

著者:リチャード・P・ルメルト
出版社 : 日本経済新聞出版
発売日 : 2023年11月25日
単行本 : 528ページ

戦略論の世界的権威、久々の新著です。

企業が戦略を策定する際に本当に重要なことは何か?

戦略は、
「長期目標」ではない。
ステークホルダー向けの売り込みでもない。
組織内での予算分捕り合戦に勝利するためのツールでもない。
士気を高めモチベーションを上げるようなメッセージを発信することでもない。
ミッションやビジョンとは別物である。
売上/利益の予算を立てそのとおり実現することを目指すのが戦略ではない。

う~ん、手厳しい。

戦略とは、
組織の命運を決するような重大かつ困難な課題を解決するために設計された方針と行動計画の組み合わせである。
戦略の策定とは、
克服可能な最重要ポイントを見きわめ、それを解決する方法を見つける、または考案すること。

これが本書を通して著者が言いたいこと。

具体例が実名仮名を交えて次から次へと示されます。
それらが面白くて500ページという大冊も苦になりません。

著者によれば戦略はある種の問題解決であり、長期的なビジョンというよりもむしろ、近い目標の連続。困難な課題に取り組み、克服する方法を考え抜いては行動に移す継続的なプロセスであるということ。

極めてシンプルであり、かつ、世間で流布されている「戦略論」のイメージとは一線を画しています。

で、どうやってその戦略を立てりゃいいんだよ?
と疑問を抱きながら読み進めるわけですが、最終章に「第5部 戦略ファウンドリー」としてしっかりそのあたりにも言及してくれています。

示唆に富み、使い方によっては非常に実践的な1冊と言って良いと思います。

よろしければこちらもご覧ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?