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羽後燦樹のブックレビュー『経営戦略の論理~ダイナミック適合と不均衡ダイナミズム(第4版)~』

☆☆☆ 一読の価値あり

著者:伊丹 敬之
出版社 : 日本経済新聞出版
発売日 : 2012年9月14日
単行本 : 357ページ

4版を重ねる経営戦略本の名著ですが、知人に勧められて最近読みました。

著者は一橋大学の名誉教授で「平成の経営」など多くの著書があります。

で、本書ですが、「経営戦略」というある意味非常に定義の曖昧な概念について、「顧客」「競争」「資源」「技術」「心理」という5つの対象要因を「経済/カネの論理」「見えざる資産/情報の論理」(いわゆるノウハウ・知識・経験値・学習・暗黙知→形式知・ブランド等)「人間心理/ヒトの論理」(モチベーションやロイヤリティ等)の3つの視点で漏れなくダブりなく論じています。

他の「経営戦略本」では上記のうち「顧客」「競争」について「経済(カネ)の論理」で説明して事足れり、としているケースがしばしばですが、本書はより幅広い視座に立ち「見えざる資産/情報の論理」「人間心理/ヒトの論理」という「人間くさい」論点からも言及していることが特色です。

また、市場や企業の内部に対して積極的に働きかけ、そこから生じる変化に対してさらに適合するという「ダイナミック適合」、そしてより革新的な「不均衡ダイナミズム」が提唱されていることも見逃せません。

豊富な事例も取り上げられており抽象論の理解を助けてくれます。
経営戦略とはどういう観点から構想され、実践されるべきか?を理解するにあたり一読に値する1冊です。

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