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羽後燦樹
2016年8月29日 07:57
シャリン、シャリン。鉦の音が近づいてくる。鉾を先頭に神輿が続く長い隊列は御旅所を出て通りを北上してくる。たいして広くない通りの両側には見物客がひしめいている。 よく晴れた5月の空の下を、祭りの列はゆっくりと進んでくる。 鉾の長さは電柱の高さを超える。男性の脛くらいの太さがあって先端には鉾の切っ先が、その下には金色の房飾りがあって鉦がついている。さらに幟まで下がっているので相当な重さだ。これを
2016年8月26日 10:54
「高校のとき、うちの両親離婚してさ。リョウくん、知らんやろ?その頃のこと」 「ああ、そうやなぁ・・・。」 居酒屋を出て皆が解散した後、僕はなんとなく久美子と一緒に歩いていた。すぐに診療所の前まで来た。 「お母さん、看護婦の資格持ったはったから、ここで働きださはったんよ」 久美子とは中学、高校と一緒だったが特に親しかったわけではない。特段美人というわけでもなく、自己主張するタイプでもなく、