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地域おこし協力隊から起業&定住! 地域に眠る「資産」を「糧」にする生き方

<<こんにちは、萩市ローカルエディターの上田です!今回取材をお願いしたのは、萩市地域おこし協力隊OBで、現在LIVE-FISHER株式会社の代表取締役であられる内田真太郎さん。彼は萩市地域おこし協力隊第2期生で、卒業後の現在は阿武川ダム湖(阿武湖)でフィッシング用ボートの貸し出しや周辺環境の維持活動などを行いつつ、自らオリジナルのフィッシングロッドを製作し販売しています。今回はそんな内田さんに、OBでなければ語れない地域おこし協力隊のことや移住・起業のことを聞いてきました!! この記事は、萩市移住をお考えの方や萩市地域おこし協力隊に関心のある方に読んでいただければ嬉しいです>>

上田)まずは協力隊に入る前の内田さんについて、教えてください。
内田さん)以前は香川県高松市に住んでいました。東京の会社に18年くらい勤めていたんですが、結構転勤が多くてアッチ行ったりコッチ行ったりと色々移動しまして、最後は高松市だったですね。それでそのあと萩に来て…。
上田)その後、どうして協力隊に応募しようと思ったのですか?
内田さん)正直なところ協力隊にはあまり興味がなかったですね(笑)私の実家が下関というところでして、いずれは戻らなければならないと思っていました。でも、変な言い方ですけど戻ってきても都市部と違って今まで培ってきた自分のスキルを活かせる会社さんもないので、田舎に戻っても再就職って難しいなぁと思って。だったら起業するしかないかなぁ、ということを10年くらい前から考えていました。でも、いきなりというも大変ですからね。そんな時に協力隊のことを知ってですね、この制度を利用すれば任期のうちに地盤作りができるかなぁっと思って応募してみました(笑)
上田)協力隊には興味はなかったけれど、知ったら魅力的だと思われた?
内田さん)そうですねぇ(笑)いきなり知らないところにポンときて何かをするよりも、協力隊に入ったことで、地域の方だったり行政の仕組みだったりを知ることができたという意味では、非常にいい経験だったなと思いますね。
上田)いざ採用されたらどうでしたか?
内田さん)一般の企業からでしたので、最初は行政のお仕事自体を私が理解できていないとうか…一般の企業とはだいぶ異なる、公平公正というサービスっていう面が非常に多い業種だなぁ…と思う中、正直2年間ぐらいは…というか在籍中全てですかね、私が市のために何かできたか? というと、正直なかったかなぁ(笑)と思いますね。
上田)いやいや、そんなことはないでしょう(汗)
内田さん)いやぁ、正直いって市の方に色々手伝って頂いてばかりで、私は好き勝手なことさせて頂いていたという思いしかないですね(笑)
上田)う〜ん(笑)ほんとはね、協力隊に入られてご苦労なさったことなどをお聞きしたかったんですが、それほど…
内田さん)地域おこし協力隊としての苦労ということでしたら、私は正直感じなかったですね。それよりも地域に住んでみて、そこの人や習慣などに馴染んでいくことの方が大変だと思いました。いい面もあり、これってどうなんだろう? っていうことなんかもあって、他所の土地から来た者にとってはまずそれに馴染むというか、慣れるというか…。
上田)今までは都市部にお住まいになられていたわけですからねぇ
内田さん)そうなんですよ。マンションとかに住んでいると、隣近所の付き合いなんてないですからね。なので、協力隊として苦労したというよりは、住むことに対して慣れていくのに苦労したというところはあると思いますね。
上田)なるほどですねぇ。では逆に住んでみて楽しかったこととか嬉しかったことってなんでしたか?
内田さん)行政含め地域の方含め、皆さんにあたたかく支えていただいた面は今でも非常に感謝していますし、毎日毎日目標に向かって歩めているのも、そういった方々の支えがあったからかなぁと思ってますね。それって何か特別なことじゃないんですけど、日常の中にそういうのがあったのかなぁと今も感じていますね。

萩市の郡部活性化を具体的に進めていきたいってのもあって阿武湖で起業しました

上田)阿武湖を活用したビジネスとして、レンタルバスボートをやろうとご提案されたのは内田さんご本人だと聞いたのですが、その辺について教えてください。
内田さん)私、もともと起業目的で(萩市に)来たんですが、正直釣りで起業するとは思ってなかったんですけど…、単なる「好き」の延長で(笑)というか…。ただ、萩市に来て新しいことで起業っていっても、もう年も年だし“何かの延長線じゃないと厳しいな”と思いました。そうなると、もう釣りしかないなぁと、協力隊の任期1年目で思いまして。最初は福栄地域の山の口ダムというところで、地元の漁協さんや地元の方とかでバス釣り大会を3年間で6回やってちょっとずつご理解といいますか…。このイベントの目的っていうのは、大会を開くことではなくて、地域に人が来てくれて“お金を落として頂く”というところがありまして。まぁ、毎回20人くらいしか集まらなかったんですけど、収益は全て地元におさめました。これをやってみて「もしかしたらビジネスになるな」と思いました。でもこのままではダメだなってことで色々検討した結果、こちら(阿武川ダム湖)でやろうってことになったんですね。
上田)こちらのほうが、ビジネス展開をするに相応しいと思われた?
内田さん)そうですね、中四国九州最大貯水量のダムですしね。あと問題も色々抱えていましたんで、その問題解決をね、利益目的だけではない部分もやらないとなぁということは常々思っていたんですよ。
上田)阿武湖が抱える問題っていったい…?
内田さん)今も100%終わったわけではないけれど、まぁ、私が来た時は色々とね…。山口県の河川はエンジン付ボートの航行を禁止しているんですけど、ここに来た当時はエンジン付ボートが走り回ってたんですよ。警告の看板とかも壊されちゃうし…。地元の人ともめる人なんかも出てきちゃって。でも無法が通れば今度はちゃんと守ってくれる人に迷惑かかるし、やはり道徳というか、ルールやマナーはちゃんと守ってもらわないとね。そんなわけでこれはマズイと思って、管理や監視ができるようにスロープを作ったりしながら環境整備をしました。
上田)なるほど、ちゃんとしている人に気持ちよく楽しんで頂くためにご苦労なさいましたね。
内田さん)お恥ずかしい話なんですけどね。今だに無法者が現れるとバトルモードになったりしますよ(笑)別に私のルールじゃなくて県で決められたものなので、ちゃんと守って頂かないとね。でもそんなことやっていると、何だかもう人相が悪くなってきちゃって(笑)
上田)せっかく素晴らしい笑顔なのにね〜(笑)
内田さん)いやいや(笑)…なので、一見お客さんが入ってて華やかに見えますけど、見えない部分ではね、今お話したようなことが多々ありますよ。
上田)話は変わりますが、内田さんは萩市協力隊の2期生でいらっしゃって、卒業してもう2年。ということは萩市にいらして5年が経ちました。いかがですか萩市は?
内田さん)どうですかねぇ(笑)萩っていうと皆さん旧市内のことを思い浮かべると思うんですけど、実はそれ以外の郡部が結構広いですよね。でもなかなかスポットライトが当たらない…。私一個人の考えですが、私はそんな郡部の活性化を具体的に進めていきたいってのもあってここ(阿武湖)で起業したというのがありますね。

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自身の目的を明確にしておかないと協力隊の任期はあっという間に過ぎてしまう

上田)レンタルボート事業のほかにフィッシングロッドの製造・販売もされているとか?
内田さん)そうですね、今レンタルボートの事業と半々で釣り竿を作っているって感じでして。
上田)釣り竿を作り始めてどのくらいになるんですか?
内田さん)3年くらいですかね。阿武湖でのレンタルボート事業は、季節変動や天候による影響をかなり受けるので、とにかく不安定なんですよ。ということで、安定するもう一つの軸がいるな、ということで製造業をやろうと思ってたんですよね。それで釣り竿を作ろうということになって。で、作ったものを空いている時に阿武湖でフィールドテストをして、ダメ出ししてまた作って、またダメ出しして…って試行錯誤を繰り返して…。
上田)どなたかに師事したっていうことではなく、独学で?
内田さん)そうです。なかなかこういうのって門外不出の技術があるみたいで、一般には出回ってないんですよ。だから変な話、自分で市販の釣り竿を買ってきて、それをバラしながら研究するしかないっていうか…。竿の部品って50パーツくらいからなるんですけど、パーツそれぞれの図面を描いて、その図面を取引業者さんに持っていって、図面通りのものを作ってもらって…。まぁ色々気を使って作ってますけど、なかなか一発でオッケーってなることはないですね。
上田)内田さんの釣り竿の魅力ってなんだと思いますか?
内田さん)こだわりとしては、まずオールカーボン製という点ですかね。これ、一個一個オリジナル発注なんですよ、だから一つとして同じものがないんです。で「先調子※で」とか…竿の調子や長さなどを釣りの目的や使用する装備に合わせて作ってますね。

※先調子とは、竿の支点のバランスを「元:先」の比率で表すと「7:3」程度のものをいいます。

上田)なるほど、世界で一つだけの釣り竿なんですね。とても魅力的です。
内田さん)自然を相手にしているので、レンタルボートだけではどうしても安定しません。でも、なんとか今以上にして人を雇えるくらいにはなりたいと思っています。で、そのうちレンタルボートの運営は誰かに任せて、自分はじっくりと釣り竿作りをしたいなぁって思うんですけどね(笑)
上田)ぜひそうなると良いですね。それでは最後に、地域おこし協力隊のOBである内田さんから、これから協力隊に応募したい、と考えている人たちへ何かアドバイスやメッセージはありませんか?
内田さん)そうですねぇ、例えば“何となく(協力隊に)なってみたらどうにかなるだろう”では、ゴメンナサイ、私の経験ではそれはどうにかならないと思います。起業がしたいのか、就職がしたいのか、萩に住めたらそれでいいのか…人それぞれあると思います。それに良いとか悪いはないですが、なんであれ目標を明確にしておかないと、あっという間に3年間が過ぎてしまうんですよね。過ぎてみて「あっ、今まで何やってたんだろう」ってなっちゃうんですよ、本当に。だから目標を着任前から明確にして来られたほうがいいかなって勝手に思ってます。
上田)OBならではの貴重なお話ありがとうございます。

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<<起業するため協力隊に応募したという内田さん。OBとなった現在は、萩市川上地域にある阿武川ダム湖でレンタルボートの事業をしつつ、その経営の不安定さを補うため、フィッシングロッドの製造・販売をはじめました。協力隊の活動をしていると『地域の資産を事業化していく』という話をよく聞きますが、内田さんはそれを見事に具現化しました。いかがでしたか? 記事を読んだ皆さんの中から『私も続きたい!』という人が増えたら嬉しいです。もちろん自分自身もそうなりたいと思いました! 以上、レポートはローカルエディター上田晃司でした>>
【内田慎太郎さんが代表を務める会社→LIVE-FISHER https://www.live-fisher.com/】
【阿武川ダム湖について→Labu-Frontier協会 https://labu-frontier.jimdofree.com】


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