何者かになりたい自分

何者かになりたかった。
いや、今もずっと、自分は何者かになりたいと思っている。

自分が特別だなんて思わない。
人より優れているなんて、考えない。
だからこそ、何者かになりたいと強く思うのだ。

虚しいことだ、と思う。
結局のところ自分は自分であることに変わりは無いし、誰であってもそれは何者でもないのだ。
アイデンティティは他者ではなく、何者でもない自分が決めることなのだから。

そう分かっていても、このくだらない自尊心や野望を捨てきれない。
捨ててしまえば、楽なのに。

俺は、恐れているのかもしれない。
自分がなんの才能もない平凡な人間、いや、その平凡にすらなれないと認めるのを。

実際にはそんなことはないのかもしれない。
自分の自己評価が低すぎる、若しくはなりたい理想が高すぎるのだろう。
結局のところ自分という存在、人生の価値なんてものは自分が決めること。自分がありのままの自分を認めなければこの苦悩から逃れることは出来ない。

ならばとことん挑戦するしかない。
抗うしかない。
捨ててたまるか、このしょうもない自尊心を、汚い承認欲求を、自己実現の欲求を。

この感情がある限り、自分を少しだけ許せる。
ただ、この感情が、自分を邪魔している自覚もある。

これを克服した時、自分は「何者か」になることを諦められるのだろうか。

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