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辛い時こそ

ロルフ・ドベリ著「Think clearly」からの抜粋

 世界は私たちが思っているよりもずっと広く、ずっと多彩で、いろいろなものを含んでいる。若いうちは、できるだけ沢山のサンプルを試すようにしよう。

 大人になってからの最初の数年間で重要なのは、お金を稼ぐことでもキャリアを積むことでもない。「人生の全体図を把握すること」だ。

 常にオープンな姿勢を崩さず、偶然が与えてくれたものはすべて試すようにしよう。本もたくさん読んだ方がいい。小説を読めば素晴らしい人生を疑似体験できる。ものごととの向き合い方を変えるのは、年をとってからでいい。

 そうして年をとったら、かかわることをぐっと絞り込もう。そのころにはあなたはもう、自分の好みをしっかりと把握できているはずだから。

この本は僕に沢山の有意義な考え方を教えてくれたが、中でもお気に入りの部分。(ほかにもいっぱいあるけど!)

世の中には色んな意見であふれかえっている。Aが正しいという人もいれば、Aは正しくないという人もいる。

でも結局どっちが正しいのかはあまり重要ではなくて、「自分は何を信じるか」を明確にしておくことこそが、この不安定な世界を生き抜くために大切なのだと思う。そして僕はこの本に書かれている意見を全面的に信頼すると決めている。

今の僕には、興味のあるものが沢山ある。

いつか勉強してみたいと思っている事柄を考えていくと枚挙に暇がないし、今後も増えていくだろうことは想像に難くない。

そしてそのどれもが僕にとってはすごく面白くて、どうしてもっと早くから勉強してこなかったのかと後悔している。

というのも、こんなに様々な物事に興味を持ち始めたのはすべてここ2、3年の話だからだ。

それより前(大学4回生まで)の僕は、休みの日も放課後も特にしたいこともなく、サークルと、遊びと、友達と飲みに行くだけの毎日だった。(今では信じられないが、趣味がないことが悩みだった!)

なにがきっかけなのだろう。その頃と今となにが違うのだろう。

それはきっと、ここ数年の僕が自分なりに「苦労」をしてきたことだと思う。

学部生時代の大学生活なんて、今思えばぬるま湯も良いところだった。授業中はほぼ寝てたし、それでもテスト前に友達に助けてもらえば単位なんてどうとでもなった。バイトに行くのがたまに憂鬱な程度で「苦労」と呼べるものは一切していなかった。変化を求めず、毎日ダラダラと過ごしていた。

それが、研究室に入って一転した。最先端の研究をし続けるためには常に勉強を続けることが求められる。進捗報告では、誰が見ても分かり易い資料を半分徹夜でまとめなければならない。まだこの世にないものを生み出すことを求められる。

まさにぬるま湯から突然、煮えたぎる熱湯に突き落とされたような感覚だった。

嫌気がさして、研究とは無縁の世界を志そうとしたこともあった。(あまりにも向いてなくて断念した)

けれども、そんな中で何とかやっていくために、色んな本を読むようになった。忙しい研究の日々を通じて、何となく自分が面白いと思えるものの感覚がつかめるようになった。

どれもこれも偶然の産物だけど、確かに今の自分を作っている。

「苦労は買ってでもしなさい」という言葉、これは本当だと思う。

人は辛いときこそ、よく考える。どうやって生きていくか、自分は本当は何がしたいのか。そして、自分がこれまでの人生で得てきたものの少なさに愕然として後悔する。

そういう経験こそが自分の視野を広げ、少しずつ、「人生の全体図」を見通せるようになっていくのだと思う。

いっそ割り切って20代は苦労した方が良いのだ位に考えて生きていくのが正解だと思っている。

学部三回生の自分のまま、20代を終えてしまったらって考えるとゾッとするから。


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