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春のきざし

春はいつもこんな匂いがする
新しくて寂しい、出会いと別れの匂い。
パワーと喪失のある空気。
いろんな匂いが混じりながら、
僕らを”ここ”から押し出すそんな匂い。

いつも”そこ”にいると思っていたのに
一緒に居れると思ってたのに、
突然こぼれ落ちて、遠くなってしまった。

勇気を、覚悟を、想い、行動を
起こせてたら変わってたかな。

手を伸ばせば届きそうだったのに。
手を伸ばさなかったことを許してくれ。
もっとたくさん話したかったんだ。
もっと君を見ていたかったんだ。
そう思えたときにはもう遅かった。
もう船は走り出した。
今度は僕が走り出す番だ。


エンジン(心)がないまんま走り出した
僕はどこへ向かうのだろう。
少しここに留まる時間が欲しい。

僕が求めるものは何だろう?
そのために出来たことはなかったか?
ああ、また考えてしまう。

手放したくなかったのに。
離れたくなかったのに。
なぜそう伝えられなかったのだろう。

2つの船は走り出した。
戻れないと波が伝えてくる。
次に訪れるその春を
必ず手放さないとそう誓う。

いつもそこにいると思っていたのに。
一緒に居れると思ってたのに。
手放したくなかったのに。
離れたくなかったのに。

君には春が訪れた。
僕はまだ吹雪の中。
僕はまだ船を見つけられぬまま。

春の匂いがまた僕をひとりにする。
そして、強く。力強く。

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