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ランニング中の迷子は新しい発見の旅!

「今日は新しいルートを開拓しよう!」そう意気込んでスタートした朝ラン。しかし、気がつけば見たこともない住宅街のど真ん中。道標を探しても「ここはどこ?私は誰?」状態に陥る。地図アプリを開けばいいだけなのに、「いや、これも一種の冒険だ!」と謎のポジティブ思考が発動し、逆にテンションが上がってしまうのがランナーの性。

走りながら周りを見渡すと、見たことのないカフェや可愛い雑貨店が目に飛び込んでくる。普段のコースにはない景色が広がり、思わず「これはこれでアリかも」と納得してしまう。道端の猫は見慣れない顔をしているし、風の匂いもなんとなく違う気がする。迷子になることで五感がフル稼働し、まるで探検家になった気分だ。

途中、道が三方向に分かれる場所に差し掛かる。どれも似たような細道で、どこに続いているのか全く検討がつかない。「これはまるでRPGの選択肢じゃないか!」と一人で盛り上がり、ゲームの主人公になったつもりで一番ワクワクする道を選ぶ。右へ曲がるか、左へ曲がるか、それとも直進するか。普段の生活ではこんな無邪気な決断をすることは滅多にない。まさに、これがランニング中の迷子の醍醐味だ。

そんな冒険も、だんだんと疲れがたまってくると現実味を帯びてくる。「このまま帰れないんじゃないか?」という一抹の不安が頭をよぎる。足取りは重くなり、汗も普段の倍出ている気がする。そこに現れたのが、突然の急坂。見上げると「こんなところ、登山のトレイルじゃないんだから!」と叫びたくなるレベルの勾配だ。でも、ここで引き返すのもなんだか負けた気がする。無謀にも坂を駆け上がり、息も絶え絶えになりながらその先に何があるのかを確認する。「ほら、新しい景色!」と自分を励ましながら、足を前に進める。

頂上に到達すると、そこには小さな神社が現れる。観光名所ではないけれど、ランニング中の迷子だからこそたどり着けた特別な場所だ。静かな境内でひと息つきながら、「迷子も悪くない」としみじみ思う。この迷走がなければ絶対に知ることのなかったスポット。なんだか得した気分になる。

帰り道、迷ったことが功を奏し、ついでにいつも避けていた新しい坂道も克服できた。「今日は結構いい練習になったな」と満足しながら、自宅へ戻る。ランニングで迷子になることは、一見デメリットしかないように思えるけれど、その裏には小さな発見や自分自身の新しい一面が隠れている。方向音痴も、こうして考えれば一種の才能だ。

結局、ランニング中の迷子は、新しい発見と冒険の旅。次はどこで迷子になろうかと、心のどこかで楽しみにしている自分がいる。今日もまた、見知らぬ街を走り抜け、迷子になったその先で新たな風景を見つけるのだ。

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