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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第七集①

サブタイトルは「廃園」。なんだか怪しい響き。

谁派你来的

第六集終わりの方で、慶国公の件で調査に出て負傷していた掌鏡使(諜報員)・夏冬と城外に来ていた蕭景睿と言豫津が刺客に襲われていた。多くの刺客を3人で倒し、その内の一人に尋問をするところから。

谁派你来的?
ー誰に命じられたの?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第7話
夏冬

「谁」が「だれ」という疑問詞、「派」は「派遣する」「任命する」という動詞、「谁派你来」で「だれがおまえに命じて来たのか」だが、文末の「的」がある。これはおそらく「是的(shide)構文」の「的」で、「(是)谁派你来的?」という文の頭の「是」が抜けたものであろうと思う。

「是的(shide)構文」は、すでに行われた動作があり、その時間や場所や手段(「何者かの関与」も入る)を強調する構文である。夏冬たちを「襲った」という既に起こった動作の広い意味での手段「だれが命じて襲って来たか」を確認している。

夏冬に黒幕を聞かれた刺客は、最初は「誉王」と答えたが、夏冬に違うと指摘され、何かを伝えようとしたところでその場に飛んで来た矢が刺さり口封じされた。都の城内まで夏冬、蕭景睿と言豫津は一緒に帰ったが、夏冬の方を卓青遥(謝玉と協力関係にある天泉山荘の武人であり、娘婿)が追っていた。

快把人放下来

雲南王府の穆青が、梅長蘇の元に引越し先候補の屋敷を見に行こうと誘いに来た。いささか強引に誘う(理由は後で判明)ので、梅長蘇の護衛・飛流が穆青を梅長蘇から引き離し、片手で高く持ち上げた。やっぱり飛流強い!

だが、穆青は霓凰郡主の弟で、彼女から家を引き継いだ高貴な身分である。乱暴をしていい相手ではない。慌てて梅長蘇が飛流に言った言葉。

快把人放下来
ーゆっくり下ろせ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第7話
梅長蘇

この文頭の「快」は副詞で「速く」、後ろに続く動作を速くするように言う命令である。続く「把」は述語の動作対象を「把」の直後に持って来て構文を作る。「把」の直後に来る対象は、話し手と聞き手双方が承知している特定のものである。この文章では「人」であるが、この「人」は飛流が持ち上げている穆青という特定の人物に他ならない。

この穆青を速く「放下来」するよう梅長蘇は飛流に命じている。「放」は「放す」、「下来」は方向補語で下にいる話し手の目線で、上から下への移動を表す。上に持ち上げられている穆青を梅長蘇がいる地上へ下ろして放すイメージだ。もし梅長蘇が建物の上からこの状況を見ていたとしたら、「放下来」じゃなくて「放下去」とかになる。方向補語は分かると面白いが、中国語作文をする時には難しかったなあ。

また、「把」を用いた構文はいろいろな約束事があるが、その内の一つに方向補語を伴うというものがある。「快把人放下来」から「下来」を無くすことはできない。

中国語では「早く降ろして放せ」と言っているが、字幕は「ゆっくり下ろせ」。乱暴するな、という意味であえて逆の表現!面白い。

結局、梅長蘇は穆青と引越し先候補を見に出かける事になり、目的地には霓凰が待っていた。穆青は姉に梅長蘇と会わせてやりたかったようだ。

ここからのシーンの合間に皇帝が霓凰から送られた詫び状を読んでいる場面が挟まれている。ここまでに出てこなかったが、霓凰の婿選びは、最終候補たちを霓凰が全員倒してしまい、誰とも結婚が決まらず終わったらしい。霓凰からすると不本意な結婚は一旦白紙になったが、皇帝はそのため彼女を領地に帰す気がない。この件も関連して、後程夏冬が梅長蘇を訪ねてくるが、そのシーンの中国語は次回。

梅長蘇と霓凰は、先日の越貴妃たちの件の話などをしつつ引越し先候補の邸宅を見て回っていたが、帰るための出口を霓凰が「こちらの方が大通りに近い」と別の出口を伝えると、梅長蘇から表情が消えた。そんな梅長蘇の反応をうかがう霓凰と見つめ返す梅長蘇。その出口からすぐのところには、廃墟となった林家の屋敷があった。

霓凰が誘っても林家の屋敷に入る事を拒む梅長蘇。霓凰も梅長蘇を試しているようだったが・・・梅長蘇=林殊はかつて住んでいた屋敷の前に立ったものの見ることができなかったのか、見ないようにしたのか、その心情を思うと辛い。

次回は、この第七集後半に入る。もう一つの「廃園」で事件が起こる!

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