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初代マメルリハの思い出③~大人の女

鳥が嫌いな私がやむを得ず同居しているマメルリハインコ・シャルは、賢いけれどそれゆえ最近生意気すぎる。そのためつい、懐かしく思い出してしまった初代マメルリハの思い出を綴っており、今回で3回目である。

受験中の留守番

私が高校3年の時の夏。大学受験を控え、夏休みも予備校に通っていた。弟は7歳離れていたので、当時まだ小学5年生。受験する年齢ではないため、夏休みは旅行に連れて行ってもらいたいと思っても仕方のない年齢だった。また父も避暑に行きたがった。最終的に予備校に行かねばならない私が留守番し、初代マメルリハの世話も請け負い、家族たちは2泊3日の旅行に出かけた。

この時の留守番を私は快く引き受けたものの、いざ一人になると不安になって来た。3LDKの当時の家を一人できちんと管理する責任がのしかかってきたように感じてしまったのだ。

今思えばたった2泊3日のことだが、当時の実家でそんなに長く留守番をしたことはまだなく、予備校に出かけるため戸締まりをしてまわり、家に鍵をかける時もいつもより緊張した。「私の外出中に何事もありませんように」と祈りながら出て行った。

初代マメルリハの「毛繕い」

予備校から帰り、夜になると不安はどんどん大きくなってきた。勉強に集中できず、気晴らしにテレビを見たりゲームをしたりしても憂鬱で楽しくない。ついには鳥が嫌いなのに、初代マメルリハの世話でもして気を紛らわそうとまで考え、まだ寝かせていなかったマメルリハを鳥籠から出した。

初代マメルリハは、人と一緒にいるのが好きだったので、母がいれば母にべったりだが、いなければ他の人の手やひざにのっておとなしくしていることが多かった。そうしている時に、頭や首を時々なでてやれば満足そうだった。

ところがこの時、初代マメルリハは私の肩に乗り、襟足のあたりへ移動した。そして私が後ろで一つ結びにしていた髪の毛の後頭部あたりをくちばしで引っ張り始めた。髪を引っ張られても痛くはなく、いじられているような感じだった。

そのうち彼女は髪の毛につかまり、少しずつ移動しながら私の髪の毛全体を少しずつ引っ張りだした。初代マメルリハは、私の毛繕いをしていたのだ。最終的に頭全体を彼女は時間をかけて毛繕いしていった。

初代マメルリハに毛繕いされている間、私は不思議と心が落ち着いてきた。髪の毛の引っ張られ具合がちょうどよく、少し心地よさすら感じていた。思えば、彼女はマメルリハが仲間に対して毛繕いしてやるように、私にそれをしていたのだ。

初代マメルリハの心遣い

初代マメルリハも、普段世話をしない私しかいなくて、いつもと違うから不安だったかもしれない。でも私に構ってもらおうとせず、彼女の方から私に毛繕いをし始めた。

たまに初代マメルリハの気まぐれで、私の首筋近くにある後ろ髪を毛繕いされたことはあったが、そんなことは本当に少なく、基本的に大好きな母にしようとしていつも断られていた。だから一人(と一羽)で留守番していたあの夜は、今思うと彼女なりに私を慰めてくれたのかな、と思う。

でも、当時のより未熟な私は、初代マメルリハが何で私の頭全体の毛繕いをしたことを「あれは何だったんだろう?」くらいにしかずっと思ってこなかった。

その後、別のマメルリハたちが飼われるようになって、彼らなりの気遣いや親愛の情を示している行為だとわかり、あの時の初代マメルリハに対し、かなり時間が経ってからそのありがたさに思い至ったのだ。ごめんね。

初代マメルリハは大人の女だった。しかもいい女。
元飼い主のところで苦労してきただけのことはあり、彼女は彼女でそういう個性があった。

生意気な現在同居のマメルリハ・シャルと比較するように思い出してしまった初代マメルリハ。シャルは初代マメルリハのような優しい性格の片鱗は今のところ一切見せていない。

でもシャルの賢さ、生意気さはシャルの個性。シャルはシャルでシャルをしていればいい・・・と思っているが、もう少し可愛げがほしいところだな。

上記は、現在同居中のマメルリハ・シャルの実両親についての記事である。父親鳥の方が、私に対して恩返しの毛繕いをしようとした話なので、よろしければこちらもお読みいただければと思う。

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