初代マメルリハの思い出②~敵討ち
前回から、賢いけれど生意気すぎる同居中のマメルリハ・シャルのことは置いておいて、20年ほど前に最初に我が家で飼われた初代マメルリハの思い出を書いている。
前回は長らく初代マメルリハをオスだと思いこんでいた経緯について触れた。メスだと判明したのは、飼い始めてから数年後のこと。正確にはいつだったかもう覚えていないが、まだ彼女をオスだと稲生家全員が思っていた頃、初代マメルリハが興味深い行動をしたことがある。
急襲
初代マメルリハは、我が家に来た頃、元飼い主に風切り羽を切られており、稲生家で風切り羽が全部生えそろってからも、飛ぶことは少なかった。
風切り羽を切られてから飛べなくて危ない目にでも遭ったのでは?とこちらが思ってしまうほど、彼女は飛べるのに飛び立つ時にいつも恐る恐るで、勇気を振り絞らないといけなかった。
おそらく、そのようなトラウマがあったのだろう。飛べたとしても今度は着地がうまくできず、落下場所(柔らかいクッションの上など)を探してよく不時着していた。
でもこの時は違った。
ある休日に初代マメルリハは鳥籠から出されて放鳥の時間になった。彼女は鳥籠から出るとすぐに当時のリビングダイニングルームの角にあるソファに飛んで行った。
そして、そこから思い切りよく飛び立ち、部屋を対角線上に突っ切り、突っ切った先にいた父のところへ飛んで行った。ためらいのにない思い切りの良い動きだった。
初代マメルリハを可愛がっていた父は、自分のところに飛んで来たことに気を良くして指を出した。初代マメルリハはきちんと父の指にとまり、すかさず渾身の力を込めて自分がとまった父の指を噛んだ。
当時50歳前後だった父の手の皮膚は、年齢的なものと趣味のゴルフのせいもあって硬かった。そんな指なので初代マメルリハにちょっと噛まれたくらいなら、痛がらない。しかしその父が叫ぶほどの痛みを与えて初代マメルリハは元のソファに戻った。往復約15メートル程度を飛んですぐ、彼女は踵を返し、また父のところへ飛んで行き、先ほど噛んだ指をまた噛んで戻った。
もう2往復ほど同じことを繰り返し、初代マメルリハは初老男性の硬い指の皮膚から出血させた。彼女の様子が普通ではないので、母が指にマメルリハをのせつつ、ソファに座って様子を見ようとすると、初代マメルリハは
ピピッ!ピピピピッ!ピピッ!
ピッピッピッ!ピピピピッッ!!
と母を見あげながら高らかに鳴いた。
誇らしげな態度で、戦勝報告をしているように見えた。
攻撃理由
たいていの生き物はそうだが、嫌なことをされたらマメルリハも忘れない。特に小型インコのマメルリハからすると、人間は巨大で気を付けないと殺されかねない。初代マメルリハもそのような危機管理能力はきちんとあった。
マメルリハを最初に弟が気に入ったのに、母にばかり懐くので、気を悪くした弟(買い始めた当時9歳)が初代マメルリハに少し意地悪をしたら、彼女は弟を避けるようになった。記憶力ばっちりでしばらくその状態だった。
初代マメルリハが、父を出血させるほど攻撃したのはおそらく前夜の父と母のやり取りが原因と私は考えている。足が凝っていた母のために、父がマッサージしていたのだが、父にアルコールが入っていたため力加減を間違え、あまつさえ母が痛いからやめてと言うにもかかわらず、「これで効くんだ」と言い張って謝りもせず続行していた。
母が「痛い」と大きな声を出し、父に対して怒っていた声を同じ部屋で就寝していた初代マメルリハはきちんと聞いていたはずだ。様子は見えていないが、おそらく初代マメルリハには、父が母に何か痛がるようなひどいことをしていると察したのだろう。マメルリハの察しの良さはシャルでも証明されている。
初代マメルリハは、父の事はもともと別に嫌ってはいなかったし、父の指にのってくつろいだりもしていた。出血するほど怒らせるようなことも当時していなかったはず。
だから、母のために初代マメルリハはトラウマを克服し、父を成敗に行ったとしか思えなかった。そして母に「やっつけた!」と報告していたのだ。
この時のことは、今思えば私がマメルリハに対する認識が変わった瞬間でもあった。大好きな人を痛めつけた奴は許さない!と小さな体でトラウマも克服して立ち向かう勇気と行動力に驚いた。初代マメルリハは優しかった。
次回は、そんな初代マメルリハが私にも気を遣ってくれた話をしましょう。
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