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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第四集②

サブタイトル「主を選ぶ」の続きである。

掖幽庭から連れて来た庭生たちの武術の上達ぶりや、それを教えていた飛流を梅長蘇が褒めていたら、靖王自身が梅長蘇のもとにやって来た。目をかけていた庭生のことを気にかけているのだ。

那么先生是想选太子,还是选誉王

靖王は、庭生が面倒に巻き込まれることも嫌だし、謀をめぐらすような人物(梅長蘇のような謀士、醜い皇位争いをする皇太子や誉王など)も嫌いだ。それゆえ、梅長蘇にお茶を出されながら、いろいろ皮肉を言う。梅長蘇のような謀士をよく思ってないが故の不躾な物言いに、梅長蘇は主君に信頼されて大業をなすことの何がいけないか問い返す。靖王は、梅長蘇に尋ねた。

那么先生是想选太子,还是选誉王
ーならば先生は皇太子と誉王のどちらを選ぶ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第4話
靖王・蕭景琰

「那么」は「それでは」という接続詞、「先生」は中国でいくつか意味があるが、ここでは高名な学者や知識人に対する敬称としての「先生」、ここから先は、「是A还是B?」という選択疑問文である。

選択疑問文前半は、「想选太子」で「太子(皇太子)を選びたいか」。「想」は第三集にも出てきた「想+動詞」で、「~したい」である。後半は、「还是选誉王」で、「还是」は「それとも」、「选誉王」は「誉王を選ぶ」である。

この選択疑問文に対する梅長蘇の回答は「我想选你」で、「あなたを選ぶ」。中国語を直訳すると「私はあなたを選びたい」だが、字幕の「あなたを選ぶ」の方が、シンプルで気持ちの強さを感じられる。

しかもここでオープニング曲が流れ出す!
物語が大きく動く瞬間だ。
思いがけない返答に笑い出す靖王だが、梅長蘇は至って本気である。だが、靖王は帝位を望むべくもない不遇の地位にあるものの、皇太子と誉王がろくな人たちではないので、彼らが帝位につくのは阻みたいと言う。

你真的能确认庭生就是祁王的遗腹子吗?

夜になり、蒙大統領が密かにまた梅長蘇を訪ねて来た。眠っている庭生の顔を蒙大統領は改めて見た後、梅長蘇に聞く。

你真的能确认庭生就是祁王的遗腹子吗?
ー確かに庭生は祁王の忘れ形見なのか?

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第4話
蒙摯

「真的」は「ほんとうに」、「能」は外的要因を満たしている場合の「~できる」という助動詞、「确认」は「確認する」、文末には疑問を表す「吗」があるので、「お前は本当に確認できるのか」とたずねている。

何を確認できるのか、何が確かなのかというと「庭生就是祁王的遗腹子」。「就」は「ほかでもなく」「絶対に」を意味する副詞で、「祁王的遗腹子」は「祁王の(父親の死後生まれた)子ども」である。文全体で「おまえはほんとうに庭生はまちがいなく祁王の子どもだと確認できるのか」という内容である。

靖王が庭生を気にする訳である。このシーンまでの間に祁王=景禹と言う人物が過去におり、太皇太后の曾孫であるとの情報があった。つまり何らかの事情で死亡した祁王の遺児である庭生は、靖王の実の甥なのだ。だが皇帝の血をも引く子どもが罪人家族の収監場所である掖幽庭にいた。少しずつわかってくるこのドラマの本質に関わる情報である。

不是皇后就是越贵妃 

謝玉の妻・莅陽長公主が梅長蘇をたずねて来た。密かに来ていた蒙摯は身を隠す。莅陽長公主は、静嬪から聞いた霓凰に対して行われる謀について梅長蘇に相談に来たのだった。莅陽長公主が梅長蘇の部屋を出た後、隠れて聞いていた蒙摯は一体誰がそんな卑劣なことを画策しているのかと梅長蘇に聞く。

不是皇后就是越贵妃 
ー皇后もしくは越貴妃

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第4話
梅長蘇

「不是A就是B」のフレーズだ。「AでなければBだ。」「AかBかどちらだ。」の意味である。霓凰を陥れようとしているのは、後宮のこの二人のどちらか。

梅長蘇の元の名は「小殊」。第二集で太皇太后の言葉によれば、小殊と霓凰は結婚するはずの二人だった。実は霓凰は梅長蘇にとって特別な女性のため、彼女は絶対に後宮の魔の手から守らなければならないのだ。

🖌今回の気になる単語帳

遗腹子 yífùzǐ
父親が死んでから生まれた子。字幕の「忘れ形見」と同じ意味だが、字面としては日本語の方が婉曲的だなと思った。

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