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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第十二集③

サブタイトル「痕跡なくとも」の続き。霓凰郡主と林殊(梅長蘇)の涙の再会のシーンからもう一つ。

可我已经不是当年的那个林殊了

若い10代だったであろう若い霓凰郡主と林殊の映像。抱き合って泣いている霓凰に梅長蘇が言う。

可我已经不是当年的那个林殊了
ーだが私は昔の林殊ではない

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第12話
梅長蘇

「可」は「~だけれども」という接続詞で、おそらく直前の霓凰のセリフ「你永远都不要再离开我了(二度と私から離れないで)」を受けている。「已经」は「もはや」、「当年的」は「あのころの」、「那个林殊」は「あの(=身体の丈夫な武人で赤焔軍の)林殊」、最後の「了」は変化を表す文末助詞である。

直訳すると「だが私はあのころのあの林殊ではなくなってしまった」となる。梅長蘇こそ林殊なのだが、昔の林殊と同じではないという変化のニュアンスがある。霓凰によると林殊は「火の男」と呼ばれていたらしいが、今や寒さにすっかり弱い。

梅長蘇は夏冬(赤焔軍に夫がおり、林家のせいで死んだと思っている)と靖王に自分こそが林殊であることを伝えないこと、悟られないようにすることを霓凰に言った。霓凰は林殊が戻るまで待てると答える。死んだと聞いても12年待てた女ならではだ。

その後周先生や霓凰郡主と真冬の雨の中で話していた梅長蘇は、心労と寒さで弱り寝込んでしまった。

場面変わり、埠頭で戸部尚書の沈追と靖王が遭遇する。沈追は戸部の官船の積み荷に不審な点があるらしい。失脚した楼之敬に関係するということは、皇太子に繋がるので注意するよう靖王が言う。

言豫津の家である「言侯府」には言豫津の父親が帰って来た。私が一番好きな言闕さまの初登場だ。皇后の兄にあたる人物だ。ここでは豫津との親子関係があまりうまくいっていないようだ。久々に帰って来たが、すぐにまた出て行くつれないお父さんと寂しそうな息子。

留下来吧

寝込んでいた梅長蘇が少し回復したところに、誉王から贈り物が届く。梅長蘇が周先生を呼んだ(第十一集)ことで皇太子側との議論に勝てたからだ。既に2回断っているにもかかわらず、贈り物を届けてきているが、今回はなんと飛流のおもちゃ。もちろんまだ子どもの飛流は欲しい。梅長蘇に受け取ってほしい、と言う目をした。そんな目をされては梅長蘇も断れない。

留下来吧
ー受け取れ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第12話
梅長蘇

「留」は「残す」「取っておく」などを意味する動詞、「下来」は安定・固定して残るニュアンスを表す複合方向補語、「吧」は命令の語気助詞である。送られたものを「取っておけ」ということだ。方向補語の様々な使い方は面白いが難しい。

飛流のおもちゃを贈る案は誉王の謀士・秦般弱のものだった。さすがにお礼か子どもの玩具では軽すぎると誉王は自分で梅長蘇のお見舞いに行った。

この後の展開を少し説明しておこう。
不審な積み荷は、違法の火薬だった。旧正月で使われる爆竹のためのもので、失脚した楼之敬を通じて最終的に皇太子の収入源になっていたようだ。

また、一方で年末の祭礼を前に皇后が急に倒れた。梅長蘇を見舞っていた誉王も慌てて様子を確認に行った。結局皇后の命に別状なかったが、その状況が逆に妙なので、梅長蘇は偶然か調べさせることにした。

何者かが故意に仕組んだのなら、皇后を祭礼に参加させたくないからか、それとも本当に悪いのか。深い事情がある気がするという梅長蘇の指先がフォーカスされる。二周目以降はこのカメラワークも伏線とわかる。

🖌今回の気になる単語帳

玉体 yùtǐ
「お体」という意味。日本語と近い意味で、身分の高い人のからだを指す。倒れた皇后を見舞いに来た他の妃たちに皇后の侍女が大事ないことを説明する時に出てきた。

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