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ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第七集②

サブタイトル「廃園」の続きである。

我在父亲心里到底是什么

謝玉の屋敷で、蕭景睿が様子のおかしい弟の謝弼を心配して話しかけている。蕭景睿が「両家の息子」であるため、弟であっても謝弼の方が謝玉の後継者である。謝弼は誉王の下で働いていたが、謝玉から実は父親が皇太子の腹心だったと明かされたのだった。

我在父亲心里到底是什么
ー父上にとって私は一体何なのだ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第7話
謝弼

「在」は「~で」という場所を導く介詞で、その場所とは「父亲心里」である。「父亲」は「父親」、「心里」が「心の中」、「到底」は「いったい」「そもそも」という副詞、「是什么」はこの文章の述語部分にあたり、「~は何なのか」という意味になる。全体を直訳すると「私は父親の心の中で、一体何なのか」となり、字幕では「父親の心の中で」の部分を「父上にとって」と端的にまとめている。

謝玉は表向きは東宮側でも誉王側でもないことになっている。父親である謝玉の指示もあって誉王の下で働いていた謝弼としては、今までのことは何だったのか、父親にとって自分は「大事な息子」として扱われていないと感じてもしょうがない。

我一回到京城之中 就听说了关于许多先生的传言

場面変わって梅長蘇のもとに掌鏡使(皇帝直属の諜報員)夏冬が訪問した。梅長蘇の護衛の少年・飛流と手合わせをし、けが(慶国公の調査から都に戻る途中で刺客に襲われた時のもの)が無くても、夏冬は飛流にかなわないと言う。少年なのに飛流どんだけ強いんだ?

屋内に入れてもらい、夏冬が梅長蘇に言った言葉。

我一回到京城之中 就听说了关于许多先生的传言
ー都に戻るや先生に関する噂をたくさん聞いたわ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第7話
夏冬

文章中にある「一・・・就・・・」の部分で「~するとすぐ」という意味になる。「一・・・」が含まれる前半部分の内容が「~すると」になり、「就・・・」から始まる後半部分が「すぐ」どうだったかという構成だ。

「回到」は「戻る」「帰る」という意味の「回」と結果補語「到」で、戻った結果ある場所に到達したことを表す。到達した場所はその直後の「京城之中 」、「京城」は古い表現で「都」、「之中」は「~の中」である。日本語の感覚では、「之中」がなくても通じそうだが、中国語としては方位詞までないとよくない場合が多い、とかつて教授が言っていたような気がする。前半部分を直訳すると「私が都の中に戻ると~」となる。

「就」以降を見ていこう。「听说」は「(人が言っているのを)聞く」、直後の「了」は完了を表す助詞、つまり「听说了」で「聞いた」になる。「关于」は「~について」、「许多」は「たくさんの」、「先生的传言」は「先生の噂」で、その部分を順番につなげて訳すと「たくさんの先生の噂について」で、字幕は順番が異なるが字幕の方が自然である。この文章を日本語から中国語にする方が難しそう。この「たくさんの先生の噂について聞いた」が、「都の中に戻るとすぐ」夏冬に起きたことである。

夏冬は、任務に出ていて霓凰の婿を決める武術大会や後宮での事件の時のことを直接は知らないため、友人として霓凰を心配していたのだった。実質的に霓凰が率いる十万の精鋭を傘下に置き続けるため、彼女をどうにか自分にとって有利な相手と結婚させたいという皇帝の思惑も想定して、彼女との関係が噂になっている梅長蘇のことを探りに来たのだ。

夏冬の「梅長蘇が霓凰をどう思っているのか」に対し、霓凰の性格と立場を理解して接していることが梅長蘇の回答からわかり、夏冬は女友達として安心し、それ以上は介入しないことを伝えて帰って行った。なんて良い女友達なんだ!余計なお世話はしない感じが素敵。

太好了 多亏你了

穆青が連れてきた邸宅よりも、かなり荒れた邸宅にやって来た梅長蘇たち。そこで、言豫津が誤って枯れ井戸に落ちかけてしまう。助かったものの、その時言豫津は身に着けていたおじいさんの形見の玉佩(腰に下げてる飾り)を落としてしまった。

夜盲症の言豫津に代わり、蕭景睿が暗い井戸に入って玉佩を探しに行ってくれた。そして玉佩を見つけて来てくれた蕭景睿に言豫津が言ったお礼の言葉。

太好了 多亏你了
ー助かったよ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第7話
言豫津

「太+形容詞+了」で、感歎の意を表す。「太好了」で、「よかった」という意味になる。「多亏〜」で「〜のおかげである」という意味で、後ろに「你」があるため、「君のおかげ」となる。最後に文末助詞「了」がついて、状況の変化や新しい事態の発生を確認している。中国語では「良かった、君のおかげだ」と二言のセリフだが、字幕では一言にまとまっている。

しかし蕭景睿が見つけたのは玉佩だけではなかった……

言豫津がお気に入りの妙音坊の宫羽が初登場。江左盟の一員だったと分かる回。今後の展開が予測できず情報量が多い回だった。

🖌今回の気になる単語帳

心腹 xīnfù
謝弼が兄の蕭景睿に「父親の謝玉は実は皇太子の腹心だった」と伝えるシーンから。熟語を構成する文字の順序が日本語と違うところが面白い。たまにそういう単語を見かける。「语言」と「言語」とか。

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