符亀の「喰べたもの」 20221204~20221210

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 116です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。


漫画

死にたいと言ってください-保健所こころの支援係-」(1巻) 中原ろく、松本俊彦(監修)

「死にたい」人の相談に応じる、保健所の保健予防課を描いた物語。

最悪の感想ですが、転げ落ちていく人間を見るの、フィクションだとすごく面白いですね。この巻には3エピソード分おさめられていますが、最後の話はどう転ぶかわからない危うさを感じ、刺激的でした。

このエピソードの良かった点として、丁寧なネタフリで読者に不安感を植え付けたうえで想定外の悲劇を起こす構成があると思います。「死にたい人に寄り添う」というテーマのおかげで、キャラクターの事情部分にページを割きやすく、展開が遅いという印象をやわらげてしっかりとタメを作れます。一方オチ部分は切れ味が鋭く、タメから予想したものをしっかり上回る地獄を1コマで提示してくれて気持ちよさすら感じます。

ここで重要だと思ったのが、ミステリーの使い方です。前2つのエピソードは「なぜあの人は死にたいと思っているのか」を調べようとする話であり、キャラの事情は謎解きの答えにあたります。なので、オチとなる悲劇部分を解答としてとらえてしまい、それが予想外だったときに面白さよりストレスを感じてしまう気がします。一方、今回は「主人公は死にたい人に何ができるのか」がミステリーであり、死にたいキャラのストーリーはそれと別軸で展開されています。この差が、キャラの悲劇をエンタメとしてとらえやすいかに違いを生み、話全体の面白さにも影響を与えていたとかんじます。


いつもより文章がまとまっておらず、1冊しか読めておらず、そもそも新年一発目に取り上げるのがこれでいいのかという問題もありますが、インプット自体はちゃんとできた気がしているのでヨシとさせてください。


一般書籍

だからオインクさんのクリエイターズノートは読めよ。


Web記事

他分野に学ぶ仕掛けタイミングの前倒しについて

ドミニオンアドベントカレンダー2022」の記事として書かれた、「トップレベルのプレイヤーの試合の戦術が煮詰まるにつれて環境はどうなっていくか?」についてのnoteです。

一定タイミング以降が最適化されるとそれより前で勝負を仕掛ける必要が生じ、結果どんどん勝負タイミングが早くなっていくという内容が面白く、覚えておくべき原則だと思いました。


ドミニオンはいかに拡大再生産を克服したのか

同じく「ドミニオンアドベントカレンダー2022」の記事で、拡大再生産の問題とドミニオンにおけるその解決策についてのnoteです。こちらは「Board Game Design Advent Calendar 2022」の記事でもあります。

「自分と相手のデッキが異なると単純に強さを比較することは困難になり」プレイヤーの諦めを避けられるというのは、漠然としか意識しておらず言語化していただきありがたかったですね。


おだんごびんごのツクりかた

Board Game Design Advent Calendar 2022」の記事で、「おだんごびんご」のデザイナーズノートです。

ボードゲームの道具としてのカードについての考察が見事で、その機能を「操作性、不確定性、認識の制御、情報の保持」とまとめられているのが勉強になりました。無言でおだんごの写真だけ貼るのも、章替わり時の仕切りとして活きていて面白かったです。


受験生にしか見えない広告

赤シートをかざさないと見えない、ZONeエナジーの広告です。

これだけ明確にターゲットを絞り、かつそれを明示することで、そのターゲットに「あなたの味方だ」というメッセージを込められているのが面白いと思いました。


Board Game Design Advent Calendar 2022」のおかげで継続的なインプットができており、非常に助かっています。

あ、あと今年もよろしくお願いします。今年の目標は記事執筆の遅れを取り戻すことです。

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