符亀の「喰べたもの」 20220828~20220903

今週インプットしたものをまとめるnote、No. 102です。

各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。



漫画

怪物事変」(17巻) 藍本松

人に見つからぬようにこの世に潜んで生きる怪物(けもの)たち。その一つである屍鬼と人との間に生まれた半妖である主人公が、化け狸に拾われて怪物事件専門の探偵社で働く物語。第五十九回以来の登場です。

この巻は本当にどの話も面白かったですね。「漫画の中で最高だと思う巻」選手権を開いたらこの作品から何巻かエントリーしそうな、ハマったときのハネ方がすさまじい作品です。

個人的に、一番良かったのは最初の65話でしょうか。まず戦いを通じて達成すべき目的 (敵だったキツネの調教) を示し、ペットのしつけという文脈で話を進めることでキャラの価値観や異様さをわかりやすくしつつ成長させる。そしてもうこれ以上普通のしつけが無理となったところで、絵的にも発想的にも狂った解決策を繰り出す。これを怪物である主人公やキツネがさも当然のように繰り出すことで、人間との差を際立たせる。見事。実に見事。

この「ある文脈に物事を見立てることで、その枠に収まらない異様さを強調する」手法は、汎用性が高そうですね。「見立て(仮)」と呼ぶことにしましょう。


アンデッドアンラック」(13巻) 戸塚慶文

この世の理を否定する「否定者」たちが、神を斃さんとする物語。第七十六回以来の登場です。アニメ化決定おめでとうございます。

(以下ネタバレあり)

この世界を滅ぼし、もう一度やり直す「ラグナロク」。これまではその阻止を目標としていたわけですが、ここにきてそれを肯定的にとらえ、やり直した次の世界線で全ての悲劇を回避するトゥルーエンドを目指すという大逆転に鳥肌が立ちました。これでこの世界線では何をしてもよくなったからと、味方だったキャラたちと仲間割れさせて戦わせているのが本当にすごい発想だと思います。少年誌的に最大の対話方法は戦いなので、こうすれば効果的にキャラの背景を描きつつ、遺恨を残さずにハッピーエンドに向かえます。これがアニメ化作品のパワーですか。


ゴダイゴダイゴ」(1、2巻) コウノスケ

怪獣退治がショーと化した日本で、時代に取り残された人類最初のヒーローであるおっさんが奮闘する物語。

時代遅れのおじさんが、実は超強い。これだけで主人公の強みと弱みが説明できているのが強いなと思います。もう主人公については情報を足す必要がないため、他のキャラや世界観の説明にページを割けます。しかしこれだけでは尻すぼみでしょうから、今のうちに次の面白さへの伏線を準備してほしいですね。


今週は、 (個人的には) 面白さに波がある2作が最高級のホームランを打ってくれて超気持ちよかったです。それにふさわしいインプットができていればいいのですが。


一般書籍

なんであと数ページのとこまで来て1週間放置してるんですか?


Web記事

お宝山分けボードゲーム『ギブトレ』が生まれるまで(後編)

「ガラクタリウム」のリメイク版「ギブトレ -GIVE ME THE TREASURE-」の制作経緯と思いを、プロデューサーのZUMEさんが書かれたnoteです。

「もっと多くの方に遊んでもらいたい」という課題を解決するために、プレイ人数と世界観に合うアートとの2点を変えたという点が、プロがどこを見ているのかという点で面白かったです。


【作者直撃】ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート作品『SCOUT』を作ったワンモアゲーム!の梶野桂さんインタビュー。会社の同僚はゲーム作りを知らない!?

第百回でも触れた、「作者直撃」シリーズの記事です。

コストを無くし損を嫌って行動しないプレイヤーが出ないようにする部分、一応やってはしていたと思いますが意識していなかった気がするので、言語化されているのを見れてよかったと思います。また、私の疎い株ゲーについての記述が有用そうで、それに挑戦する際は再読しようと思います。


星のカービィ ディスカバリー」をクリアしました。ほおばりヘンケイが想定以上に地形に干渉でき、ステージをぶっ壊す気持ちよさを存分に味わえて楽しかったです。ラスボスの倒し方も意外で、最後まで驚かせてくれました。このまま100%クリアを目指してがんばります。制作もがんばれ。

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