符亀の「喰べたもの」 20220227~20220305
今週インプットしたものをまとめるnote、第七十六回です。
各書影は、「版元ドットコム」様より引用しております。
漫画
「SAKAMOTO DAYS」(6巻) 鈴木裕斗
元伝説の殺し屋、今太った商店店主。そんな坂本太郎と、周囲の殺し屋たちによるアクションコメディです。第六十二回以来の登場です。
今週読んだ作品は、いかに読者を作中のノリに乗せるかについて、考えさせてくれました。それが一番うまいと思ったのが、この作品(45話)です。この前の回(44話)は、主人公の妻に、敵の殺人鬼2人のうち1人が遭遇するところで終わりました。そしてこの話では、このピンチが驚くべき方法でくつがえり、殺人鬼との戦闘が始まります。
この「驚き」、そしてそれを次回への引きではなく前半のフリとして使うことで生じる「ワクワク」が、作中のテンションに読者を合わせるための強力な武器だと感じました。まず「驚き」により、読者と作中のキャラ(今回のケースでは殺人鬼)の感情が同じになり、作品世界でのできごとが読者にとっても他人事ではない「自分事」になります。この「驚き」を話の最後、次回へのヒキに使う作品もありましたが、それではせっかく「自分事」になった瞬間に話が終わって次回また他人事から始まってしまいます。本作は、回の最後よりも冒頭に「驚き」のシーンが多く、意識的に序盤で「自分事」にしてもらうために「驚き」を使っているように感じます。こうして読者がワクワクしてくれれば、アクションシーンを冷めた目で見られることはなく、面白さを100%受け止めてくれます。強みの活かし方が上手いです。
「マッシュル-MASHLE-」(10巻) 甲本一
ハリー〇ッターの世界でムキムキのマグルが下剋上する話。第六十三回以来の登場です。
前回この作品の「驚き役」について触れましたが、まさにこの構造が、読者と同じく主人公の行動に驚くキャラによる「自分事」化のために機能しているのには気づいていませんでした。そう考えると、毎回力業なのにちゃんと「驚かせ」てくれる作者さんの力量が改めてすさまじいなと思います。
「アンデッドアンラック」(10巻) 戸塚慶文
この世の理を否定する「否定者」たちが、神を斃さんとする物語。第六十一回以来の登場です。
後半の「否定十三人一首」が特に面白かったです。「好きな相手にしか能力が使えない」主人公の能力が効いたことで敵キャラが感情移入できる相手だと示し、その前から示唆していたとあるキャラとの因縁を明らかにしたうえでの泣きシーン、泣けました。短歌をキーアイテムにして敵キャラのセリフが七五調なのに気づきやすくしているのも、読者が「自分で」小ネタに気づけるようさりげない誘導がされていて上手いです。
前半も、体がちぎれようが再生する「不死」の能力持ちに戦闘させることで、本来致死級のダメージを与えあうド派手な能力バトルが展開されていて面白かったです。この情報量と派手さこそが「アンデラ」の良さだなと思います。
「マジメサキュバス柊さん」(2巻) ちると
眠れずに朝5時に読んだからかな、人生で一番笑ったギャグ漫画になっちゃったよ。
今週はジャンプ系作品が一気に来たおかげで、質も量もいいインプットができたと思います。問題は金曜に一気に来たせいで読み切れなかったやつが結構あることですね。具体的には、なぜか同日に来て一冊も読めなかったLaLa系とか。
一般書籍
「壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分」尾脇秀和
江戸時代の身分制度は厳格であり、生まれ持った身分は一生変えられない。その常識を、1人の人間が身分によって2つ以上の名を使い分ける「壱人両名」の検証によってくつがえそうとする本です。
面白い内容を、わかりやすく解説している。これだけで最高の一冊です。ただ「壱人両名」の存在を示すだけでなく、その成立理由であった当時の支配構造についても説明されているおかげで、江戸時代の解像度が増します。どうしても漢字が長く続く名前が多く読みにくいところと、同一人物が別名で出てくるため注意しないと混乱してしまうところはありましたが、難しい題材をとてもわかりやすく書いてくださっていると思います。
前述の通り、「壱人両名」を理解するためには江戸時代の支配構造を理解しなくてはなりません。本書では、そこを一気に説明しすぎず、章ごとに必要なキーワードだけを解説しています。おかげで言ってしまえばひたすら「壱人両名」の事例を挙げているだけの本書にメリハリが生まれ、章ごとの立ち位置がわかりやすくなっています(逆にいえば、そこがあらたか語られつくした中盤~後半はやや中だるみしている気もします)。本のような長編でこそ活きる構成だとは思いますが、覚えておきたいテクニックです。
Web記事
遊戯王の簡略版「ラッシュデュエル」について、そのビジュアル面システム面の両方のデザインについて良さをまとめられたnoteです。
「遊戯王OCG(オフィシャルカードゲーム)からの変化」という文脈で語られているため、特に前半のビジュアル面についての部分で、ビフォーアフター的対比がなされています。わかりやすいデザインにするための工夫の事例として、ありがたい記事でした。
「Pokémon LEGENDS アルセウス UIの不満点と改善案まとめ」
「アルセウス」のUIについて、問題点と改善案をまとめた記事です。
序盤に(筆者さん的に)望ましいUIの指針がまとめられており、チェックリストとして価値が高いです。本作については私も体験にのめり込みきれない感覚を抱いていましたが、それを明確に言語化していただけてありがたい記事でした。
「スゴいと思った芸人のコメントBEST50(2010年~2019年)」
筆者さんがスゴいと思われたコメントを50(+20)個まとめたnoteです。
「番組名より。どんな場面で。」というテンプレートの中で、3行以内でコメントの背景を説明し、9割に対してその面白さを伝えられているのがすさまじいと思いました。元々のコメントが面白いのが強いとはいえ、when(とto who)が言えればあらかたの説明は足りるというのは学びでした。
有事の際に我々が身を守るため、総務省がまとめたマニュアルです。
警報の発令時に換気扇を止める、衣服が化学剤で汚染された場合は皮膚につかないようハサミで切って脱ぐなど、言われれば確かにとなるような点が多く勉強になりました。
「【曲コメント】DDR TAGMIX -LAST DanceR-」
「楽曲紹介 Over The “Period”」
エモい。
音ゲープレイヤーの1人として、KONAMI音ゲー、特にDDR関連のストーリーのエモさには憧れていまして、いつか自作にも同じエモさを持たせたいなと思っています。にしてもこの曲コメはエモいにもほどがある。
またじわじわと忙しくなってきて、やりたいやらなくてはいけないけどできないことが増えてきてしまいました。上手く時間を作ってインプットが続けられますように、がんばりたいです。
それはさておき、明日から新作のカードイラストを毎日公開していきますので、是非1001回ぐらいリツイートをお願いします。今日公開したゲームページのほうも拡散してくださいね。
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