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ついに、出会ってしまった

エディンバラの街でちょっとおしゃれなお店が並ぶStockbridgeに、F&Bで壁のペンキのサンプルを買いに、ついでに魚屋さんでイクラを手にいれ、いつもはあまりいかないWaitrose(スーパーマーケット)をうろつきに行ったのです。そういえば美味しいチーズ屋さんもここにはあるんだと寄ったのがこの出会い。

祝。

ついに、やっと、出会ってしまった、史上最高のブルーチーズ。kinaさんにいつかたずねられた時に、好きなチーズといえばスティルトン、ゴルゴンゾーラ、そしてロックフォール、と月並みな答えしか出てこず、おい、せっかくイギリスに住んでいるのにそれはないだろうと自分でも不満を残す答えだったのでそれ以来、好きなチーズを探し当てる旅が続いておりました。

George Mewes HPより

George Mewesというチーズ屋さんで、ニット帽に白衣という店員さん、みなさん物知りで、一人のお兄さんに、「一番強いブルーチーズがどれですか?」と言って聞いてみたら迷わずに勧めてきたのが、これ。

試食をしたら、思わず
「旨味=Umami*の集合体みたいだ!」

と叫んでしまい、お兄さんも、そうでしょう、あんた、上手いこと言うねえ?とハイファイブ寸前で、お買い上げ。
(*Umami=そのままUmamiと言っても通じる世界共通語になっている)

左は大好物のDamson(黒紫色のスモモ)ペースト、右が祝チーズのそれ。


これです、1924 Bleu

その名も 1924 Bleu という、シンプルなネーミング。

1924年。南フランスで、ロックフォールを生産している全ての農家に、ロックフォールと呼べるチーズは100%羊乳であること、全てのチーズが冷蔵過程を必要とする厳密な生産ラインを守ること、などのスッタモンダ会議→法的お達しがあったのだそうです。それまでブルーチーズの農家は、羊乳だけでなく牛乳を使用して脂肪分のバランスを取っていたり、低温冷蔵にこだわることなく、チーズ本来の風味や香りなどを大事にしていたそうですが、そういう伝統的なチーズ農家が方向転換を余儀なくされるという事態になったということなんですね。

そこで諦めずに、細々とそれまで通りでブルーチーズを作り続けて今まできたのがこのチーズ、1924 Bleuということ。

「1924」という美しく簡潔なタイトルのこのチーズは、昔ながらのやり方を忠実に守っていますが、現代の要件を満たしていないため、法的には「ロックフォール」と呼ぶことはできません。1924 は、昔ながらの職人へのオマージュです。何十年もの間、フランスで最も尊敬されているチーズ熟成業者の 1 つであるフランスのモンスで、家族友人たちのために小規模で作られ、熟成されています。

www.zingermanscommunity.comより


1924
は、低温でない自然な温度で熟成されるため、自然な皮が形成され、風味豊かな風味が生まれるのだそうです。ロックフォールの主要産地から約 400マイル離れたロアンヌ近くの洞窟で熟成されているとのこと。

さて、私が試食の時にUmamiと言って驚いたお味の方ですが

• ビスケット
• ホワイトチョコレート
• ミネラルやハーブ

のミックスと表現されておりましたが、ビスケットというのはちょっと遠いとしても密かなシャリシャリ感があり、高級パルミジャーノの粒々と言ったらいいでしょうか、ただクリーミーなだけではないんです。

1924は素晴らしい味です。生き生きとして滑らかで、味わい深いです。強すぎず、それでいてしっかりしています。燻製の風味が少しあり、クリーミーな食感とバタースコッチの風味がほんのりと感じられ、すっきりと長く続く後味が楽しめます。

www.zingermanscommunity.comより
生き生きとしていて、深く濃厚な味わい

若くてやんちゃなブルーチーズではなく、バランスが取れていて、甘く芳醇で、ロックフォールで感じやすい塩気もあまり強くありません。

私は前述したDamsonという甘酸っぱいスモモのペーストと一緒にチーズを食べるのが好きなのですが

左がDamson

1924にはDamsonペーストは全く必要なかったですね。

惚れた。

このチーズを超えるチーズが果たして現れるとは思えない。1924年から迷わずに、ロックフォール業界の圧力に屈せずに、自分たちのチーズを守り作り続けているMonsのチーズ農家さんに、敬意を表して。

(ちなみにお値段は£49.81/kg。写真の大きさ150gを買うと£7=¥1420くらいでした)

kinaさんのブルーチーズ探しの旅は続く。じゃじゃ馬みたいなブルーチーズに出会えるか!?


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