うちに来るべくして来たもの、そして来なかったもの
今のうち(フラット)を2017年に購入した時、当初、家の中にたくさんの青い絵が飾られていました。
全ての絵はフラットのオーナーさんにより描かれたもの、彼女はこのフラットをアトリエとして使っていたのです。
フラットを購入する決め手になったのかどうかは断定できないもののこの青い絵たちはうわ〜素敵という印象を左右したのは間違いありません。
全ての契約がすみ、彼女たちが引っ越した後、もちろん全ての青い絵もお引越し、残った居間はバレエの練習ができるか?と思うようなガランとした様相でした(バレエは踊れないけど)。一体全体、このゼロからどうやって暮らしのあるお部屋にしていくのか、ちょっと途方に暮れたものでした。
元オーナーさんの青い絵、青みの濃いカーペット、モダンな家具、アトリエの雰囲気も大好きだったのですが、自分たちらしい部屋を作る過程でその思い出は切り離し、思い切ってカーペットはガツンと赤。最初は1枚だけだったのですが、2枚に増やすことでZoning(縦に広いお部屋を2つに分ける役割)し、家具はこの家が作られた当時1840年代のWillam IVのデザインで統一しました。どんなに素敵な家具でも時代に合わないものは却下という厳しい(!?)取り決めです。部屋が元オーナーさんのテイスト→全撤去でガランと寂しい→自分たちのテイストへと変化していくのに、全部で5年かかりました。
一番奥に見える大きな絵ですが、ここにはもともと鏡があり、似たような鏡で探していたのですが、結局似たようなサイズの絵に落ち着いています。その絵の購入については以前に書きましたが
実は、それより数年前に一目惚れした絵画があり、落札できなかったので、うちには来なかったご縁のなかったものの写真です。もしご縁があればこの絵がそこにあったということになります。
どうして、人はある絵は好きだと思い、ある絵はそうでない場合もあるのか、本当に不思議です。この上の絵の彼女は自分とは全く関係のない誰かのポートレートなのに自分の家に飾ろうという大胆な発想。今振り返っても、ちょっと無謀だったかなと思うので、やっぱりご縁がなかったのでしょう。
そして最近、廊下ギャラリー(というほどでもなけど)に来るべくしてやってきた絵を今日はご紹介します。
この家のために「いつか元オーナーの画家さんの絵を自分たちで買わなくては」、と思い続けていましたが、何しろ、彼女、有名なので、もともと飾ってあったような青い絵は高価になりすぎて手が出なかったのです。しかも、うちのインテリアは彼女の時とは様相が変わり、彼女のモダンな絵とは合わない。
でも廊下ギャラリーだと自由度が上がります。そこで、出会った彼女のエッチング。
飾ったのは廊下。
真剣に隅から隅まで何日も何日も同じ絵を眺めるなんてことは他の人の持ち物の絵ではなかなかできないもの。こうやってご縁があって自分の生活にやって来てくれた絵を、これは何かしらとか、ここにあるワインボトルみたいなのはどんなワインなのかしらとかちょこちょこと考えたりして暮らす日々は、いつか美術館に行って有名な絵を目の前にした時にもなんだか役立つような気がしている。
結局のところ、その人となりを形成する要素って着ている服、飾ってある花、好きな絵、などの要素から少しづつ成り立っているわけで、話していて面白いなとか、素敵なセンスだなとかどれだけ積み上げられるかにかかっているのでしょう。
好き・嫌いという軸だけでなく、なぜか興味を惹かれるとか、どこかで交わったご縁があるとか、何かを思い出させるとか、そういうみなさんのモノ選びの話、なんだかもっと聞いてみたくなっちゃったなあ . . . noteで検索してみよう。