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北海道の森林を紐解く

前回の「自然を見るということ」に引き続き、

植物学者であり絵を描くアーティストでもあるBenによる、北海道の森林についての考察です。こちらもわかりやすいPPTを作ってくれました!

タイトルは北海道の森林を紐解く Exploring The forests of Hokkaido

2016年初めて日本に来てくれたBen


関西空港(大阪)でトランジットして北海道(札幌)へ


北海道の森林率は71%、それに比べて英国は13%です
しかも北海道のでは1200メートルの高さまで木々が生えていますが、
英国では600メートルまでです
これは多分とても暑くなる夏に関係しているのでしょう
例えば札幌の平均気温はマイナス5度からプラス25度と30度の幅がありますが
イギリスの平均気温はロンドンで5度から20度で15度の幅しかありません


日本、北海道のホロカトマム山林の植生調査を頼まれましたが
イギリス人として、イギリスでの植生調査しかしていない私にとって
驚くほどたくさんの新しい植物について学ぶ必要がありました。

*注 ホロカトマム山林では初め日本の研究者に植生調査を頼んだのですが、苔類は植物に入れないのでできないと断られたため、植物も苔類も両方一気に見れる(非常に珍しい、日本には多分いないのです)Benに出会えたこと→無理矢理お願いした次第です


植生調査のマッピングは樹木を8つ、下草(林床)を7つに大きく分類しました

植物群落(plant community):いろいろな特性から植生に単位性をもたせたとき、そのまとまりを植物群落という。群落単位も、たとえば森、草原などといった極めて単純な見方から、現地植生調査に基づいた種の組み合わせによる植物社会学的な単位までさまざまなとらえ方がある。


これがBenの何日も歩き回る現地調査をしてできたHTMF植生図です!!


笹をかき分けて歩き回る、当たり前にできそうですが、やってみると本当に大変です


英国にはこんなに繁った下草はありません


林床は笹の多いところは種の数が少なく、笹の少ないところにはいろんな種類を見つけることができました


植物の大きくなるスピードが速いのは夏の暑さと雨の多さと関係していると思います
積もる雪の下は思っているよりも温度が下がりません
ただ雪が重いので、こんな成長姿も見られます、みるだけで、雪の重さが想像できる
(英国にはほとんど雪が降りません)(緯度は高いのにね)


とても印象深いのが、ここホロカトマム山林には非常にたくさんの種類の木々があることです(全部で33種類見つかりました)
英国でこれだけたくさんの種類を見つけるには、
スコットランド全土を探し回らないと無理なんですから。


知床のように高度が上がると樹種は少なくなりますが、それでもこんなところまで樹木が育っているのは驚きです(森林帯の限界が高い)


ホロカトマムの種を見てみると、蘚苔類(上)で英国でも見られるものが56%,
日本でしか見られないものが44%、他全ての植物で日本でも英国でも見られるものが15%、日本固有のものが85%を占めました


空気が綺麗でないとこのLobaria Pulmonariaは育たないのです
星野トマムリゾートはすぐ隣の山です。そんな山の中にリゾートの高層ビルが!!!


日本固有の種をたくさん見ることができて、
英国との違いをはっきり感じることができて
ここで少しでもその日本の植物の面白さをシェアできたら幸いです。




いつもありがとうございます。このnoteまだまだ続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。