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プログラミングを遊びの中から学べる。「ナビつき! つくってわかる  はじめてゲームプログラミング」

2020年、小学校でプログラミング教育必修化。これを追い風に子供向けプログラミング市場が活性化しています。Googleで「プログラミング 教室」と検索すると2260万件もヒットします。

そんな中、長年ゲームをつくってきた任天堂から『ナビつき! つくってわかる  はじめてゲーム プログラミング』が発売されました。ゲームと言えば、プログラミングだけでなくCG、音楽など、デジタルの様々な技能が結集した総合芸術です。

「プログラミングを学ぶ」のではなく、「プログラミングで遊ぶ」

このソフトがユニークなのは、学びではなく遊びに特化していること。
プログラミングを学ぶではなく、プログラミングで遊ぶのです。

他教材のようなプログラミングの基礎がほとんどありません。正直、このソフトで遊んでプログラムが書けるようにはなるのは期待できません。しかし、どんな教材より「プログラミングとは何か?何ができるのか?」を深く体験することができます。

英語学習で例えると、普通の教材は単語や文法などから入ります。だが、このソフトは、いきなり海外留学してしまうのです。実際、いきなり海外留学すれば右も左も分からず学習どころではなくなってしまいます。そこで、海外の現地の空気を味わいつつ、迷わず楽しめるように徹底サポートするのが次の3つの特徴です。

任天堂ならではの3つの特徴

1つ目は、磨き上げられた部品の数々。ノードンという名の部品が用意されており、これらを繋いでいくだけでゲームが完成します。0からプログラミングすると地味で面倒なところを、このノードン達がいい感じに処理してくれているのです。

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2つ目はナビ。難解なプロセスを、挫折しないように最後まで伴走してくれる相棒。また、ノードン達がキャラ立ちしており、ノードンの掛け合いで説明が進んでいきます。

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3つ目は任天堂イズム。スーパマリオのBダッシュ&ジャンプに象徴されるように、任天堂のゲームは抜群に気持ちよく動きます。

しかし、この抜群の気持ちよさを作るには細やかな調整が必要で、難解なプログラミングや数学のテクニックも必要になります。論理と感性の総合職人技が必要です。

例えば、ゲーム空間でものが落下する物理法則プログラミング。物理法則を厳密にシミュレーションすると、人間は空中では左右に進まないし、ジャンプ中に壁をキックしより高く飛ぶことは起こり得ない。しかし、任天堂の世界では、空中でも自分をコントロールできるし、壁をけることでさらに高くまで飛べる。この良い感じの物理法則が最初から世界に備わっています。

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この任天堂イズムが細部にわたって用意されており、気持ちよく動くゲームが簡単につくれます。アウトプットの魅力は、子供が何かに夢中になるのに重要項目です。

ハードルが高めのフリープログラミングモード

ナビつきレッスンをクリアした後は、自由に作れるフリープログラミングモード。小学生の娘は、レッスンは1人でさくさくとクリアしてましたが、このモードはハードルが高く挫折しかけていました。そこで、父がゲームのアセット(ジャンプ台、無重力装置など)をつくって、それを元に娘がゲームを作ることにしました。

最近のプログラミングの世界には「アセットストア」というものがあります。ゲームで使えるキャラ、ギミックなどゲームで使える部品を0〜数千円で購入できるもの。このゲームにもアセットストアや、まとめサイト的なものが登場し「良い感じの部品」が増えると、小学生でももっと深く遊べると思いました。ここは、今後に期待です。

遊びの中から学ぶ

子供は自然の中から世界の様々を遊び学んだり、学校の集団生活の中から人間関係を遊び学びます。何かを学ぶには、その世界に飛び込んで、濃い体験をすることが一番です。このソフトはゲーム空間の中で、プログラミングを使って遊び、プログラミングは何ができるのか?を体感できます。

生まれた時からスマホなどデジタル端末に触れてきた子供をデジタルネイティブと呼びます。このソフトで遊んだ子供たちはプログラミングネイティブと呼べる感性を持つかもしれません。プログラミングのスキルではなく、プログラミングネイティブの感性を育てる。プログラミング教育の入門編におすすめの1本です。

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