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小説集

8
学生時代、過去の作品たちです。キュンがテーマ。大目に見てあげてください。
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#小説

寂しさに唇寄せて、

寂しさに唇寄せて、

「ごめん、急いで終わらすから、ちょっと仕事させて」

 3週間ぶりに私の部屋に来た彼は、そう言って早々とデスクを占領してしまった。お気に入りのりんごマークのパソコンに向かう彼の背中を、もうかれこれ2時間くらいは見ている気がする。

 先ほど差し入れに買ってきたコンビニのアイスコーヒー(本当は私が飲みたかっただけなんだけど)を渡した時も「あぁ、さんきゅ。」って画面に向かって呟いただけだったし、もうす

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[log]ひとりぼっちで泣かないで

[log]ひとりぼっちで泣かないで

「はぁ・・・」

部屋にたどり着き、ベッドに身体を投げ出して大きなため息を吐く。

これ以上ないくらいに重大なミスをして、これでもかってくらいに怒られて、挽回するチャンスすら与えられないまま、半ば強制的に帰宅させられた。

悔しいのと情けないのと疲れたので、本当に頭も心もいっぱいいっぱいだった。

カバンの中でスマホが鳴る。
重い身体を起こして画面を見ると、表示されているのは彼の名前。

「・・・

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