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仏教は究極のメンタルヘルス『反応しない練習』草薙龍瞬

「心理学の本を読んで学んできたことが、たくさん書かれている」と驚きながら、草薙龍瞬さんの『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』を読んだ。

本書には過去や未来に捉われるのではなく、淡々と今に集中して生きる。マインドフルな暮らしのすすめが綴られている。

上がり過ぎず下がり過ぎない暮らしは心に良い。その秘訣は今に集中すること。丁寧に生きること。

さて先週、公衆の面前で怒鳴られた体験を投稿した。

怒りとは「馬鹿にされた」といった劣等感が生み出す妄想らしい。
肩が当たった際に、舌打ちしたり怒鳴ったりというのは、明らかな反応だ。
そして怒鳴られた側が「自分は傷つけられた」と根に持ち、そのことをずっと思い出し続けるのなら、それもまた過去に対する反応である。

心を平穏に保ちたいのなら「自分の今について気づけるようになること」が重要とのこと。

『反応しない練習』では、今の状態を言語化する重要性を説いている。

決してジャッジすることなく、今の状態を言葉にする。「椅子に座っている」「タイピングをしている」など、どんな状況でも客観的な言葉で今を認識する癖をつければ、反応を減らせる。

生きている以上、何か問題は起きるものでそれ自体はしかたがない。つまり反応はしてしまうものなのだ。
反応自体はなくせない。ただしその度合いを減らすことは可能だ。

情報化社会では莫大な情報の渦の中で暮らさざるを得ない。そして、いつしか脳がキャパオーバーを起こし、脳疲労が常態化する。
これらは絶えず何かに反応し続ける、ビジネスの仕掛けがなされた結果だ。

本書でも劣等感について触れられていたが、反応と劣等感は密接な関係がある。
書店をぐるりと一周し、販売されている書籍のタイトルを確認すると「〇〇がゼロになる」「一瞬で〇〇になれる」など「そんな魔法みたいなこと、あるかいな!」と思わずツッコミたくなるようなものが目白押しだ。

これらにはいずれも「この本を読めば、劣等感によって生まれたあなたの心の痛みを取り除けますよ」という仕掛けである。

劣等感を刺激することで、反応を発生させ購入させようとしているのだ。

人は大きな痛みを取り除くためには、大枚をはたくことも珍しくない。

中には何十万もの受講費を支払って、怪しいセミナーに通う人までいる。劣等感を刺激された結果なのだろう。

最後に『反応しない練習』と一緒に読めば、現代社会のからくりと我々の取り巻く状況の恐ろしさへの理解が深まる一冊をおすすめしよう。

『僕らはそれに抵抗できない「依存症ビジネス」のつくられかた』

誰かが企図し強制的に生み出された快楽は、もしかするとあなたの苦痛の根源かもしれない。

消費的な快楽の行く末は、疲弊と堕落に他ならない。

気持ちがいいのなんて、一瞬なのだ。

日常の中でできるだけ花鳥風月に触れて、身体や心の感覚を磨く。そうすれば超情報化社会で暮らしても、疲れすぎず乗り切ることができるだろう。

『反応しない練習』を読んで、スマホというひたすら反応を引き起こす中毒性が極めて高い物体から、もっと距離を置かねばと痛感した。

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