見出し画像

ジェネレーションXY,スピリチュアル・リアル

水鏡みずきちゃん、あなたの想念が重くて。分かるんですよ。やめて下さいね」

そのメッセージが届いたのは、人生初のブライダルフェアを控えていた秋の日曜日でした。いよいよここから結婚式に向けて本格的な準備が始まるのです。天然の多幸感に包まれ、体まで軽いみたい!

幼少よりスピリチュアルに傾倒していた私は、不遇の日々であっても命あることに感謝し粘り強く生きていました。しかしながら周囲からお祝いされるような幸せとは長いこと無縁だったのも事実です。私にも分かりやすい幸せがようやく来たのだと正直ほっとしていました。

勿論、女の幸せイコール結婚とは思っておらず、既に少数派の願いとなっているかも知れないという認識でした。実際に同世代の友人は、独身でいたい人、同性のパートナーを持つ人、離婚を叶えたい人も多かったのです。「今世叶えたい夢を叶えよう。私たちはそんな時代を創っている」。ブライダルフェアの予定を綴ったブログ記事も、そう締め括りました。ヘッダー画像にはガラスのバレエシューズ。ヒールじゃないから楽ちん。私はいつの間にか、サステナブルなシンデレラに成ろうとしていたのです。

火鈴かりん先生は職場の先輩で、シャープな霊視が特徴の占い師です。辛口鑑定が魅力の火鈴先生は私とはタイプが真逆。ウエットな私が可愛がられる理由が分からなかったのですが、キャラ被りの心配がないのだそうです。それなのに何故このタイミングで。次のメッセージは更に衝撃的なものでした。

「あなたも私に嫉妬しているのでしょ」


そろそろ出発の時間が近付いていましたが、既読を付けてしまいました。この件が気になったまま一日を過ごすのは避けたいところです。私は瞼を閉じて一度深呼吸をし、手のひらを合わせ、上手く伝わります様にと願いました。

「私は火鈴先生のことを好きですし、今幸せです。昨日ブログにも書きましたが、式場の下見に行ってまいりますね」

送信。あなたに嫉妬してませんというのもわざわざ書く必要のないこと。代わりに、あなたのことを好きで私も今幸せというパワフルな言霊を!言い負かすのが目的ではなく「いつも通りあなたのこと好きですよ」と伝えることが目的なのですから。火鈴先生も霊感占い師、きっと伝わるはずです。直ぐに長文の返信が届きました。

「自覚はなかったかもしれませんが、想念は無意識にでも送られるんですよ。私には視えました。二度寝するとき、あなたの顔が生首の様に浮かんでいたのでこっちに来ていたのが分かりました。水鏡ちゃんは私に対して微塵もネガティブな感情を持ってないと言えますか?言えませんよね。式場の下見に行かれるのは知っていますよ。だから『これから忙しくなって占いの仕事に集中出来ない。自由に働いている火鈴が羨ましい』という潜在意識があったのでは?」

私は生首で登場か。入眠時幻覚かも知れません。二度寝とおっしゃっていたし疲れているのかな。しかしながらスピリチュアル界隈では未だに、霊障を健康上の問題ではないかと心配することはナンセンスだとされがちなのです。理解に乏しく霊視も碌に出来ない能力者だと。そう、この界隈では、問題を整理し医療が必要であろう部分はそう伝えるより、「不調の原因は霊障とし除霊浄霊出来る人」がより強力な能力者とされる傾向があったのでした。

さて、元虚弱体質・鬱病の克服者・強度HSP、そして家事が趣味の私は、バリキャリには正直惹かれません。かといって「火鈴先生に対するネガティブな気持ちはゼロと言えるのか?」と訊かれるとNOです。何故なら私は、どんな友人知人に対しても「この部分は合わない」という部分を持っているから。はじめから違いを意識しながらも好きな人と交流させていただいているのです。さあ、短い時間でどう伝える?

「重い想念ですか。心当たりがあるとすれば、『幸せ慣れ』していないことでしょうか。そこに変な波長があるのかもしれません。慣れない幸せに、まさか死ぬ前のご褒美?とか、もしかしてもう死んじゃってるんじゃないかとか、偶に不安になりますから。もしかして火鈴先生は"無意識のうちに"心配してくださっていたのでしょうか」

「確かに心配はしてました。水鏡ちゃんって『明日死ぬかも』の精神で生き過ぎなところあるからね。タナトフォビアがまだあるの?」

「ああ、はい、そうなんです。えへへ、ご心配ありがとうございます。やっぱり火鈴先生好きです」

「その好き好きというのも気をつけなさい。分かっているでしょうけど、異性には禁句。もう直ぐ既婚者になるんだから」

気をつけます。

その後も彼女とは心地よい間柄を保っており、最近ではこのようなメッセージが届きました。

「面識のない子から『火鈴先生からテレパシーが届きました』ってDMが来たの。まず誰ですか?だよね。正直に訊いたわ。すると『初めまして。火鈴先生は無意識にテレパシーを送ってくれたんですね』って。喩えなのか知らんけどまあまあ怖いね。してないということを証明出来ないから。まあそこを除霊だの何だので高額サービスに誘導する人がいるのがこの界隈のホラーなんだけど。本人たちさえよければいいのか分からないけれど、私たちは新しい流れを創って行こうね。まだまだやることが沢山あるわ。早く戻っておいでね」


・画像はパブリックドメインQ(著作権フリー画像)さんからお借りしました。
・占いやスピリチュアル界が素敵に成熟することを願っています。

旧年中はサポートを誠にありがとうございました。2023年もマガジンをセッション並みにご活用いただけるよう工夫しています。なお、フォロワー様限定のサポート企画も毎月密かに継続しています。詳細は固定記事をご覧ください。あなた様にも沢山の幸運が循環しますように✨✨