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浄化(行動),波動修正.命とは,スピリチュアルとは何か.過食しても生かされた

※小説は昔の体験をもとにした創作であり、個人を特定されないように脚色しています。


浄化行動(パーシング)とスピリチュアルな浄化

「浄化」という言葉に初めて惹かれたのは、私がまだ10代だった頃です。その言葉を見つけたのは、スピリチュアル関連ではなく摂食障害に関する本の中でした。開いたページからパッと飛び込んで来たのです。こんなことを書くと変に思われるかもしれませんが、浄化という文字を目にした瞬間、私は心が震えました。「『浄化』。なんてぴったりな表現なのだろう!きっと『あのこと』だ」と。

浄化行動(pursing パージング)、浄化(purge パージ)。本を読み進めると、それは想像通り、過食を打ち消す行動のことを示していました。一般的には過食後の嘔吐、そして下剤の乱用などを指すようです。過度な運動も含まれるかもしれません。

私の場合、過食した食べ物のカロリーを帳消しにするだけなく「デトックスしたい、身体を内側から清めたい、穢れを祓いたい」と切望しており、それが「浄化」という言葉が持つ意味合いと絶妙にマッチしており感動を覚えたのです。

今振り返ると、後に占いの世界でアルバイトをするようになってからは、過食後の浄化行動は軽減していったようです。行うと却って心身に負担が掛かる無理な浄化行動よりも、「心身を整える」「無理して打ち消さない・マインドフルネス」といったスピリチュアルな浄化への移行は、私に合っていました。浄化行動パージングよりもっと根源的で幅広い浄化です。どちらかというとpurificationピュアリフィケーションでしょうか。

しかしそれでも、過食自体が完治した訳ではありませんでしたし、これまでの蓄積で自分の体には悪いものが溜まっているだろうと考えていたため、解毒作用があるとされるハーブティーを取り寄せて飲んだり、効くかどうか分からないデトックスのエステなどを受けておりました。

マイナスを減らすだけで新たなプラスを生み出さない出費は、私の少ないお給料では経済的にも精神的にも苦しいものでした。尤も、あまりお金がなかったからこそ、高額なものや怪しいものにつぎ込み過ぎず済んでおり、そういう意味では守られていたのかもしれません。

アンビバレントな心身で願うとき,おまじないの効果は…

さて、分からないことだらけだった占い師のお仕事でしたが、それでもようやく私の人生に馴染んで来た頃、数少ないオフラインの友人から買い物に誘われ、久々に女2人で出掛けました。

可愛いものがひしめき合う雑貨屋さんで友人が手に取ったのは、ワイルドストロベリーの栽培キット。「ワイルドストロベリーに願いを込めて育てると、実がなる頃には結婚できる」というおまじないを、私も彼女も知っていたのでした。

私自身は幼少より結婚願望が強かったのですが、敢えてワイルドストロベリーを選びませんでした。それは、今育てても実がなる頃に結婚出来るとは到底信じられず、ワイルドストロベリーのおまじないが効かないことになってしまうのは嫌だから、もっと結婚出来るような状態になってから買おうという理由からでした。

幸運の受け取りを遅らせていたのは私自身だったのかもしれません。しかし願望は本物でも実際に伴侶と生きていくにはもう少し心身の治癒と準備が必要だったと、どこか知っていたとも言えるでしょう。いくら願いが強くても、アンビバレントなエネルギーを持っているとき、トータルで「不変」「現状維持」になることもあります。ではそこからどうするか?なのです。

そのお店で私は友人と同じシリーズの、ミニひまわり栽培キットを選びました。ひまわりは金運や健康運が上がりそうなイメージでしたので。

袋に入っていた種の発芽率はよく、備え付けのポットでは直ぐに窮屈になったため、安い鉢を買い足し植え替え、ベランダに並べていました。元々植物を育てるのは幼少より大好きで、順調でした。

結婚したい占い師.自分らしさは本人に任せる

春姫の小さな占い会社は、在宅勤務であるのに珍しくお給料が手渡しでしたので、私は毎月東京へ向かいました。事務所へ行くのは好きでした、何だか普通に働いているような気分になれるから。オフィスビルはぴかぴかに新しく、沢山の世界を見せてくれる春姫に心から感謝していました。

エントランスのソファに座っていたその女性がY先生だということは、宣材写真と同じお顔だったので、ひと目で分かりました。お給料を受け取りに行った日、私の前の時間帯に受け取りに来たY先生は、私を見るなりお声を掛けてくださいました。

Y先生。私よりふたまわり年上の女性。クレオパトラばりに揃えた黒髪ストレートボブヘアー、艶々と光るローズの口紅。とても綺麗な方で若く見えるけれど、個性は強いと思います。

「こんにちは!本物の水鏡さんね。直ぐ分かったわ。HPのお写真そのまま!お化粧薄くてもそのお顔なのね。はじめまして。私はYよ、分かる?」

「あっはい、分かります!はじめまして」

「あなた、早く来たのね。ね、5分だけいい?座らない?ここ」

対面で人と話すのはかなり苦手でしたが、普段HPでしか見ない占い師さんとお話しするのは少し興味がありましたし、「では5分だけ」と自分の意思で座りました。

「早速で悪いんだけど本題いい?・・・私って、結婚出来ると思う?」

黒い瞳が揺れています。

「結婚したいんですか?」

反射的に出た言葉でした。

「あはは。そうね、諦めてはないのだけど。私、孤独死は怖いって最近思うのよ。ああ、ごめんね。若い子にこんな話題。実は少し前に言い寄って来た人がいて、でも大丈夫か心配になって、興信所で調べてもらったのよ。高かったわぁ」

「興信所。高そうですね。その男性、怪しいところがあったんですか?」

「うーん、そういう訳ではないけど。前にね、捨てられたのよ、同棲していた彼氏に。新しい彼女と婚約されちゃった。今回は年配のおじさんでね。何で私?って思っちゃって」

「『何で私?』って、普通にY先生が可愛いからだと思いますけど。元彼さんは・・・そうだったんですね。そういうとき、波動修正ですよね。Y先生得意ですよね」

私は、Y先生の占術に「波動修正」と記載されているのを覚えていました。やはり自分が必要な能力を、開花されているのだろうなぁ。

「まーっ、あなた、本当に占い師向きね。よく見てるわ。そうやって徳を積んでいるのね。これ、あげるわ。飴ちゃんよ。ありがとね!」と、エレベータに向かって私を送り出しながら、ポケットにカードサイズの紙袋を押し込みました。

エレベーターのドアが閉まるまで、笑顔で手を振ってくれ、そのまま帰って行かれたのです。

占い師さんってやっぱり個性的な人多いのかな。疑い深すぎて、良縁が結ばれるタイミングを逃してないと良いけど。私は疑わなくても失敗したか。そんなふうにぼんやり思いながら、日頃の過食で匂いに少し不安があった私は、事務所に入る前にY先生からいただいた飴を食べようと小さな紙袋を開けました。

すると、中には折り畳まれた5千円札と飴が1つ。鑑定料のつもりなのでしょう、律儀な人。私は偉そうだったかもしれないと、恥ずかしくなりました。

でもあらかじめ準備していたってことよね。Y先生は頑張りすぎなのだわ、きっと。もっとゆったりふんわり、時にしたたかに愛されていいのに。でもご自身の信念・世界観を大切にして生きるのもまた実りある人生だろうから、何とも言えないのだけど。

事務所に入り、春姫にY先生のことを少しだけ打ち明けると、「私も」と春姫が私と色違いの小さな紙袋を見せてくれました。手作りでしょう。

「まさか、皆に配っているとか。少し心配ではある。ね、ちょっと借りていい?やっぱり、紙に白檀の香りが残ってる。気のせいかと思ったのだけど、水鏡の分も香るわ。豊かな香り」

春姫も私も確かに心配はしたものの、個性的なY先生のことだから、ご自身のやり方があるのだろうねと、少し微笑み合いました。

じきに、その年の夏が訪れ、私の植えたミニひまわりたちはベランダで元気に蕾をつけ始めました。週末に来る、超大型台風の接近に備え、ミニひまわりを守るため鉢たちをベランダから部屋に入れ、出窓や狭い玄関に並べました。

夜.救いはスピリチュアルを超えて

【筆者より】令和4年6月から下書きしていたこの回ですが、7月に投稿して良いものか、私は迷っていました。友人とやり取りをしているうちに、このタイミングで投稿する意味があるのかもしれないと思い、投稿しました。

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【無料でご覧いただけます】霊感占い師でありヒーラーでもある水鏡が見てきたスピ界隈の物語です。スピリチュアルジプシーさんや引き寄せ難民さんを…

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