見出し画像

週刊オールライター第54号 「大谷翔平選手から考える文章の書き方 〜『憧れるのをやめましょう』と最初に前置きした意味とは?〜」

「僕からは1個だけ。憧れるのをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、センター見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか。まあ野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがやっぱりいると思うんですけど。今日1日だけは、やっぱ憧れてしまったら超えられないんでね。僕らは今日超えるために、やっぱトップになるために来たので。今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう!」

(以下記事より引用したものです)

(実際の映像はこちらから)

https://www.youtube.com/watch?v=MEg7uQgO3-w

上記の名言は、今年3月21日に開催された第5回WBCの決勝戦、日米決戦前にロッカールームで円陣を組んだ際、大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)が行った声出しの全文です。私はライターになるという夢に向かっていますが、今思うとこの大谷選手の名言には
「会話や演説はもちろんのこと、上手い記事を書くうえで最も重要な部分が隠れている」
と考えています。なぜそう考えるに至ったのでしょうか。今回はこの、
「憧れるのをやめましょう。」
という大谷選手の名言から上手な記事の書き方を考えてみようと思います。


1. 「言いたいことを先に書け」?

私は今回、「鉄道ライター監修のもと記事を執筆したい」という夢でNACK5様の企画をやることになり、そこでお世話になった栗原景さんから
「記事になる文章を書く際に『言いたいことから』書いてみよう。要するに『サビ』から始めてみることですね。」
とアドバイスをいただきました。
私は正直、大谷選手の発言を思い出すまでいまいち実感が湧きませんでしたので、栗原さんの取材に同行して得た経験をもとに記事を書いた際も
「言いたいことから記事を書く」
ことができませんでした。そのため、ラジオ特番に出演した際も栗原さんより同じことを言われてしまいました。言い換えれば
「自分の言ったことを書けていなかった」
という批判です。大変重く厳しく受け止めました。

2. 大谷選手の発言を分析! そこで分かったこと

では、「憧れるのをやめましょう」がなぜ本文の前に置いてあることで説得力があるのか、以下のパターンを読んで考えてみてください。なお、大谷選手の一番言いたい言葉である「憧れるのをやめましょう」は、太字で表記しています。

パターン① 本文の後に置いた場合

僕からは1個だけ。
今日の試合、ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、センター見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか。まあ野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがやっぱりいると思うんですけど。今日1日だけは、やっぱ憧れてしまったら超えられないんでね。僕らは今日超えるために、やっぱトップになるために来たので。今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。
だから、憧れるのをやめましょう。
さあ行こう!

パターン②本文の前に置いた場合

僕からは1個だけ。
憧れるのをやめましょう。
ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、センター見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか。まあ野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがやっぱりいると思うんですけど。今日1日だけは、やっぱ憧れてしまったら超えられないんでね。僕らは今日超えるために、やっぱトップになるために来たので。今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。
さあ行こう!

結論

いかがですか?私は前に置いてある方が説得力があると思います。その理由は、
「最初に結論や一番大事なことを示しすと、見ている人はとてもわかりやすく話題に入ることができるから」
です。これは栗原さんが出演した10月25日放送の「60秒で学べるニュース(テレビ東京)」の感想をXのDMでやり取りした際に返ってきた言葉です。この放送で栗原さんは今年の年末年始の東海道新幹線のぞみが全列車で全席指定席になる理由を解説したのですが、その理由を一番最初に
「お客様の『のぞみ』を叶えるため」
と述べてから60秒解説に入っていました。こうすることでこの後の解説がわかりやすくなりますね。

補足
私の今回の西武安比奈線を特集した課題は、言いたいことである「この廃線跡は西武安比奈線」というようなワードを後ろに出してしまったことで
「この人は何が言いたいんだ?」
という印象を植えかねません。そのため栗原さんはメスを入れたのです。
実は恥ずかしながら、この事は鉄道ダイヤ情報11月号の取材の過程で言われた事なのですが、同じ失敗をしてしまいました。その後、栗原さんの添削と前述の栗原さんのテレビ出演を見て学んでいる際にふと大谷選手の発言がなぜか頭をよぎったのですが、その時にようやく意味がわかりました。大谷選手の「憧れるのをやめましょう」がなぜ名言とされたのかという理由もこれで説明ができます。

むすびにかえて

今回は、上手な文章の作り方が「憧れるのをやめましょう」に隠されていた、というお話でした。私自身本当に恥ずかしいミスを課題でやってしまったので、今後の記事づくりでは一層気をつけていきます。

ではまた次回、18日にお会いしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?