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好きなことばたち紹介

 読書量の少ない僕でも、ときどき、鳥肌の立つようなことばに出会うことがある。本を閉じ、目をつぶり、上を向いて、そのことばがただ僕の胸を波立たせるのにまかせる。はじめてその経験をしたのは、フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を読んだときだった。2年前の初夏の朝7時半、駒場キャンパスのガラス張りの食堂前のテラスで読み終えて、最後の一節だけを何周も読み直し、「これは自分のために書かれた小説かもしれない」と思った。いわゆる「心震える読書体験」をしたのだった。そのような経験はそ

    • 21歳になるということ

       21歳の誕生日を迎えた今日、この文章を書く。誕生日があまり歓迎すべきものではないように感じはじめたのは20歳になるころだった。10代のうちにしか学べないことがあるだろうと考えていたから、家族のことで悩み続けて日常の楽しさに目を向けず、普通の人が普通に学べている何か大切なことを自分は見落としたまま20歳になってしまったのではないかという考えが僕を苦しめた。いまだに遊びに人を誘うことすらなかなかできない、人と付き合ったことすらない、いまだに家族の過去のことで悩んでいる……。自分

      • 東京大学の学費値上げに反対します。

          先日、僕と同じ東大生が学費値上げに反対する文章を書いていた。 自分と同じようなことを感じていた学生がいることがとても嬉しかった。そして、決して金銭的に恵まれてきたとはいえない自分にも書く義務があると思った。  僕は数年前まで住民税非課税の母子家庭で過ごしてきた。いまはJASSOから第一種貸与型奨学金、ある民間の奨学財団から給付型奨学金を受け取っている。入学時はJASSOの給付型奨学金(第Ⅰ区分)も受け取り授業料は全額免除だったが、親の収入がだんだんと上がり、とうとう半

        • インスタをやめた

           インスタをやめた。アプリを消すことは何回もあったが結局のところブラウザでログインして見てしまうのがオチなので、アカウントごと消した。そうしたら不思議と次の日からインスタへの興味は完全になくなった。  インスタをやめる前は毎日のようにストーリーに投稿していたし、友だちの投稿もよく見た。しかしそれが自分自身のQOLを下げていることはわかっていた。  インスタを開くと、東大生の投稿が必ず目に飛び込んでくる。それは自分が東大という場で普段過ごしているからだ。毎日どこかで外食したスト

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