PBWライターを2ヶ月続けて感じたこと
HS書架代表、春紫苑です。
7月30日からアルパカコネクト様でライター活動を開始して、今月末でちょうど2ヶ月を迎えます。ワールドの一つ、ホワイトレターでしか活動していないにも関わらず、ありがたいことに、今までご依頼いただいたノベルは30にも登り、20以上が無事納品の運びとなりました。
そこで今回は、2ヶ月間のPBWライター活動を振り返るとともに、ライター活動で得た知見を踏まえ、
ノベルを書く上でのポリシー
PBWライター活動を始める方のために、やっておいたほうがいいこと
を書いてみようと思います。
なおアルパカコネクトやPBWって何?と思われた方は、以前私が書いたこちらの記事をご覧いただけると嬉しいです。
※なおこの記事にリンクしたノベルは、すべて(C)アルパカコネクトに帰属しています
春紫苑/ホワイトレター/(C)アルパカコネクト
現在の状況
クリエイターページ開設から2時間後(!)に初依頼という奇跡により、この2ヶ月間ほとんど発注が絶えませんでした。ご依頼者様方には本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
※下のリンクは私春紫苑のクリエイタールームへ移動します。
先月は9件の納品。今月は先月を上回るハイペースのご依頼と納品数を記録しています。冒頭でも記載した予想を超える盛況ぶりに、自分でも驚きを隠せません。
とても恵まれた状況だと理解しています。しかし活動開始から、すべてが順調満帆とは言えませんでした。
ライター活動開始から今までの経緯
理由はなにか。それを整理するため、活動初期を振り返ってみます。
※PC名は敬称略
発注内容に踏み込むことを躊躇した
初発注を戸惑いながらも納品し、自分の書くノベルの方向性がある程度見え少し自信をつけたところに舞い込んできたのが、PCグレッグ・デューク氏からのご依頼でした。
彼からの発注文は、1件目のマヤー=ユサンディア氏とはまるで違い、ホワイトレターの世界観をある程度把握しないと書けないお題。
その発注を文字に起こしたノベルが下記リンクです。
依頼をこなすことで徐々に世界への理解を深めていく予定だった私は、本腰を入れて把握する準備を始めます。
まずワールドガイドを一通り印刷。またスティグマやメイルアーツ、魔術、ウォーカーのアタッチメントもファイリングし、関係する関連情報をすぐに参照できるよう整頓。
グレッグ=デューク氏のノベルはもちろん、参加シナリオにも目を通し、私の中にキャラクターを取り込むこともしました。お題にある武器を考察するため、同時代の資料をあさることも。
しかしこれだけの準備をしても、彼のお題を文字に起こすのは、難航を極めました。おそらく今までの全依頼の中で、グレッグ氏の依頼が執筆に一番お時間をいただいています。これだけの時間がかかった理由は、どこまで踏み込んだ描写をするかの落とし所に悩んだからです。
ここでいう「踏み込んだ描写」とは、どれだけ具体的な(それも発注文にないことや世界観に明記されていないもの)を取り入れるか、という意味だとお考えください。例えば次のようなものです。
キャラクターの心情
登場する武器の名前
依頼内容やキャラクターの設定に則しているライターオリジナルの解釈
今なら描写ラインの基準があるのですが、執筆当時はまだ曖昧だったこともあり、具体的な描写はなるべく避けました。そのため、すこしふんわりした内容になったと自覚しています。
しかしグレッグ氏にご依頼いただいたお陰で、ホワイトレターの世界観を自分の中に取り入れることができ、描写の線引を考える切っ掛けができたことは、本当にありがたかったです。
得意を形にする
このように、2件目にして力の限界を知った私ですが、次にご依頼いただいたPCラモン氏と、その次のジェイムズ ライベン氏の発注でようやく私の得意な描写を見ていただける機会が訪れます。それが「戦闘」と「人物描写」です。
ラモン氏のノベルリンクはこちら。
ジェイムズ氏のノベルリンクはこちら。
ラモン氏はPCのガタイを活かした戦闘もので、ジェイムズ氏は銃撃戦と裏切り、敵兵を助けるために軍からの脱走という、人物の内面描写にうってつけの題材。
彼ら2人のノベルは、非常にポジティブなファンレターをいただけるほど好評で、納品後も継続的にご依頼いただくようになりました。
このように得意を形にできたことで、その後の発注につながったと考えています。さらに言うなら、彼らのノベルが私のライター活動における一つの転換期となったとさえ感じるのです。
お陰様で現在は、受注ポイントを追加するたびにノベルの発注依頼が入るという、ありがたくも嬉しい悲鳴を上げる日々を送っています(笑)。
ノベルを書く上でのポリシー
以上のように、まだまだアルパカテーラー活動手探りの春紫苑ですが、こんな私でもノベルを書く上で大切にしている心構えがいくつかあります。
発注文の内容をそのまま文字に起こさない
ノベルを発注する依頼者は、ある程度お任せのご依頼でもないかぎり、PCにしてほしいことや、感じてほしいことを発注文に起こすそうです。「そうです」と書いたのは、私が発注未経験だから。
とはいえ発注文の文字数に上限があることは、私でも知っています。だから、依頼の内容をそのまま文章に起こしても、プレイヤー様が望む真の形にはなりません。
なので、私は発注文を読み込み、時には大胆に解釈を変更して整合性を取りつつ起伏を考え、なるべく一つの話として起承転結を作ります。
この作業をするために、キャラクターの読み込みが必要なのです。初めて依頼されるPCであれば、
スティグマ、メイルアーツなどの技能系は何を持っているのか
どんな史実(納品されたワールドノベルや活躍するシナリオ)があるのか
をできる限りチェックして、ご依頼の要素に取り込めるようであれば、積極的に設定を活かす努力をします。
なるべく発注文をよくするための要素を取り入れる
これは私だけなのかもしれませんが、依頼プレイヤーさんを喜ばせたいために、発注文の内容に即した、文章にはない要素をなるべく加えるようにしています。
おまかせ発注が得意なライター様であれば、
「そんな当然のことを言われても」
と思われるかもしれません。しかし私の場合は、ある程度依頼者がPCに何をしてほしいのか、明確な形がある方が書きやすい。それを深掘りしてストーリーを組み立てるほうが得意なライターです。
注文に書いてある「こういうことがしたい、させたい」内容はノベルで表現します。しかしこの「したいこと」をもっと膨らませるために、プラスアルファの要素も同時に考えるのです。
以下、具体例を挙げて説明します。
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ジェイムズ氏の場合
前述したジェイムズ氏のノベル「悪夢を泳ぐ」であれば、発注文を簡単にまとめると、「攻略目標の礼拝堂にいるスナイパーの子供を殺せずに、助けて脱走兵になる」というものでした。
上記内容だけを淡々と描写してもよかったのですが、ノベルの下調べをしている時に、私はヨーロッパに教会の尖塔まるまる楽器にした「カリヨン」なるものが存在することを見つけました。そこでジェイムズ氏の心情をカリヨンの音色に絡めて描写することにしたのです。
結果とても情緒深いノベルになった手応えがありました。
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リーフェンシュタール氏の場合
こちらはリーフェンシュタール氏のノベル「抜け殻」。
発注文は、簡単にまとめると「出兵中に亡くした妻と娘の在りし日を偲ぶ」というもの。
ノベルのタイトルどおり、リーフェンシュタール氏は家族を亡くして抜け殻となっており、発注文にも比較的具体的に記載されていました。私はこの依頼にプラスする要素として、腹を食われてもなお足を動かす甲虫(私はこれをゾンビ虫と名付けました笑)を描写し、リーフェンの現在の姿に例えたのです。
この描写を加えることでノベルに結論のようなものが加わり、ぐっと引き締まりました。
別に発注者様から注文を受けたわけではありません。しかし上記のような描写を一つ加えることで、ノベルの深みが出るように心がけています。
ただし文字数が少ないと、要素を加える余地がなくなります。ですので、このような描写が大好物な方は、ぜひとも文字数アップのオプションをお願いします(笑)。
これからアルパカライターになる方へのアドバイス(ホワイトレター限定)
PBWライター歴2ヶ月の私が言うのもなんですが、お陰様で安定した発注が毎月一定数あります。そこで私が活動を始める時に意識したことを記載するので、これからライターを始めるあなたの一助になれば幸いです。
スタートダッシュに力を入れる
これはライター活動に限らずビジネス全般に言える事ですが、発注で最もハードルが高いのは、最初の依頼を受けること。
早い段階で発注を受けることができないと、そのままズルズルと依頼が来ない可能性もあります。そうならないために、スタートダッシュを心がけましょう!
ではスタートダッシュをかけるために何が必要でしょうか。私は次の二つだと考えます。
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【1】テスト結果を待たずにクリエイタールームの準備をしておく
アルパカコネクトでは、ライター登録のために審査があります(免除者を除く)。その課題は毎月8日に発表があり、15日提出期限というスケジュール。そして合格の是非は29日に行われます。
ということは、提出してから合格発表まで約半月間の猶予があるのです。この期間に固唾を呑んで待っているだけなんてもったいない!そこでこの期間を「クリエイタールーム(自己紹介ページ)」の作成準備に充てるのです。
クリエイタールームの作り方は後ほど解説するとして、まずは準備することを覚えておいてください。
えっ、合格できなかったらどうするかって?
落とされて来月再チャレンジするにしても、結局ルームを作る作業は必要です。大丈夫、作業は無駄にはなりません。それより早く準備し、より依頼の入りやすい充実したページを作りましょう!
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【2】できればアイコン、ヘッダーはクオリティの高いものを用意する
「なんだ、ビジュアルかよ」
と、あなたは思うかもしれません。しかし考えてみてください。依頼者は一体何を見て発注するライターを決めるのでしょうか。
ライターを確認するとき、まず目にするのは一覧表示のアイコンとその背景。ここが個性的であったり目を引くイラストだったりすると、クリック(タップ)したくなりませんか?
一番はじめに依頼者の目に映るのは、おそらくアイコンとクリエイタールームで設定したヘッダー(背景)です。ここが初期の状態だと、ただでさえ多い上、どんどん増えていくテーラー陣に埋もれてしまいます。なによりライターのやる気を感じてもらうこともできません。
たかがアイコンやヘッダー。でも(言い方は悪いですが)外見でハッタリをかまし、あなたを見てもらうことも時には必要なのです。
クリエイターページを充実させる
「クリエイターページを素早くオープンする重要性は理解できた。とはいえ何を掲載すればいいのかわからない」
というあなたのために、私が自己紹介や掲載文で意識するポイントを3点挙げておきます。
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【1】自分の得意をアピールし、苦手を明記する
まず、自分のストロングポイント(得意)をしっかりと書いておきましょう。他所でPBWを経験していない限り、あなたがどういうノベルを書くか、プレイヤーにはわかりません。
なので、
「〇〇ライターはこういう文章を書かせるとうまい」
と認めていただくためにも、
「ここなら任せろ!」
をしっかり記載する必要があります。
と同時に苦手な描写や、筆がのらない分野も書いておきましょう。あなたを知らない依頼者が、あなたの苦手分野発注を防ぐためです。特にライター活動を始めた頃は、発注を受けたいために無理をして苦手なものを引き受けてしまいがち。
しかし苦手なものを無理して書いても、得意な人にはおよびません。その文章を読んだ読者からの評価がいまいちだと、次の発注につながることはないと考えるからです。
得意を形にするでも書いたとおり、私がよく褒めていただくポイントは人物の掘り下げと戦闘描写です。だから、この部分はしっかりとアピールしています。
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【2】作品サンプルを用意する
「あなたの得意は把握した。じゃあ具体的にどんな文章を書いてくれるの?」
こんな要望を満たすために、作品のサンプルを用意しましょう。できれば得意な形それぞれに対して、こんな感じになりますよ?が見える作品があるといいですね。
私の場合は、いろんな主人公のサンプルを用意し、老若男女の描写それぞれできることを示しています。
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【3】金額を明確にする
アルパカコネクトには、種類の違うノベル商品が何点かあり、またオプションの有無もライター個人で決めることができます。受注する商品は、それぞれいくらで受注するのかを明記しておきましょう。特に基本価格から変更している場合はなおさらです(アルパカコネクトさんは、商品価格を管理画面で商品価格を簡単に変更できる機能があります)。
もちろん商品を受注可能に設定すれば、商品名とともに価格が自動的に掲載されます。しかし商品金額はしつこいぐらい記載しても、目に触れさせるほうが得策なのです。飲食店で、メニュー表に金額が載っているからといって、店頭に並ぶ商品サンプルの前に金額が提示されていないと、不安になりますよね。
また金額を変更している理由を明記しておくと、発注者の納得を得られた上でご依頼いただけるメリットもあります。
ワールドノベルは必ず受注可能にする
アルパカコネクト限定ではありますが、非常に大事なことなので何回もいいます。ワールドノベルは受注可能な状態にしておきましょう!
なぜワールドノベルなのかは、上記の埋め込みツイートの理由が全てです。要するに、ワールドノベルを発注すれば、キャラクターのできることや設定を増やせるポイントがもらえるので、お得なんですよね。
IFの設定を創作できるキャラクターノベルのほうが、ライターとしては心理的負担が少ないのですが、発注の割合は圧倒的にワールドノベルのほうが上です。
私の受注率を例に上げると、現在までに30以上発注いただきましたが、そのすべてがワールドノベル。キャラクターノベルは0なんです!!
私も最初はキャラクターノベルのみ受付予定でした。しかし
「どうせやってみなければ、いつまでも分からない」
と割り切り、すべての商品を受注可能に設定。お陰様でクリエイタールーム開設の2時間後(!)には、ワールドノベルで初依頼をいただくことができたんですね。
(マヤー=ユサンディア氏には感謝してもしきれません。ありがとうございました!)
現在行っている企画
もう一つ、登録時間が浅いライターの発注促進手段として、魅力的なノベル企画を提案する、という技があります。
とはいえ初めから「企画」って言われても、いまいちピンとこないですよね。そこで私が現在提案している企画を例に上げてみます。
画舫(ゴンドラ)
まず一つ目は、春紫苑個人の企画として提案している『画舫(ゴンドラ)』。舞台となるアルフライラの中央区に運河が多く走っていて、まるで現実世界のヴェネチアのラグーナを想像させる場所があります。
設定にもゴンドラのことが載っていたので、
「ARIA(15、6年近く前に放映されていたゴンドラ乗りをテーマとしたSFアニメ)の世界を書いてみたい」
との動機から作った企画。
幸い9月のワールドノベルテーマが企画と相性ばっちりな「観光」で、「名所」と「土産」がキーワードだったので、多数ご発注いただけました。
遊戯園(ゆうぎえん)
もう一つが、ライター仲間とイラストレーターさんの共同で立ち上げた、共作企画の「遊戯園(ゆうぎえん)」。遊戯園とは、遊園地のようなものとご想像ください。
移動式なのでサーカス団のような雰囲気があり、なおかつアトラクションがすべて蒸気で動く機械という、ホワイトレターの世界観にマッチした感じがとても魅力的な企画だと自負しています。
この企画は何人かのライターが所属しているため、特に発注時の指定がなければ、どのライターに当たるかわからないというドキドキ感が味わえます。さらに遊戯園内で起こるハプニングもライターそれぞれの個性が出るので、依頼者も楽しめるのではないでしょうか。
この企画のために立ち上げたコミュニティに、早くも参加をしていただく方が何名かお見えになりました。またすでに2組の発注グループも決定しています。ありがたい限りです。
以上、私がこの2ヶ月アルパカコネクトで行ったライター活動を振り返ってみました。
私なりにまとめたこの記事が、これから活動を始めるあなたの一助になれば幸いです。