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003:フランス式?イギリス式?日本式?

私は、「フランス式」「イギリス式」「日本式」なアロマテラピー(アロマセラピー)と言うのをよく目にしますが、なんですか?それ。(笑)
みなさんは◯◯式のアロマテラピー(カタカナこれで統一させていただきます。)をしているんですか?
アロマテラピー(フランス語)、アロマセラピー(英語)とか言う話も、よく聞きます。
私は、実際、それらも「商品名」だと思っています。

アロマテラピーの歴史をご承知の方は、薬用植物(ハーブ)や芳香成分を含んだ樹脂が、文明の誕生と同時に利用されていたことをご存知でしょう。
医学の父ヒポクラテスの時代から、ハーブは利用されていましたし、その処方が、後にガレノス製剤として、後世に語り継がれていきます。
薫香は医療と儀式の両方に用いられ、クレオパトラは香油を愛用していたとか、キリストの生誕を祝って授けられたのは、金と乳香と没薬と言われています。
しかし、植物から「精油」を抽出できるようになったのは、19世紀になってのことでした。

近代アロマテラピーは、1937年、父親の創設した香料会社で働く化学者のルネ・モーリス・ガットフォセにより「アロマテラピー」と言うタイトルの本が出版された事から始まると言って良いと思います。
この本の趣旨は、精油の治癒的特性を語っており、それまでに検出された含有分子の性質を拠り所として考察されていると言って良いでしょう。
さらに、第二次世界大戦時に軍医であったジャン・バルネ博士が医療物資の少ない中、治療に精油を用いて臨床結果を積み上げた事から、フランスでは医師がその学習過程で学び、後に薬剤師が学び処方してきた歴史がありましたが、現在では、薬局で鍵付きの棚で売っている場合と、手軽に入手できる場合と混在しています。薬局にあるものがメディカルグレードというわけでもありません。
そもそも「メディカルグレードってなんですか?」と言う話は、また次回。
ドイツも自然療法が専門医として発展してきた歴史があり、フランスと似たところがあります。
オーストラリアも自然療法家(ナチュロパス)が、医療と連携が取れるディプロマであると聞いています。ナュロパスは、どちらかというと、ハーブ療法家であり、日本の漢方医と似ているかもしれません。

一方、イギリスへは、精油の治癒的特性を健康維持に役立てるために、医師や薬剤師の処方に頼らず、より安全に普及できないか?と、考えたであろうマルグリッド・モーリーの著書、1961年「Le Capital-Jeunesse(最も大切なもの-若さ)」が出版された事で、英国に「ホリスティック・アロマテラピー」を発展させます。この時、モーリー女史に師事したミシェリン・アルシェ(初代IFA認定講師)や、シャーリー・プライス(IFPA設立メンバー)らは、後にIFAやIFPAとしてアロマセラピストの養成を牽引していきます。

さらに、日本へは、もちろんIFAのジョアンナ・ホア(元IFA会長)も日本に、ホリスティック・アロマテラピーを広めた功績のある方ですが、日本から英国に学びに行った方もたくさんいらっしゃいます。
英語、フランス語、ドイツ語と翻訳をされていた翻訳家の高山林太郎さんも、日本にアロマテラピーを広めた功労者ではあったと思います。特にアロマテラピーの何が「療法」なのか、とてもこだわりをお持ちでした。

いま、改めて思うのですが、小さな遮光瓶に入った『精油』と言う狭義でのアロマテラピーではなく、植物の生体内で生成される揮発性芳香成分である『精油』を利用したアロマテラピーと考えると、高山さんの憂いでいらした事もわからなくもないですが、この広義でのアロマテラピーが人体に影響を与える経路(バイオアバイラビリティ)をきちんと学ばない限り解決しないことだと思います。

ちょっと、横道にそれましたが、以前、英国人のガブリエル・モージェイ氏(初代IFPA会長)のフェイスブックを拝見していて「フランス式がメディカルで、イギリス式はリラクゼーションだと言われるのは心外だ。」と、おっしゃられていたのですが、私も心外です。

確かに、英国ではアロマセラピストが、アロマテラピーを提供するクリニックを開いています。医療従事者ではありませんので、診断や治療を行うことはできませんが、逆に、心と体を全体的にみているので、医療従事者が気がつかない小さな変化に気がつく事もあります。

引用した動画は、英国で話題になったTEDですが、日本語訳してくださっている方がいるので、リンクしておきます。
この当時、彼はまだ南アフリカに住んでいたのかもしれないと思われるのが、後に、話に出てきていたアロマセラピストが、ケープタウン出身の方だと書籍で語られているようなので、南アでの話かと思います。
そして、南アフリカは、リフレクソロジーを国家資格にしたインガ・ドーガンさんがいらっしゃる国です。

TED で語られたのは、ほんの一言程度でしたが、その後、著作物「ゴーストボーイ」の中で、Virna van der Walt (ヴァーナ・ヴァン・ダー・ウォルト)さんが、デイケアセンターの介護士として、アロマテラピーマッサージを介して、植物状態と思われていた彼の意識が戻っているのではないかと気が付いてくれたと書き記しています。

私が所属するIFAでも、この話は話題になり、英国内でホスピスやデイケア、病院内などでコメディカル(補完療法)として、患者の心身の苦痛を和らげることを目的にアロマテラピーの普及に尽力している人の強い励ましになりました。
もちろん、職業「アロマセラピスト」でもありますが、医師、看護師、介護士などの職業の方が、アロマテラピーを学んで、自らの国家資格のもとで活用していくと言う意味で、責任は、それぞれの国家資格のもとで行われる。と言うもので、日本で普及する際にも、きっとこのような医療従事者がその責任において普及させるやり方が唯一の「メディカル」な普及ではないかと思います。

同じ、IFA認定アロマセラピスト。と言っても、認定を受けたことがゴールの方は、情報のアップデートがされていないので、エベレストの麓で、忘れゆく記憶と共にいることと思います。
コメディカルには興味なく、ビューティーセラピストとしてホテルのアロマテラピーサロンに勤務していたり、開業していたりする人もいるでしょう。
しかし、コメディカルに活躍しているアロマセラピストも存在しています。
もちろん、上位国家資格があった方がうまく行っているケースもあれば、現場では是非!と同意が得られても、一介の看護師の提案を病院経営者が許可しないケースも聞いています。
日本でも、アロマセラピストひとりひとりが、懸命に自分の現場で頑張って導入をしていこうとしています。病院関係者の方には、誰がどのくらい学んで『アロマセラピスト』と名乗っているのか、見極められるようになってほしいと願います。そして、孤独に戦わずに、アロマセラピスト同志、横の連携を持って臨床現場で「医療にはできないこと」を実践していけるといいですよね。
そういう将来のために、私も努力を続けています。
おのれコビットウイルスめ!と、邪魔されながら。

フォロー&いいね、コメントなどで応援してくだれば、気が向いて、仕事と研究の合間に、研究成果を書いていくと思います。
ただ、ヒトミシリーなので、気軽にお返事はできないかもしれません。
あらかじめご了承ください。


ご支援ありがとうございます。いただいたご支援は精油の購入や「アロマケア」の臨床研究費としてありがたく頂戴して、研究成果を発表していけるように頑張ります。今後ともよろしくお願いします。