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新しいテクノロジーが習慣を変える

いま、プライベートで誰かに連絡を取るときに電話をまずかけるという人は以前よりかなり減りました。たいていは、メールかLINEかあるいはショートメッセージかということになるでしょう。

特に知らない人、あまり親しくない人同士の電話なんてプライベートではそもそもかけることも減りましたが、企業間のBtoB、あるいは企業と消費者の間のBtoCではまだまだ電話は使われています。

個人間で電話を利用する場合にしても、基本的には携帯・スマホに登録している人にかける、登録している人からかかってくるケースがほぼ全てとなります。

そのため、出る方は誰からかかってきたか話す前に分かりますし、かける側も相手側が誰からの電話か分かっていることを前提できます。

そうなると、通話上での会話の冒頭に、
「もしもし、誰々です」
と名乗る必要が無くなります。また、電話を受ける方も、固定電話しかなかった時代では、
「はい、誰々です」
と名乗るのが当たり前でしたが、今では携帯で出る場合にも
「なに? なんかあった?」
と始めても全然変ではありません。

親しい個人間ならこれでも全く問題ありませんが、今ではこのマナーがむしろ当然になってしまったため、個人が企業あるいは連絡先をお互いに知っているとは限らない人に対して電話するときにも、名乗らずにいきなり用件を話しはじめるようになります。

同じことは電子メールとSNS・チャットとの違いでも起きていて、電子メールでは親しい人とも親しくない人ともやり取りしますので、本文の最初で名乗ったり、末尾に署名を付けて誰からのメールか分かるようにします。メールアドレスに名前が入っているとは限らないからで、これは電話番号と同じ単なる記号です。

その一方でメッセージ・チャットツールアプリでは、お互いに相手のことを分かった上でやり取りが始まりますので、最初に名乗る必要もありません。一文字目から伝えたい内容で開始出来ます。

ハローもモシモシもメールの署名も、固定電話や電子メールが普及してからの習慣ですので、形が変われば中身も変わるのも当然です。ただ、電話をかけた側は一言でも名乗った方が良いと思いますが、個人情報保護に敏感な人は名乗らないでしょうね。

個人間でも電話を受けた側が、かけてきた人の名前を話しはじめる前に分かるとは限りません。

例えば目の不自由な人であれば当然ながら分かりません。あるいは、移動中でイヤホンをしていて、スマホがカバンやポケットに入ったままで電話に出るときにも、イヤホン上の操作で出た場合は相手がすぐには分かりません。

せめてかけてきた人は名乗るべきだと思うのですが、慣れてしまうと難しいでしょうね。

イヤホンと言えば最近は1万円程度のワイヤレスイヤホンでもノイズキャンセリング機能が付いているのが当たり前になってきました。性能はピンキリとは言え、すごい時代が来たものです。ノイズキャンセル中ですと、外の騒音が気にならないので、メインの音楽や会話でも音量を大きくする必要がないのはいいですね。

ただ、電車内とかならともかく街中を歩く時にノイズキャンセリング機能を使っていると危ない場面にも出くわします。

自動車やバイクの騒音が消えてしまうと、自分の側にそれが来ていても気付かないためにヒヤッとしてしまいます。さらに最近では電気自動車、ハイブリッド車の低速時などではエンジン音がしません。モーターが回っているだけだと外では無音に近く、さらにそこでノイズキャンセルしてしまうとまず聞こえません。

健聴者ならイヤホンを外せば良いだけですが、難聴や聴覚障がいを持っている人は大変です。勝手に想像するのもおこがましい話ですが、そういう怖さはあるのではないでしょうか。

また、視覚障がいの方にとっても、耳からの情報は重要なはずですが、電気自動車などの静音性は逆に不便になります。

障がいを持っていない人間が勝手に推測するのは難しい問題でありますが、新しいテクノロジーが出てくると、便利なのは当然ですがその一方で、逆にそうでもない、かえって不便になるというところもあるのは、頭に入れておかないといけないですよね。もちろん、そういった困難こそ、新しいテクノロジーで解決すべきですし解決出来る問題であると思います。

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